定員:10名
期間:2025年5月〜2026年3月
日時:隔週火曜日 19:00〜22:00
学費:170,500円 教程維持費:11,000円(年額)
開催教室:本校
私は81年以来非商業的なへたウマブームの追い風もあり、当時としては前衛的な「特殊漫画家」として(この呼称は自称です)世に出て幸いにも下積み期間もなくこれを職業として成り立たせ、やがて複数の扶養家族を含め今日まで飢えることもバイト生活をすることもなくこの道一筋で生きて参りました。これは奇跡的なことながら、我が身を振り返ると、ごく自然な流れに乗り続けることが出来た結果とも言えます。とはいえ、私なりに趣味を職業とし生きながらえるにあたり、私なりの無意識の計算、体よくいえば「セルフプロデュース」能力はあったかと振り返ります。それが意識の深層に秘訣としてあるのは確かな様です。
その深層を無意識の澱から掬い、明るみにし、手に取り今日まで「何故食べてこられたか」その意識無意識のあいだを受講生の皆さんに語り、時に問いかけ、そしてこの講座は実際どうなるかはさておき、あくまでも漫画講座なので、しばしば即興的に皆さんとラフに漫画を描きながら探っても行きたいと思います。
高収入を得るには特殊漫画家は商業漫画家(漫画そのもので成功する。因みに特殊漫画には漫画そのものに商業的な成功はありません)と比べると非常に不利です。
しかし、目先、矛先をかえれば特殊漫画家は商業漫画家よりも生きながらえるに有利な職業でもあります。
とまれ。
これは、言うなれば「漫画講座」の体裁をとりながら、本来の属する表現ジャンルとは違う表現スタイルを特殊漫画の作法?から学びとり、それを自らの本来の表現に生かす。そこから「本業」としてバイトせずに食べていく秘訣を受講生の皆さんと探る講座にしていく所存です。
一般的ではない他人(ヒト)と「どうも周りに違和感を覚える」というようなあらゆる非漫画の異なる表現ジャンルの方の受講もおおいに歓迎いたします。また、しっかりと美術教育を受け絵が上手くなりすぎ、下手くそになる必要のある方にもお薦めの講座です。
※当講座では性的描写を含むコンテンツの視聴や閲覧があります。予めご了承ください。
授業内容
・特殊漫画家とは?-現在の商業漫画と特殊漫画のあいだ
・しのぎこそ特殊漫画の醍醐味であり、可能性を拓く
・無意識を鍛えろ
・へたウマほど難しい『絵』はない
・漫画表現の越境
・事実より真理。そして真理はしばしば下らない事実の中に在る
・括りを与えたそばからこぼれ落ちるもの
・意味はないけど理由はある
・無秩序-混沌の翻訳。時に元ネタとしてのカオス
・絶対に成功出来ない者たちの棒振人生の数々
等々
講師プロフィール
根本敬
1958年東京生まれ。81年月刊漫画『ガロ』9月号で漫画家デビュー。以後「平凡パンチ」に「生きる」などを連載。漫画の代表作は「怪人無礼講ララバイ」収録の「タケオの世界」とされる。「因果鉄道の旅」「人生解毒波止場」「ディープコリア(同盟との共著)」など文字の本は漫画本より読者が多い。2009年「真理先生」で第11回みうらじゅん賞受賞。幻の名盤解放同盟(昭和歌謡の澱を掬うコンピ「解放歌集」を編纂)の一員であり、東京キララ社の特殊顧問であり、マルセイユを拠点とするアート運動体 ル デルニエ クリの一員でもある。
修了展レポート
2021年4月17日〜21日に「特殊漫画家-前衛の道〜商業漫画と特殊漫画-そのあいだ〜」2020年度修了展
「SOUL OLYMPIC」が開催されました。受講生の作品が所狭しと並んだ圧巻の展示の模様をレポートするとともに、講師の根本敬さんと受講生のミニインタビューをお届けします。
講座は「しのぎ」がテーマ
驚きなのは、これだけの作品が並んでいながら、受講生が以前から漫画を描いていたわけではないこと。むしろ受講して初めて漫画を描いた人のほうが多いそう。こんなに漫画を描けるようになるものですか?という質問に対して、根本さんは「描けるようになるんだよね」との答え。
といっても、講座では漫画の描き方を教えるわけではなく、カリキュラムもない。「(講座は)落語みたいなもんで、サゲはある程度決まってて。俺が授業に行くまでに見たり聞いたりした出来事を枕にして、それでだんだん話に入っていくみたいな」「『特殊漫画家─前衛の道』ですから、普通に漫画を描くんじゃなくて、例えば蛭子能収さんの漫画を持ってきて、蛭子さんのネーム(セリフ)を全部はずした状態で、みんなでそれぞれネーム(セリフ)を入れて物語を完結させて、なおかつそれに扉をつけるっていう授業もあったよね」(根本)
特殊漫画前衛への道を受講して みゆき
私が何故根本先生の講座の受講を決めたのかというと話は数年前に遡ります。根本先生のことは中学生の頃から知っていましたが、当時は悪趣味な事象を題材にしている漫画家という認識しかなかったです。30代になって改めて「生きる」という漫画を購入しました(何故購入したのかいきさつは忘れました)主人公の村田藤吉が吉田佐吉にいじめられて毎回悲惨なのだけれどもどこかユーモアがあって面白く、時々読み返していました。それから十数年たって、人生に煮詰まり若い頃に中断した油絵を再開していたころ「因果鉄道の旅」に出会いました。特に興味を持ったのは内田研究におけるながしま食堂の後家きよみと内田の関係。山野辺君(アスペルガー症候群?)という同級生の行動について。しおさいの里で犬数百匹を飼育する施設長とボランティアの人々。世間一般では眉をひそめるようなDVや常識からかけ離れた行動を突き放したスタンスでとらえる根本先生の観察眼に興味を覚えました。つづきを読む
過去の修了展など
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〈様々な分野〉
▷授業日:月1回日曜日 12:00〜17:00
始まりは何かをつくってみたいという静かな衝動です。でも、それが何なのか、何をどうしたら良いのか分からない。それを見つけるためには遠回りに思えても、手ぶらで集まって話すということから始めたいと思います。
特殊漫画家-前衛の道〜商業漫画と特殊漫画-そのあいだ〜 根本敬
▷授業日:隔週火曜日 19:00〜22:00
「特殊漫画家」として、今日まで「何故食べてこられたか」その意識無意識のあいだを受講生の皆さんに語り、時に問いかけ、しばしば即興的に皆さんとラフに漫画を描きながら探っていきたいと思います。
▷授業日:隔週火曜日 19:00〜22:00
劇は始めるよりやめるほうが難しい。社会で起きている劇をやめるのはさらにとても難しい。難しいけど、劇をやめ方を考えることはいま必要とされているように思う。ワークショップや、今だから出来る実践を通して、みなさんと一緒に『劇のやめ方』にまつわる思考を捕まえたいです。
▷授業日:毎月第三水曜日(年間12回)13:00〜17:00
漫画づくりにおいて、私は作話の工程をもっとも重視しています。「白目をむくほど面白い」物語はどうやったら作れるのか?おそらくそれは、精神論がないと辿り着けない場所にあるんじゃないかと思っています。この講座は、作話理論と同じくらい精神論を大切にしていく漫画の作話講座です。
▷授業日:毎週土曜日 13:00〜16:00(10月まで)
建築家でありながら現場で大工として多くの経験をしてきた岡啓輔と秋山佑太によるハードコアな建築とアートの講座です。建築家志望の人も、職人志望の人も、アーティスト志望の人も、今は建築にもアートにも関わりがない人も、この交差点に感心があれば来てください。
アートに何ができるのか〜哲学的視点でつみなおす ART ゼミ〜 荒谷大輔
▷授業日:隔週火曜日 18:30〜21:00
この講座では、まず現在アートがおかれている社会的な状況を振り返って考えながら「アート」と呼ばれるものの本質を明らかにします。参加者が知らないうちに身に着けている価値観の前提を問い直しつつ、それでも直観的にはおそらく各人が捉えているアートの本質を、ディスカッションの中で明らかにしていければと思います。
POP ILLUSTRATION 塾 スージー甘金+小田島等
▷授業日:隔週火曜日 19:00〜22:00
講師の業界経験を踏まえ、このユニークで大きな源泉「POP」に寄り添いながら、オリジナルの表現を探って行きたいと思います。イラストレーションやデザインと言う職能的な枠組みに捉われること無く、様々な手法を使って、実践的に「POP ILLUSTRATION」を学べる講座となります。