写真工房講師:西村陽一郎


定員:10名
期間:2025年5月〜2026年3月
日時:毎週金曜日 13:00〜17:00
学費:341,000円 教程維持費:20,900円(年額)
開催教室:本校

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モノクロフィルムや印画紙などの感光材料を使って、昔ながらの銀塩写真の基礎を学ぶ工房です。暗室作業が中心です。光と感光材料の関係、カメラの持ち方やフィルムの入れ方など、初歩的なところから順を追って実習を進めていきますので、まだフィルムカメラを持っていないという初心者の方でも大丈夫です。

基本的にピントや露出はマニュアルで撮影します。慣れない操作に手間取って初めは思ったような瞬間が撮れないかもしれません。またフィルムや印画紙、薬品類など銀塩写真で使用する材料はデリケートなので、丁寧に取り扱ってあげなければせっかく写した光も、きちんとした像(かたち)となって現れてはくれません。ある程度のクオリティでモノクロ写真を撮影しプリントができるようになるまでには少し時間がかかることを覚悟して、まずは自分で撮った写真を自分で現像し、引き伸せるようになりましょう。そして毎週 1回、これをこつこつと続けて下さい。一通りのやり方を覚えたら、学校の暗室は授業日以外も自由に使えるようになりますので、やりたいひとは何度でも、納得がいくまで制作をする事ができるでしょう。

大切なのは、自分の好きな写真をなるべくたくさん撮って、たくさんプリントする事です。

一年間あっという間だと思いますが、皆で共に楽しみながら、真剣に写真と取り組んでいきましょう。

西村陽一郎

授業内容

【前期】

  • 暗室体験(フォトグラム、サイアノタイプ、ピンホール)
  • モノクロ写真の基礎(撮影、現像、ベタ焼き、プリント、スポッティング)

【中期】

  • 作品の仕上げ方(ドライマウント・マッティング)
  • 暗室実習(号数合わせ、焼き込み&覆い焼き)
  • 撮影実習(フラッシュ、クローズアップ)
  • 中判カメラ

【後期】

  • 大判カメラ
  • 調色
  • 作品制作

※ 生徒持ち道具・材料

35mmカメラとレンズ(ブローニー可)の他、感光材料と薬品、整理・保存用品などの消耗品

講師プロフィール

西村陽一郎

西村陽一郎

1967年東京生まれ。美学校で写真を学び、撮影助手を経て1990年に独立。モノクロのフォトグラムを中心に、植物や水、昆虫、ヌードなどをモチーフとした作品を発表している。期待される若手写真家20人展、ヤング・ポートフォリオ展、’99 EPSON Color Imaging CONTEST、PHILIP MORRIS ART AWARD 2000、TPCCチャレンジ、2003京展などに入選。 

「『写真工房』を受講して」

美学校の「写真工房」(講師・西村陽一郎)はモノクロ写真の基礎講座です。カメラを持っていない初心者の方も、すでに写真を撮られている経験者の方も、一緒になってカメラの原理から学んでいきます。また、受講生は授業日以外も暗室を使って現像作業をすることができます。デジタルカメラが主流の今、なぜ「写真工房」でモノクロ写真を学ぼうと思ったのか、どんな写真を撮っているのか、講座を受講した方々にお話を聞きました。

Q1. 写真をはじめたきっかけはなんですか。
20年ほど前、編集の仕事をしていたときに取材で撮影をしていました。ただ、当時は全部オートでしたから、マニュアルで撮影し始めたのは「写真工房」に入ってからです。

Q2.写真工房」を受講したのはなぜですか。
高校時代に読んでいた『美術手帖』に美学校の広告が載っていて、当時から美学校は憧れでした。『昭和二十年東京地図』という本を手に街歩きしていたことがあって、その後、その本の写真を撮っている平嶋彰彦さん(※1)とお会いして、写真って楽しそうだなと思ったんです。その頃には、すでにデジタルカメラが主流だったんですが、せっかくなら現像をやってみたいと思って学べるところを探したら、今も美学校でモノクロ写真が学べることが分かって。「写真工房」は暗室がいつでも使えるし、授業も週1回だし、これなら私も通えるかなと思って受講しました。まさか今、自分が美学校に通えるなんて本当に夢みたいです。

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講師インタビュー

━━━「写真工房」は、「モノクロ写真の基礎講座」とうたっています。

西村 モノクロ写真は色がないから、かえってイメージを自由に広げられます。カラーだと赤は赤でそのまま見えてしまうけれど、モノクロだと色んな色で見えてくる。こちらの気持ちによって様々に印象が変わってきます。それが自分にとってのモノクロの魅力なのかもしれません。

━━━講座では、デジタルではなくフィルムカメラで撮影していますね。

西村 デジタルにはデジタルの良さがあり私も仕事で使っていますが、フィルムだと確かに自分の写真だと実感ができる、かけがえのない一枚と出会えます。デジタルと違い、やり直しがきかないという緊張感があるのもいいですね。薬品類の液温を測るにしても現像タンクを撹拌するにしても、そこにかけた気持ちや時間が全部、一枚のプリントに凝縮されるんです。例えて言うと、子どもは皆可愛いけれども手塩にかけて育てた自分の子どもは特別可愛い、といった感じかも知れませんね。

━━━デジカメやスマホでの撮影に慣れてしまって、カメラにフィルムを入れること自体が新鮮です。

西村 私も子どもの頃はフィルムの入れ方が分からなくて写真屋さんに入れてもらったり撮り終わったら出してもらったりして、写真屋さんってすごいなと思いました。フィルムとカメラが特別な感じでした。フィルムは基本的に1本分36枚を一度に現像するので、デジタルのように感度を途中で変えることができません・・・続きを読む

講座レポート

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ビルのワンフロアに位置する美学校。フロアには講座が行われる教場や、リトグラフのプレス機が置かれた制作スペースなどが広がる。その片隅に、黒いカーテンで仕切られた小さな部屋がある。暗幕の向こう側の様子は外からうかがい知れない。容易に開けてはならない雰囲気すら漂う。と思うと、時折中から人が出てくる。

鋭い方はお分かりだろうが、この暗幕で閉ざされた部屋は写真を現像するための暗室で、中から出てきた人は写真工房の受講生だ。講座は週一回だが、受講生であれば暗室は常時使用できる。誰もいないと思っていた暗幕の向こうからふいに人が出てくるのは、受講生が昼夜を問わず現像に励んでいることの証しでもある。

2000年にカメラ付携帯電話が発売されて「写メ(ール)」という言葉が常用語になってから、「写真を撮る」ことは特別なことではなくなった。今や誰もが毎日何かしらの写真を撮っているのではなかろうか。そう考えると、写真工房の受講生も「毎日写真を撮っている人たち」のひとりにすぎない。だけど、フィルムカメラで写真を撮り、暗室にこもり、写真を現像し、また写真を撮りに出かける受講生たちの眼差しは真剣そのものだ。今、「写真」について誰よりも真正面から向き合っているのは、写真工房の受講生たちではないだろうか。彼らが黙々と写真に向き合う理由を取材した。・・・続きを読む

過去の修了展など

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〈版画/写真〉


シルクスクリーン工房 松村宏 Matsumura Hiroshi

▷授業日:毎週月曜日 13:00〜17:00
カリキュラムは非常に厳しく設定してあります。1年目では困難だがまずは基本的なトレーニングから始める。同時に意図した色が確実に定着出来るメリットを生かして色彩研究にも取り組みます。


リトグラフ(石版画)工房 佐々木良枝+増山吉明 Sasaki Yoshie

▷授業日:毎週火曜日 13:00〜17:00
石や金属の版の上に脂肪分を含んだ画材で、自由に描いたものを版にすることができ、ドローイングや自由な描画、筆やペンで描いた水彩画のタッチを出したり、色を重ねることによって複雑な色合いを出すことができる技法です。


銅版画工房 上原修一 Uehara Shuichi

▷授業日:毎週木曜日 13:00〜17:00
銅版画の特徴として、一つは凹版であることが挙げられます。ドライポイント、エッチング、アクアチントといった銅版画技法の基本技法と、インク詰め、拭き、修正、プレス機の扱いなど、刷りの基本技術を学びます。


版表現実験工房(銅版画) 清野耕一 Kiyono Koichi

▷授業日:毎週水曜日 18:30〜21:30
銅版に触れ合うことによってモノ作り本来の楽しさを体験し、美術表現を創造する「発見」の場をめざします。従来の「版画」の垣根を取り払い、柔軟に他のメデイアとの交流を図り、研究し模索する制作現場です。


写真工房 西村陽一郎 Nishimura Yoichiro

▷授業日:毎週金曜日 13:00〜17:00
カメラの持ち方やフィルムの入れ方など、順を追って実習を進めていきます。「銀塩フィルム」による撮影、ケミカルをつかった手現像、バライタ印画紙への手焼きプリント、筆と墨による修正などが中心のカリキュラムです。