定員:8名
期間:2025年5月〜2025年10月(全20回)
日時:毎週土曜日 13:00〜16:00
学費:170,500円 教程維持費:11,000円(年額)
開催教室:本校
本講座は、アーティストであり建築家でありながら現場で大工として多くの経験をしてきた岡啓輔と秋山佑太によるハードコアな建築とアートの講座です。受講生は建築学科の大学生や建築の職人だけでなく、建築の専門で無い人も沢山います。開講5年目を迎える今年は、5〜10月の半年間、全20回で開催します。
まず、全員共通の課題として暮らしに関わるモノをつくり、その過程で簡単な木工技術やコンクリート打設の技術を学びます。また、夏ごろから修了展に向けた個人制作に取り組み、10月に修了展を開催します。講師それぞれの活動をもとに、蟻鱒鳶ル建築(セルフビルド)、作品制作や美術展のキュレーションについての講義も行います。
文・岡啓輔
「つくる必要が無かったら潔く何もつくらない」のか「必要無くてもつくりたいものをつくる」のか、自分はどっちだろう?高専に入学し建築を学びはじめた15才の子供の問いです。卒業しても建設現場で働きながら、自転車で旅しながら、踊りながら、岡画郎をやりながらその事を問い続けました。だけど歳をとるにつれだんだんとつくる事が怖くなり、言い訳のような中途半端なものづくりを思考するようになっていました。そんな情けない自分が見えた時これじゃダメだとやっとの思いで奮起、蟻鱒鳶ルを着工。以来19年つくり続け今はハッキリと言えます。つくりたいものをつくる素晴らしさを!三田聖坂途中蟻鱒鳶ル力強く立ち上がりました!!
文・秋山佑太
建築は専門家のものではありません。全ての人類にとって、自分事であるジャンルです。
人生で小屋のひとつくらい建ててみたくないですか。自分で小屋を建てられる人間が増えたら、世界はもっと魅力的になるんじゃ無いかと僕は思っています。ラオスの山村では、みんな自分の家は自分たちで建てていました。10年前その村を訪れて、とても感動しました。
小さな小屋なら、プラモデル100個つくる間に、ひとつやふたつ建てられます。そんなもんです。建てるのは結構簡単です。みんなチャレンジの仕方が分からないだけです。「木を切りたい!鉄を曲げたい!石を彫りたい!コンクリートを打ちたい!そして小屋を建てたい!」そんな「手を動かしたい人」に集まってほしいです。
建築大爆発は、作りながら考えて、建築や芸術を理解していく講座です。
講師プロフィール
岡啓輔(建築家)
1965年九州柳川生まれ、一級建築士、高山建築学校管理、蟻鱒鳶ル建設中。ウイークポイントは、心臓、色覚、読書。
1995年から2003年まで「岡画郎」を運営。2005年、蟻鱒鳶ル(アリマストンビル)着工。2018年、筑摩書房から「バベる!自力でビルを建てる男」を出版。2019年「のせでんアートライン2019」に参加。
秋山佑太(美術家・建築家)
1981年東京都生まれ。美術家・建築家。作業員や建造物を扱い、移動や集積といった方法で地霊を呼び起こす作品を制作。近年の主な企画展示に、2021年「スーパービジョン」(WHITEHOUSE・デカメロン・東京)、「破線と輪郭」展(ART DRUG CENTER・宮城)、2020年「芸術競技」展(FL田SH・東京)、2018年「モデルルーム」展(SNOW Contemporary・東京)「新しい民話のためのプリビジュアライゼーション」(石巻のキワマリ荘ほか・宮城)、2017年「超循環」展(EUKARYOTE・東京)「グラウンドアンダー」展(SEZON ART GALLERY・東京)、2016年「バラックアウト」展(旧松田邸・東京)など。
講師インタビュー
2020年に全8回の「導入編」を経て、2021年5月に開講した「建築大爆発」。講座では、建築とアートの両点から「つくる」ことをキーワードに、受講生の問題意識や関心を話し合い、手を動かします。美学校で建築に関する講座が開講するのは18年ぶり。講座誕生にはどのような背景があったのか、実際の講座はどんな様子なのか。岡さんが東京・三田に建設中の「蟻鱒鳶ル(アリマストンビル)」で講師の岡啓輔さんと秋山佑太さんに話を聞きました。
建築の可能性はもっと大きい
岡 まず、秋山くんが美学校で建築の講座をやりたいと思って、それで僕に「一緒に講師をやってくれないか」って声をかけてくれたんだよね。
秋山 そもそも、岡さんがずっと関わっている高山建築学校(※1)に僕も2回だけ行っていて、そこで感じたことと、そもそも建築という業界や、職人という職能といった建築を取り巻く状況に対して抱いていた違和感とに通ずるものがあったんです。結局、みんな食っていくためにその職業に関わっていて──もちろんそこにはすごいリアリティがあるけど──建築というものを軸にした可能性ってもっと大きいよねと漠然と思っていました。
そういう思いがある中で、僕個人としては、現在は分かれてしまっている設計と施工の両方の職能をできる若者が増えたらどう変わるのかということを20代の頃からずっと考えてやっていました。でも、結局は食っていかないといけなくなるから、取りやすい案件が中心になってくるんですよね。今の若い子でも本当は設計と施工の両方をやりたい人はいて、まずは友達の家の改装をしたり、知り合いのお店をすごく安い値段でDIYの延長のような感じで改装してあげたりして、ちょっとずつキャリアを重ねていく人が少なくないと思います。だけど、それにも限度があって、500万円以上の仕事を取るには建設業許可というものを取得しなければいけないんです。
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修了生インタビュー
建築とアートをフィールドに、時には建築からアートへ、アートから建築へフィールドを越境しつつ制作をつづける岡さん・秋山さんとともに、「つくる」ことを探求する本講座。先ごろ開催された2022年度修了展「自己民俗―遊び編―」では、受講生で民俗学研究者の山本拓人さんを中心に「自己民俗」という概念を提唱し、受講生それぞれが幼いころに行っていた遊びや、忘れがたい体験を元に作品を制作・発表しました。本稿では、展示に参加した修了生3名に、講座や修了展について振り返っていただきました。
自己紹介
山本拓人です。大阪府枚方市生まれで、高校と大学の7年間を京都ですごしました。大学で古代史を学んだあと、フィールドワークの技法を身につけたいと思い、滋賀にある大学院に進学しました。院を修了したあとは、京都の田舎にある、ダムで水没した集落の展示を行う博物館の学芸員として勤務しました。その後、東京の博物館に学芸員として採用されたのを機に、2021年に上京してきました。いまは民俗学をはじめとした執筆活動をしています。
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過去の修了展など
〈様々な分野〉
▷授業日:月1回日曜日 12:00〜17:00
始まりは何かをつくってみたいという静かな衝動です。でも、それが何なのか、何をどうしたら良いのか分からない。それを見つけるためには遠回りに思えても、手ぶらで集まって話すということから始めたいと思います。
特殊漫画家-前衛の道〜商業漫画と特殊漫画-そのあいだ〜 根本敬
▷授業日:隔週火曜日 19:00〜22:00
「特殊漫画家」として、今日まで「何故食べてこられたか」その意識無意識のあいだを受講生の皆さんに語り、時に問いかけ、しばしば即興的に皆さんとラフに漫画を描きながら探っていきたいと思います。
▷授業日:隔週火曜日 19:00〜22:00
劇は始めるよりやめるほうが難しい。社会で起きている劇をやめるのはさらにとても難しい。難しいけど、劇をやめ方を考えることはいま必要とされているように思う。ワークショップや、今だから出来る実践を通して、みなさんと一緒に『劇のやめ方』にまつわる思考を捕まえたいです。
▷授業日:毎月第三水曜日(年間12回)13:00〜17:00
漫画づくりにおいて、私は作話の工程をもっとも重視しています。「白目をむくほど面白い」物語はどうやったら作れるのか?おそらくそれは、精神論がないと辿り着けない場所にあるんじゃないかと思っています。この講座は、作話理論と同じくらい精神論を大切にしていく漫画の作話講座です。
▷授業日:毎週土曜日 13:00〜16:00(10月まで)
建築家でありながら現場で大工として多くの経験をしてきた岡啓輔と秋山佑太によるハードコアな建築とアートの講座です。建築家志望の人も、職人志望の人も、アーティスト志望の人も、今は建築にもアートにも関わりがない人も、この交差点に感心があれば来てください。
アートに何ができるのか〜哲学的視点でつみなおす ART ゼミ〜 荒谷大輔
▷授業日:隔週火曜日 18:30〜21:00
この講座では、まず現在アートがおかれている社会的な状況を振り返って考えながら「アート」と呼ばれるものの本質を明らかにします。参加者が知らないうちに身に着けている価値観の前提を問い直しつつ、それでも直観的にはおそらく各人が捉えているアートの本質を、ディスカッションの中で明らかにしていければと思います。
POP ILLUSTRATION 塾 スージー甘金+小田島等
▷授業日:隔週火曜日 19:00〜22:00
講師の業界経験を踏まえ、このユニークで大きな源泉「POP」に寄り添いながら、オリジナルの表現を探って行きたいと思います。イラストレーションやデザインと言う職能的な枠組みに捉われること無く、様々な手法を使って、実践的に「POP ILLUSTRATION」を学べる講座となります。