定員:10名
期間:2024年5月〜2025年3月(10月期の募集は5月より開講している当教程への編入となります)
日時:毎週金曜日 19:00〜22:00
10月期学費:160,600 円 教程維持費:25,300 円(年額) ※教程維持費は制作実費を含みます。
開催教室:本校3F+本校2F
始まりは何かをつくってみたいという静かな衝動です。
でも、それが何なのか、何をどうしたら良いのか分からない。
それを見つけるためには遠回りに思えても、手ぶらで集まって話すということから始めたいと思います。
創作に関することだけではなく、ささいなこと、雑多なこと。
ゆっくりと話を続けているあいだに、自分にも相手にもつくりたいものが少しづつ見えて来るはずです。
何かをつくるというのはゼロから始めるというわけではありません。
つくりたいものは必ずそのひとの中に既にあるからです。
でも自分自身のことはなかなか見えません。
対話を通じて、「やってみたいこと」「やりたいこと」を一緒になって探り当てていきます。
やってみなければ見えてこないことも多いです。
やりたいことが見つかったら、どうやって実現するか稽古を通じて試行錯誤を続けましょう。
完璧なものなど出来なくても構いません。
とにかく最後に修了公演というかたちで他者に見せてみます。
そのことで自分の中にしかなかったものが、ひとつの作品として他者の目に触れることになります。
自分では見つけられない大切なものを他者が見つけてくれることがあります。
見つかればそれを抱えて続けていくだけです。
続ければ続けるだけ、自分にとっての問題が見えてきます。
その問いを実感を伴って解いていくことが出来るのは自分だけです。
あなたが話しを始めるのを待ってくれる人がいます。
話を聞いてくれる人がいます。
話し始めるのを一番待っているのは自分自身だと思います。
先ずは人と人が出会うところから始めたいと思います。
講師プロフィール
生西康典
1968年生まれ。美学校 実作講座「演劇 似て非なるもの」講師。舞台やインスタレーション、映像作品の演出などを手がける。作品がどのようなカタチのものであっても基本にあるのは人とどのように恊働していくか。自分自身を形作っていると信じられている殻がとけた時にはじめて現れる「その人」が見たい。その時「人」はありとあらゆるものと触れあっているだろう。近作は『ロングショット』(2022、スタジオ空洞)、『抱えきれないたくさんの四季のために』(2022、SCOOL)、『棒ダチ 私だけが長生きするように』(2021、Tokyo Real Underground)。主なインスタレーション作品に『おかえりなさい、うた Dusty Voices , Sound of Stars』(2010、東京都写真美術館)。書籍:『芸術の授業 BEHIND CREATIVITY』(中村寛 編、共著、弘文堂)。
過去のゲスト
首くくり栲象(アクショニスト)、安藤朋子(シアター・カンパニーARICA)、鈴木敦詞(中世思想研究者)、山川冬樹(ホーメイ歌手/アーティスト)、TOJU(画家)、川口隆夫(ダンサー)、山崎広太(振付家/ダンサー)、武藤大祐(ダンス批評家)、ヨシダダイキチ(シタール奏者)、さや(テニスコーツ)、七里圭(映画監督、脚本家)、杉本拓(ギタリスト、作曲家)、飴屋法水(演出家)、高山玲子(アーティスト、俳優)、嘉納礼奈(芸術人類学研究者、キュレーター)、白井剛(ダンサー・振付家)
講師インタビュー
2013年の開講以来、一貫して「全ては集まった人達と出会うことから始め」ることを続けてきた本講座。コロナ禍に見舞われた2020年度は、受講生と電話で対話を行うなど、授業の形も、集まった人やその時々の状況に合わせて変化してきました。さらには、講座を起点としたリレーエッセイやワークショップなど、形を変えて広がりを生んでいます。本稿では、そうした広がりの源流をたどるべく、生西さんにお話しをうかがいました。・・・全文を読む
修了生のコメント
鈴木健太(デザイン、音楽、演劇)
美学校には色んな名前の講座がありどれも面白そうで僕も富豪だったら3つくらい通いたかったものですが、もしあなたがぼんやりとでも自分のやりたいことがあって、それにしっくりくる名前がこの中には見つからない、ということだったら、この講座はそういうものを作るための場所なので、ここでやってしまえばいいと思います。自分のやりたいこと、モヤモヤしたこのなんか、これを社会でなんと名づけられてるのか(ましてそれが演劇なのかどうかなど)知らないけれど、とにかく一度やってみたい、やらない方の人生はもう飽きたのだって人は、受講してみていいと思います。してよかったです!
photo by 光岡幸一
瀧澤綾音(俳優、モデル)
実作講座「演劇 似て非なるもの」は私の原点で、今も進むきっかけをくれる場です。
私は受講中、魂がうちふるえるような瞬間に何度も出会い、ひとがここにあるきせきを感じながら、「ただそこにあること」「存在」について考え続けました。
俳優には技術も大切。しかし、その人間の根底にあるような「存在」そのものは技術として身に付くものではないのかもしれない。
この講座には決まった道はなく、集まったひとがいてはじまっていく。そんな講座のまなざしがあったからこそ、その瞬間に真摯に向き合い探求できたと思います。
そしてそれは、どのように生き 何を創造したいかの種を育んでいくこととなり、私の人生にとって大切な日々となりました。
堀山俊紀「あるがままを愛するために」より
武本拓也(上演/パフォーマンスアーティスト)
あなたが今考えている事は、もしかしたらおかしな事で、似たことをやっている人は周りにいないかもしれません。どうやっていけばいいかわからず、ましてこれが「演劇」に括られるだろうか、と思われるかもしれません。
生西さんの講座では、そうした自分の中だけで考えている不確かなことを話し、それがまだなんなのか誰もわからないことを、考えてやっていく事を学べる場所だと思います。それは人や世間のいう「演劇」ではないかもしれないけど、まだ誰も知らない演劇に似て非なるものを、やっていくことに自信を持てるようになる講座です。
少なくとも私はこの講座に出会えた事で、その後が大きく変わり、私にとってかけがえのないものとなりました。
気になる人はぜひ、話しに行ってみてください。
三井朝日(演出家)
生西さんの実作講座「演劇 似て非なるもの」は、まずは話をしてみようという場です。丁寧にゆっくりと、話し・聞き・考える、ことができる場です。息巻いて、急いで答えを出そうとすると「あれ?」と生西さんがブレーキをかけてくれます。ブレーキをかけられた方からすると最初は困惑もしますが、確かに一度止められてみるとさっきよりもずっと視界が広がっていて、別の道が見えています。そうして不思議なリズムで止まったり進んだり戻ったりしていると、不意に生西さんから「やってみましょうか」と推進力を授けられ、思いもよらないところに飛べたりもします。誰しもに、何かが起きると思います。
篠田さんの講座「劇のやめ方」は、まずは動いてみようという場です。「劇やめ」を元に、ワークをやってみる。すると気づきが生まれる。「つくる」への気づきだけでなく、それに至る前の「生活」への気づきも。「つくる」と「生活」がどれだけ密接しているかを自覚し、二つがぐるぐる循環していきます。生活にグルーヴ感が生じます。そして、篠田さんや他の受講生と「僕の生活ではこうだ」「私はこうだ」と銘々の音を出していくうちに、団結感は無いのに、奇妙な友人感が醸成されていきました。篠田さんは、僕らを決して団結させませんが、奇妙な友人にさせるパワーを持っていると思います。
どちらも演劇の講座ですが、演劇をつくろうとしていない人にとっても、きっと豊かな体験になります。本当に面白い、他にない場です。
修了生座談会
――皆さんが美学校を知ったきっかけと、「実作講座『演劇 似て非なるもの』」(以下、演劇講座)に入った理由を教えていただけますか。
武井 私は生西さんのことを全然知らなかったんですが、山口小夜子さんがすごく好きで、東京都現代美術館で開催していた山口小夜子展に行って生西さんを知りました。その時は「外道のスゝメ」の受講生として美学校に通っていたので、「そういえばこの人(生西さん)美学校にいるじゃん」って気づいて。展覧会に行った日がちょうど授業日だったので、「今から行く」って皆藤さん(スタッフ)に電話しました(笑)。
福澤 私は、美学校で以前講座を持っていた内海信彦先生(2000〜2011年「絵画表現研究室」講師)と知り合いで、美学校の存在は以前から知っていました。大学で演劇をはじめたんですけど、美学校で生西さんの講座が始まったことを美学校のHPか何かで知って。タイトルに惹かれたのと、1期生の公演を見て、いいなあと思ったので受講しました。
中島 私は、美学校の「絵と美と画と術」に通っていた大学(武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科)の同級生の浦川くんを通じて美学校を知りました。私もどこかの講座に入りたいなと思って、募集のたびに講座一覧を見てたんですけど、演劇講座が始まるときに生西さんが書いた文章がすごく面白くて、1期だし、何が始まるか分からないのが魅力的で受講しました。
講座レポート
「演劇」と一口に言っても、下北沢の劇場でやる演劇もあれば、何百人も入る国立の劇場でやる演劇もある。最近では、廃校になった校舎を利用した演劇もあるし、野外劇なるものもある。 そう考えると、演劇はひとつの枠に収まらない自由な表現のように思えるが、一方で、下北沢で観る演劇も、野外で観る演劇も、私たちが知っている「演劇」の二文字にくくられてしまうことも、また確かである。
ただ、何千何万という演劇作品の中には、「これって演劇?」と疑問に思うものがあるはずで、美学校の「実作講座『演劇 似て非なるもの』」は、そんな疑問を喚起する作品を生み出すことを目指しているのかもしれない。なお、あなたが「これって演劇?」と思うと同時に、「こんなのは演劇じゃない」と思ったならば、それは自ら演劇というジャンルの可能性をつぶしてしまっていることになる。なぜなら、演劇の可能性を示してくれるのは、「まだ観ぬ演劇」なのかもしれないのだからー。
「まだ観ぬ演劇」の模索
新薬の発明や、新技術の開発がクローズドな環境で行われるように、「まだ観ぬ演劇」の模索も、講師と受講生の間で密かに行われている。本講座は基本的には、受講生以外の聴講・見学を受け付けていない。
その理由を、講師の生西康典さんは「その場に誰かひとり加わるだけで、場の空気が変わるじゃないですか。集中したいんです。」と話す。
なるほど、「まだ観ぬ演劇」は一朝一夕に出来るものではなく、一年間同じメンツで相対することでしか生まれてこないのかもしれない。・・・続きを読む
過去の修了公演
撮影:前澤秀登(Hideto Maezawa)、他
過去のゲスト講義についての詳細
・ワークショップ「歩行について」(非公開)特別講師:安藤朋子(シアターカンパニーARICA)
・番外編連続シリーズ「首くくり栲象に話を聞く」第一夜(詳細)
・ゲスト講義「光の形而上学について」(非公開)特別講師:鈴木敦詞(中世思想研究者)
・番外編連続シリーズ「首くくり栲象に話を聞く」第二夜(実演有り)(詳細)
・ゲスト講義「声について」特別講師:山川冬樹(ホーメイ歌手/アーティスト)
・合同公開授業(+絵と美と画と術)「画家TOJUさんに聞く」(詳細)(レポート)
・共同企画(+絵と美と画と術)踊る人体ヌードデッサン会川口隆夫「SLOW BODY ― 脳は感覚を持たない」vol.24(詳細)
・ワークショップ「止まらないダンスクラス美学校・イントロダクション編」特別講師:山崎広太(振付家・ダンサー)(詳細)(レポート)
・第四期開講前プレイベント「世界を眺めてみる 西洋以外の舞踊と音楽から」出演:ヨシダダイキチ(シタール奏者)、武藤大祐(ダンス批評家)(詳細)(レポート)
・ワークショップ「ほんとうの声で歌う」特別講師:さや(テニスコーツ)(詳細)
・座談会(非公開) ゲスト:七里圭
・合同公開授業(+絵と美と画と術)「杉本拓 自作を語る」(含 ワークショップ)(詳細)
・ワークショップ『ピーナッツ』特別講師:首くくり栲象(詳細)
・特別稽古(非公開) ゲスト:川口隆夫(レポート)
・特別稽古(非公開) ゲスト:飴屋法水
・ちいさなこえのよる(非公開)ゲスト:鈴木健太と中島あかね、坂藤加菜、さや、田上碧、タカラマハヤ、うらあやか、桒野有香
・第5期生「公開試演会/講評会」(詳細)(レポート)
・実作講座「演劇 似て非なるもの」校外へ 第1回ゲスト:飴屋法水(レポート)
・実作講座「演劇 似て非なるもの」校外へ 第2回ゲスト:高山玲子(レポート)
・校外へ3 ゲスト:川口隆夫(レポート)
募集についての過去のテキスト
・第4期(2016年度)開講にあたって(詳細)
・第4期(2016年度)10月期追加募集にあたって(詳細)
・一年を振り返って〜実作講座「演劇 似て非なるもの」第4期生による手記(詳細)
授業見学お申込みフォーム
※稽古などの日は見学できない場合があります。
授業見学をご希望の方は以下のフォームに必要事項を入力し送信してください。担当者より日程等のご案内のメールをお送りいたします。
*ご入力いただいたお客様の個人情報は、お客様の許可なく第三者に提供、開示することはいたしません。
*システム不具合によりフォームが正しく表示されない場合がございます。その場合はお手数ですが、美学校事務局までメールか電話でお申込みください。
*フォーム送信後3日以内に事務局から返信のメールが届かなかった場合は、フォームが送信できていない可能性がありますので、お手数ですが美学校事務局までご連絡ください。
〈様々な分野〉
▷授業日:毎週土曜日 18:30〜21:30
モードを考えるところからスタートし、実際に服を作り上げるまでの授業です。何かを想像し考え、自分の中に入り込み転がり込んで出てゆく瞬間の表現手段が服であったなら、どのような作品が生まれるのかをテーマに授業を進めます。
▷授業日:毎週金曜日 19:00〜22:00(6月から開講)
週替わりで本校とスタジオを交互に開催します。本校では対話を重視し、スタジオではその実践としての稽古を行い、最後に修了作品を制作します。それぞれがどういう作品を作るのかは、1年を通して話したり試したりするなかで、一緒に探していきます。
特殊漫画家-前衛の道〜商業漫画と特殊漫画-そのあいだ〜 根本敬
▷授業日:隔週火曜日 19:00〜22:00
「特殊漫画家」として、今日まで「何故食べてこられたか」その意識無意識のあいだを受講生の皆さんに語り、時に問いかけ、しばしば即興的に皆さんとラフに漫画を描きながら探っていきたいと思います。
▷授業日:隔週火曜日 19:00〜22:00
劇は始めるよりやめるほうが難しい。社会で起きている劇をやめるのはさらにとても難しい。難しいけど、劇をやめ方を考えることはいま必要とされているように思う。ワークショップや、今だから出来る実践を通して、みなさんと一緒に『劇のやめ方』にまつわる思考を捕まえたいです。
▷授業日:毎月第三水曜日(年間12回)13:00〜17:00
漫画づくりにおいて、私は作話の工程をもっとも重視しています。「白目をむくほど面白い」物語はどうやったら作れるのか?おそらくそれは、精神論がないと辿り着けない場所にあるんじゃないかと思っています。この講座は、作話理論と同じくらい精神論を大切にしていく漫画の作話講座です。
▷授業日:隔週土曜日 13:00〜19:00
建築家でありながら現場で大工として多くの経験をしてきた岡啓輔と秋山佑太によるハードコアな建築とアートの講座です。建築家志望の人も、職人志望の人も、アーティスト志望の人も、今は建築にもアートにも関わりがない人も、この交差点に感心があれば来てください。
自分を越えた作品を 計画的につくる方法と発表の実践 岸井大輔
▷授業日:隔週金曜日 13:00〜17:00
この講座では創作法を一緒にいくつか試して、それぞれが思いもしなかった新しい作品作りにトライしてみます。創作法を理解して応用できるようにし、最終的には作品を発表することがこの講座の目標です。
アートに何ができるのか〜哲学的視点でつみなおす ART ゼミ〜 荒谷大輔
▷授業日:隔週火曜日 18:30〜21:00
この講座では、まず現在アートがおかれている社会的な状況を振り返って考えながら「アート」と呼ばれるものの本質を明らかにします。参加者が知らないうちに身に着けている価値観の前提を問い直しつつ、それでも直観的にはおそらく各人が捉えているアートの本質を、ディスカッションの中で明らかにしていければと思います。
POP ILLUSTRATION 塾 スージー甘金+小田島等
▷授業日:隔週火曜日 19:00〜22:00
講師の業界経験を踏まえ、このユニークで大きな源泉「POP」に寄り添いながら、オリジナルの表現を探って行きたいと思います。イラストレーションやデザインと言う職能的な枠組みに捉われること無く、様々な手法を使って、実践的に「POP ILLUSTRATION」を学べる講座となります。