【レポート】実作講座「演劇 似て非なるもの」第四期開講前プレイベント「世界を眺めてみる 西洋以外の舞踊と音楽から」


文・冨岡葵(「演劇 似て非なるもの」受講生)
写真・皆藤将


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先月5月15日に実作講座「演劇 似て非なるもの」第四期の開講前プレイベントが開催されました。プレイベントは「世界を眺めてみる 西洋以外の舞踊と音楽から」というタイトルのもと、ゲストにダンス批評家の武藤大祐さんとシタール奏者のヨシダダイキチさんをお招きし、実際に様々な映像や音源を視聴しながら、西洋文化のフレームの外にある舞踊や音楽を考察しました。
(プレイベントの詳細ページ→実作講座「演劇 似て非なるもの」第四期開講前プレイベント「世界を眺めてみる 西洋以外の舞踊と音楽から」

以下、実作講座「演劇 似て非なるもの」の今期受講生である冨岡葵さんによるレポートです。


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プレイベントでは、西洋以外の音楽と舞踊をシタール奏者のヨシダダイキチさん、ダンス批評家の武藤大祐さんにそれぞれ紹介してもらった。音楽は例えば、尺八のように竹の中をツルツルにして「ドレミファ」を出せるようにしていない、竹に穴をあけて音を出せるようにしただけの「法竹」の音を聴いた。ヨシダさんは「蘊蓄よりもまず聴いてほしい」と始終強調していた。私は邦楽を聴きなれていないので、どのような音楽だったかもう覚えていないが、ただその時間聴いた、という記憶は残っている。「音楽」というと、私はどうしても五線譜があるような西洋音楽をイメージしてしまう。小学校などの学校教育でもそうだったし、学校以外でもピアノなどで「音楽」といわれるものに触れている時間があったので、「音楽」イコール西洋音楽だった。もちろん知識として「邦楽」というものがあることは知っていたし、大学の授業でも「日本の伝統芸能」というような授業で、さまざまな楽器の「音」を聴いたり、五線譜以外の譜面を見たりした。しかし私にとって西洋音楽はとても馴染み深いので、「音楽」を西洋音楽という意でとらえ、邦楽を聴くことは、「音」を聴いたと言いたくなってしまう。西洋以外の音楽を注意深く聴いてこなかったのだと思った。

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武藤さんのダンスの方では、例えばパプアの踊りを紹介してもらった。パプアでは極楽鳥が、パプアの人の踊りにとって不可欠なのだという。実際に映像で、極楽鳥が求愛する際に見せる動きと、パプアの人の踊りを見比べられるように見せてもらった。これは細かく首を左右に揺らす動きだが、極楽鳥は、バレエの衣装のチュチュのように羽を円形状に広げてこの動きを行う。この動きをしている雄を雌は枝の上から見ているが、上から見ているので丸い円形しか見えない。極楽鳥がチュチュの姿で首を左右に振っているのを見ることができるのは人間の視点から見ているためだ。鳥の動きを人間が見て、模倣し、ダンスの中に取り入れているというのは興味深かった。また「韓国文化の家」主催の河龍富(ハ・ヨンブ)の踊りを映像で観た際には、ヨシダさんから「ジャンプをしても、つま先からでなく踵から落ちている」という指摘があった。例えば私が普通にジャンプをする時、つま先で地面を蹴ってジャンプし、またつま先から地面に落ちる。バレエでプリエから飛ぶ時も、例えばシャンジュマンやジュッテのように、つま先で地面を蹴って飛び、またつま先から地面に落ちる。日本でも昔、ナンバ歩きをしていた時があったように、「身体性」とはおもしろいと思った。

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▷授業日:週替わりで月曜日と金曜日 19:00〜22:00(6月から開講)
「演劇」は既成のイメージされているものよりも、本当はもっと可能性のあるものなんじゃないかと僕は思っています。それを確かめるためには、何と言われようとも、自分達の手で作ってみるしかありません。全ては集まった人達と出会うことから始めます。