2024年度募集なし/次回募集は2025年度の予定です。
定員:10名
期間:2023年5月〜2024年3月
日時:隔週火曜日 18:30〜22:00
学費:170,500円 教程維持費:30,800円(通額)※教程維持費は制作実費を含みます。
開催教室:本校+スタジオ
劇は始めるよりやめるほうが難しい。人前にでたくないというひとは、人前でなにかをやるのが嫌なのではなく、人前でなにかをやめるのが嫌なのでは、とすら思う。社会で起きている劇をやめるのはさらにとても難しい。と言うより、劇を認知することと社会を認知することはほとんど等しい。
つまり、ある劇を共有できることで生まれる社会の中に私たちは生きている。その社会全体を否定するわけではなくて、やめるべき劇があるのではないか。難しいけど、劇のやめ方を考えることはいま必要とされているように思う。
『劇をやめる』そのテキスト自体が、即興的に無数の劇を生み出す。
私は、作家としては、常に即興性を生み出す劇が生き延びるべきだと考える。即興性はより多くの声を吸い込み、より多くの身体を同時に成立させるからだ。ありとあらゆるありえない組み合わせを可能にする、『劇をやめる』という演劇を作る。
この講座では、年間の最後に修了展をやります。上演でも展示でもパフォーマンス作品でもかまいません。個々人での発表か、全員での発表になるか、それは講座の進行で変わってきます。オンラインでの実験も含んでいます。
演劇には興味があるけど集団はつらい、とか、近くで見るのこわい、とか、そういう人も歓迎です。対象となる年齢やパフォーマンス経験は問いません。誰かの誕生日を祝った経験や、来週の予定を立てる経験があるなら、それは劇を立ち上げた経験がある、ということです。
個人の生活に密着した劇は力強さがあります。
どれだけ多くのタイムラインや場所を吸収できるか、その力強さをぜひ、この講座で私と共有させてください。
講師プロフィール
篠田千明
2004年に多摩美術大学の同級生と快快を立ち上げ、2012年に脱退するまで、中心メンバーとして主に演出、脚本、企画を手がける。
以後、バンコクを拠点としソロ活動を続ける。「四つの機劇」「非劇」と、劇の成り立ちそのものを問う作品や、チリの作家の戯曲を元にした人間を見る動物園「ZOO」、その場に来た人が歩くことで革命をシュミレーションする「道をわたる」などを製作している。
2018年Bangkok Biennialで「超常現象館」を主催。2019年台北でADAM artist lab、マニラWSKフェスティバルMusic Hacker’s lab参加。
講師インタビュー(開講後)
やりたくない劇は、やめられる──「劇のやめ方」の開講にあたって、そう話してくださった講師の篠田千明さん。4名の受講生とともに、自分が今どんな劇をしているのか、やりたくない劇をどうしたらやめられるのかを考え、実践してきた一年。次年度の開講に向けて、講師の篠田さんに一年を振り返っていただきました。
「中止式をつくる」「劇の書き換え」……
篠田 今年やったのは「中止式をつくる」「間接プレゼント交換」「劇の書き換え」「屋上をとある空間に変える」などです。「中止式をつくる」は、受講生に中止したいことを考えてきてもらって、エクササイズをしながら実際にセレモニーを作りました。例えば、図書館で借りた本を読み終わらないうちに返却期限が来ちゃうことってあるじゃないですか。そこで、受講生の松橋和也くんが考えたのが「読むのを中止して返却する」儀式です。どうするかと言うと、パッと開いたページの最初から最後までを音読して本を閉じて返却するんです。その本を読んだことにはならないけど、一通りの達成感がある。中止式をすることで、本を読んでいないというプレッシャーと、返却期限を過ぎているというプレッシャーの両方から逃れられるわけです。
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修了生のコメント
伊藤満彦(パフォーマー、アートプロジェクト主宰)
陥っていた劇は、個人的な事だったり社会的な事だったり、自分を紐解くきっかけを講座を通して感じました。新しい視点やアイディアを講座の同期、講師の篠田さんと雑談をする中で気付く事があります。雑談を大事にしていると篠田さんが言っていた事が印象的でした。 雑談という一見何気ないことを大切にしているだけあって、篠田さんが作る講座の空気は良く、発見の多い講座でした。間口の広い講師の関心に、参加者はいつの間にか自分と向かい合い、新しい視点で作りたい何かが見つかって行くという印象がこの講座にはあります。 小難しい前置きはさて置き。「劇のやめ方」とても楽しい時間でした。
モトカワマリコ(ライター・放送作家)
日常の不本意な関係性を「劇」と捉えてやめ方を考える、面白い視点だと思った。講座は懐が深く、アーティスト志向じゃなくても居場所がありそう。参加してみたら、篠田さんに促されてみんなが自分について、社会について、熱っぽく真摯に語り合う場だった。大人なのに10代みたいな彼らのエネルギーに触発されて、何か作りたくなり…七転八倒の末、自分の弱点「犬恐怖症」を題材に初めての戯曲「イヌコワ」を書き、修了展で上演までしてしまって!空のスタジオでまだ見ぬ劇の構想を練る悦び、作家になりたがる自分の発見は、大きな収穫だったと思っている。仲間もできたし、鬼ガッツリ楽しかったです。
イヌコワについてはコチラ⇒https://note.com/inukowa/
藤中康輝(アーティスト・大学院生)
日常生活で求められる「役割」をやめられないと悩んでいた当時、講座タイトルに惹かれて受講を決めました。 講座では日々の雑談の中から悩みや気になっていることを見つけたり、受講生が試したいことを持ち寄ったり、篠田さんのメソッドをやったりと、参加者に合わせた流動的な内容で快適でした。修了展では初めて演出家として「他人に自分の作品をやってもらう」ことを経験し、自分が一体何に気を使ったり怖がっていたりしていたのかが少しわかった気がします。
肝心の悩みは、それをやめようとするとやめられず、他のことをやっているうちに気がついたら少しやめられていたようです。
三井朝日(演出家)
篠田さんの講座「劇のやめ方」は、まずは動いてみようという場です。「劇やめ」を元に、ワークをやってみる。すると気づきが生まれる。「つくる」への気づきだけでなく、それに至る前の「生活」への気づきも。「つくる」と「生活」がどれだけ密接しているかを自覚し、二つがぐるぐる循環していきます。生活にグルーヴ感が生じます。そして、篠田さんや他の受講生と「僕の生活ではこうだ」「私はこうだ」と銘々の音を出していくうちに、団結感は無いのに、奇妙な友人感が醸成されていきました。篠田さんは、僕らを決して団結させませんが、奇妙な友人にさせるパワーを持っていると思います。
過去の修了公演など
「劇のやめ方」第二期修了発表会レポート
4/21-24まで行われた篠田千明さんを講師とした美学校の演劇系講座「劇のやめ方」第二期修了発表会をみてきました。上演空間となる美学校スタジオは、路地の奥にあるビルの一階、大きな擦りガラスの引き戸から入って、奥に向かって細長い一室です。正面の他に採光窓のない部屋は、普段は講座や展示として使われています。
2022年度「劇やめ」第二期生は6人。修了発表会では、公演会期中、全員が発表をしました。それぞれの仕方で「劇のやめ方」についての試行が行われていたように思います。
「劇をやめる」という問い立てについて、講座要項を見てみると「劇を認知することと社会を認知することはほとんど等しい。つまり、ある劇を共有できることで生まれる社会の中に私たちは生きている。」(篠田千明)とあります。受講生たちは自分が取り巻かれ、身を置く役割について考えながら講座を受けたのではないかと想像します。
修了発表会を見て、受講生たちが講座の中で考え試行した「劇のやめ方」について、簡単なレビューで紹介します。
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講師インタビュー(開講前)
大学で演劇に出会い、「快快」とバンコクでの活動を経て帰国された講師の篠田千明さん。開講に先立ち、講座内容、集団制作の面白さ、「劇をやめる」ということ、コロナ禍とキャンセレーションなど、さまざまにお話をうかがいました。
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〈様々な分野〉
▷授業日:毎週土曜日 18:30〜21:30
モードを考えるところからスタートし、実際に服を作り上げるまでの授業です。何かを想像し考え、自分の中に入り込み転がり込んで出てゆく瞬間の表現手段が服であったなら、どのような作品が生まれるのかをテーマに授業を進めます。
▷授業日:毎週金曜日 19:00〜22:00(6月から開講)
週替わりで本校とスタジオを交互に開催します。本校では対話を重視し、スタジオではその実践としての稽古を行い、最後に修了作品を制作します。それぞれがどういう作品を作るのかは、1年を通して話したり試したりするなかで、一緒に探していきます。
特殊漫画家-前衛の道〜商業漫画と特殊漫画-そのあいだ〜 根本敬
▷授業日:隔週火曜日 19:00〜22:00
「特殊漫画家」として、今日まで「何故食べてこられたか」その意識無意識のあいだを受講生の皆さんに語り、時に問いかけ、しばしば即興的に皆さんとラフに漫画を描きながら探っていきたいと思います。
▷授業日:隔週火曜日 19:00〜22:00
劇は始めるよりやめるほうが難しい。社会で起きている劇をやめるのはさらにとても難しい。難しいけど、劇をやめ方を考えることはいま必要とされているように思う。ワークショップや、今だから出来る実践を通して、みなさんと一緒に『劇のやめ方』にまつわる思考を捕まえたいです。
▷授業日:毎月第三水曜日(年間12回)13:00〜17:00
漫画づくりにおいて、私は作話の工程をもっとも重視しています。「白目をむくほど面白い」物語はどうやったら作れるのか?おそらくそれは、精神論がないと辿り着けない場所にあるんじゃないかと思っています。この講座は、作話理論と同じくらい精神論を大切にしていく漫画の作話講座です。
▷授業日:隔週土曜日 13:00〜19:00
建築家でありながら現場で大工として多くの経験をしてきた岡啓輔と秋山佑太によるハードコアな建築とアートの講座です。建築家志望の人も、職人志望の人も、アーティスト志望の人も、今は建築にもアートにも関わりがない人も、この交差点に感心があれば来てください。
自分を越えた作品を 計画的につくる方法と発表の実践 岸井大輔
▷授業日:隔週金曜日 13:00〜17:00
この講座では創作法を一緒にいくつか試して、それぞれが思いもしなかった新しい作品作りにトライしてみます。創作法を理解して応用できるようにし、最終的には作品を発表することがこの講座の目標です。
アートに何ができるのか〜哲学的視点でつみなおす ART ゼミ〜 荒谷大輔
▷授業日:隔週火曜日 18:30〜21:00
この講座では、まず現在アートがおかれている社会的な状況を振り返って考えながら「アート」と呼ばれるものの本質を明らかにします。参加者が知らないうちに身に着けている価値観の前提を問い直しつつ、それでも直観的にはおそらく各人が捉えているアートの本質を、ディスカッションの中で明らかにしていければと思います。
POP ILLUSTRATION 塾 スージー甘金+小田島等
▷授業日:隔週火曜日 19:00〜22:00
講師の業界経験を踏まえ、このユニークで大きな源泉「POP」に寄り添いながら、オリジナルの表現を探って行きたいと思います。イラストレーションやデザインと言う職能的な枠組みに捉われること無く、様々な手法を使って、実践的に「POP ILLUSTRATION」を学べる講座となります。