現代アートの勝手口講師:齋藤恵汰+中島晴矢


定員:10名
期間:2025年5月〜2026年3月
日時:毎週金曜日 19:00〜22:00
学費:330,000円 教程維持費:11,000円(年額)
開催教室:本校

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今や現代アートは細分化し、あらゆるジャンルを包摂する取り組みの総称となっています。1990年のバブル崩壊から35年の間に起こった日本の文化的な無根拠を下敷きに、私たちは幅広いプロジェクトを勝手に展開してきました。

過去35年の間には色々なことがありました。95年の阪神淡路大震災、01年のアメリカ同時多発テロ、04年のSNS元年、08年のリーマンショック、11年の東日本大震災、15 年の安保法案、2020年のパンデミック、2021年の東京五輪、そして2022年のウクライナ戦争と2023年のガザ侵攻。

「現代アートの勝手口」は、この20世紀を総崩れにした35年の後に、改めて勝手に現代アートをやろうという集まりです。私たちは広く深く様々な形式を取り扱います。知的好奇心の赴くままに一緒に遊べる人と、これからの遊び方を再発明したいのです。

講師の齋藤恵汰と中島晴矢は、齋藤がコンセプチュアルアート(設立・出版・発表等)、中島がミクストメディア(映像・写真・執筆等)を本分としています。互いの探究してきた多角的な事柄は、常に根拠なき文化運動の中から興味の赴くものを選び、勝手に関係することを目指してきました。

その多様な勝手こそ、みなさんと共有したいものに他なりません。むろん「勝手口」とは台所の出入り口を指します。この講座を通し、三河屋のようにひとの勝手口から勝手に出入りして、その勝手を盗み合えるひとたちと出会えれば幸いです。

カリキュラム(内容と流れ)

当講座は基本的に「理論と実践」がセットになっています。各テーマごとに講義やテクスト読解を通じて「理論」を学び、ワークショップや作品制作により「実践」を行なってもらいます。

1学期は座学に徹し、芸術活動を展開していく際の基礎体力となる現代アートや各種カルチャーの知識を、テキストの精読を通じて学びます。2学期はアーティストや批評家、キュレーター、コレクティヴ、ダンサーなど、多彩なゲストを招いてより横断的な知見を広げながら作品制作を実行し、クラス全体で議論を交わす中で作品のコンセプトや精度を高めていきます。3学期は各受講生のパーソナリティに合わせた制作の補助をベースに、年度末に行われる修了展に向けて作品制作と展覧会準備を進めていきます。

これらの成果を受講生が自主的に企画する修了展で発表します。

授業内容(一例)

・『現代美術史──欧米、日本、トランスナショナル』(山本浩貴)精読
・『ニッポンの思想 増補新版』(佐々木敦)精読
・「超芸術トマソンと路上観察学」講義/実践
・「根拠地と風景論」講義/実践
・「パフォーマンス・ヴィデオ・アート」講義/実践
・「キュレーションの歴史と未来」講義/実践
・「マイナーなものをどのように紹介するか」講義/実践
・「えらぶ、ならべる、くぎる」講義/実践

過去のゲスト講師

・涌井智仁(美術家/音楽家)
・能勢伊勢雄(美学校 岡山校 校長)
・松田将英(アーティスト)
・ぼく脳(芸人/パフォーマー/アーティスト)
・SCAN THE WORLD(プロジェクト)
・奥脇嵩大(青森県立美術館学芸員)
・大山エンリコイサム(美術家)
・大岩雄典(アーティスト)
・岡啓輔(建築家)
・humunus(演劇ユニット)
・野ざらし(プロジェクトチーム)
・アグネス吉井(ダンスユニット)
・遠藤麻衣(アーティスト)
・鈴木操(彫刻家)
・筒井宏樹(近現代美術史)
・佐々木友輔(映像作家)
・赤井あずみ(鳥取県立博物館主任学芸員)
・大和田俊(サウンドアーティスト)
・赤井浩太(批評家)
・山内祥太(アーティスト)

※今年度も多彩なゲスト講師をお招きする予定です。

講師プロフィール

齋藤恵汰(さいとう・けいた)

1987年東京生まれ。2008年、ランドアートプロジェクト「渋家」設立。2016年、1990年前後に生まれた批評家・研究者が手売りで販売する批評誌「アーギュメンツ #1〜#3」(2016-2018)創刊。2020年、金沢に移住しアーティストインレジデンス「CORN」(2021-)設立。渋クリエイション株式会社(シブハウス)代表取締役。アーツカウンシル金沢ディレクター(2022-)。展覧会の企画販売を行う株式会社BUCCHIGIRI Production取締役・キュレーター。

中島晴矢(なかじま・はるや)

1989年神奈川県生まれ。現代美術、文筆、ラップなど、インディペンデントとして多様な場やヒトと関わりながら領域横断的な活動を展開。主な個展に「東京を鼻から吸って踊れ」(gallery α M, 2019-2020)、キュレーションに「SURVIBIA!!」(NEWTOWN, 2018)、グループ 展 に「TOKYO2021」(TODA BUILDING, 2019)、アルバムに「From Insect Cage」(Stag Beat, 2016)、著書に『オイル・オン・タウンスケープ』(論創社, 2022)など。http://haruyanakajima.com/

講師インタビュー

アートプロジェクト『渋家』(シブハウス)の創設にはじまり、雑誌創刊、展示企画、会社創業などを手掛ける齋藤と、現代アート、文筆、ラップなど、ジャンルを超えて活動を展開している中島が講師を務める「現代アートの勝手口」。既存のカテゴリーに収まることなく活動を続けてきた二人が、いかにして「勝手に」活動するに至ったのか、自身の経験を講座でどのように展開しているのか、話を聞きました。

現代アートの入口としての講座

齋藤 現代アートの勝手口」は2019年に開講した講座で、今年で3年目になります。美学校のようなオルタナティブな学校からChim↑Pomのメンバーをはじめとする、今やメインストリームとなった人たちが生まれてきたように、もともと現代アートは「勝手口」的な傾向があるジャンルだと思っています。そうした勝手口的ジャンルに僕らもあやかってきたわけですが、そこにもっといろいろな人が参加してほしいという気持ちがあり、その入口となるような講座として「現代アートの勝手口」を立ち上げました。

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過去の修了展など

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〈現代美術〉


アートのレシピ 松蔭浩之+三田村光土里 Matsukage Hiroyuki

▷授業日:毎週土曜日 13:00〜17:00
俗にいう「現代アート」に限らず、音楽、映画、サブカルもアングラも含めた文化全般を視野に入れた講義、ワークショップを実施します。かならずしもアーティストを養成することが目的ではないですが、節々でアートの実践を体験してもらうことで、クリエイティビティー(=創意工夫)の本質を知ることを目指します。


ビジュアル・コミュニケーション・ラボ 斎藤美奈子 Saitoh Minako

▷授業日:毎週火曜日 13:00〜17:00
作品制作を中心に、現代美術に関する講義を交えて進む講座です。制作を通して、美術作家としてのものの捉え方や考え方も学んでいきます。まず、ゆるやかな方向性をもったカリキュラムを用意します。とにかく、何か作ってみる。そこからスタートです。


芸術漂流教室 倉重迅+田中偉一郎+岡田裕子 Kurashige Jin

▷授業日:毎週月曜日 19:00〜22:00
「芸術漂流教室」は、倉重迅、田中偉一郎、岡田裕子を中心に、ゲスト講師も招きながら展開していきます。現代美術の領域で活動しながら他ジャンルにも軸足を持つ、無駄に経験値の高い講師陣とともに「楽しく」「真面目に」漂流しましょう。


未来美術専門学校 遠藤一郎 Endo Ichiro

▷授業日:毎月第三週の土曜日と日曜日
未来美術家・遠藤一郎による講座。本当にお前がやりたいことは何なのか。お前の夢を好きなまんまにやれ、わがままに。夢バカ最強宣言。非実力派宣言。最初の一歩。世の中にはへんなやつが必要だ!!


現代アートの勝手口 齋藤恵汰+中島晴矢 現代アートの勝手口

▷授業日:毎週金曜日 19:00〜22:00
「現代アートの勝手口」は、この20世紀を総崩れにした30年の後に、改めて勝手に現代アートをやろうという集まりです。私たちは広く深く種々の形式を取り扱います。知的好奇心の赴くままに一緒に遊べる人と、これからの遊び方を再発明したいのです。この講座を通し、三河屋のようにひとの勝手口から勝手に出入りして、その勝手を盗み合えるひとたちと出会えれば幸いです。


アンビカミング: シャドーフェミニズムズの芸術実践 遠藤麻衣+ゲスト

▷授業日:隔週火曜日 19:00〜22:00
アーティスト・遠藤麻衣による講座。フェミニズムの領域でも「ネガティブ」で「パッシヴ」な「シャドーフェミニズムズ」に焦点を当てて学んでいきます。クィア・フェミニズム、ソーシャルプラクティスとしての芸術に関心を寄せるさまざまな方の受講をお待ちしています。


サウンドアート・入門と実践 渡辺愛

▷授業日:第二日曜日 14:00〜16:30
この講座では、音や音楽を考えるうえでの基礎的な学びとして、広く現代音楽や電子音についての知見を深め、音自体の構造を理解し、電子音響による音づくりを通じて「音とは何か」を考察、実践します。


立体・空間制作ゼミ 時空を超えて〜彫刻からインスタレーション 利部志穂

▷授業日:毎週火曜日 19:00〜22:00
この講座では立体や、空間的な制作表現について学びます。作品制作、作品鑑賞体験、美術を考えることは勿論、それぞれの特性や関心がどのようなところにあり、どのように展開していくのか。どのような手段で制作や思考が進められるのかを、実践的に取り組んでいきます。