【8/19】実作講座「演劇 似て非なるもの」番外編 連続シリーズ 『首くくり栲象に話を聞く』第二夜(実演有り)


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※写真は、BIGAKKO ANNUAL REPORT 2010 風倉匠展でのパフォーマンスの様子。


アクショニストの首くくり栲象さんに話を聞く会、その第一夜は昨年の7月6日に開催した。当初は2~3か月おきに開催していくつもりだったのだが、1年以上経ってしまった。前回は聞き手に佐藤直樹さん(ASYL)を招いて栲象さんの1960年代からの活動について、風倉匠、高松次郎、松澤宥などの美術家との交流などについてもお話を聞かせて頂いた。第二夜ではパフォーマーの川口隆夫さんを聞き手に招いて、栲象さんに身体表現について、お話を聞かせてもらえればと思っている。前回に引き続き、実演も行なう予定です。

私が首くくり栲象さんのことを知ったのは、さほど昔ではない。2011年2月16日のこと、偶然の出会いからシアターカンパニーARICAの公演前日のゲネを拝見し、客演されていた栲象さんを知った。それからしばらくして、今度は川口隆夫さんのソロ公演を観に行ったときのこと、公演後、隆夫さんに「まるで歌右衛門が諸肌を脱いで踊っているような、、」などと非常に独特の語り口で感想を伝えている人がいて、興味を引いた。それが栲象さんであった。それが決定的な切っ掛けとなり庭劇場に通い始めることとなる。庭劇場とは栲象さんが住む国立の古い平屋の小さな庭で行なっているもので、観客が10人も入れないようなものだ。その庭にある乙女椿の木の下で首をくくるのである。首をくくるのを人に見せるというのは、話だけ聞けば露悪的なものを想像する人もいるかもしれない。だけど実際に栲象さんの首をくくったり、静かな歩行などを観いていると、とても静かで、見ている人の心に小さな小さな波紋をおこすような美しい行為なのである。栲象さんを見ていると、広大な自然の中にたったひとりで佇んで、自分自身を見つめているようである。そこにはことばがひとつもない詩的で思索的な行為。だが公演後に行なわれる栲象さんと観客たちが話を酌み交わす小宴(手料理やお酒も振る舞われる)で栲象さんから出て来ることばは綺羅星のようである。ことばが彗星のように光りを放って飛来しては消えてゆく。一瞬で消えてゆく行為やことばは尊いけれど、ここで一度あらためて栲象さんの話をまとめて聞いておきたいと思った。1960年代から風倉匠、高松次郎、松澤宥などの美術家とも交流して来た栲象さんの過ごした時間を振り返ることは、もはや歴史となりつつある美術史にもういちど小さな明かりを灯してみるようなことにもなるかもしれないと思っている。計らずも美学校で開催されることにも意味があるはずだ。それは私の小さなもくろみのひとつだけれど、実際始めてみなければ、ことばはどういう軌道を描くことになるのか分からない。一緒に、栲象さんの美しいことばに触れる時間を過ごせればと思う。(生西康典)

庭劇場については2012年にBody Arts LaboratoryのHPに雑感を書いているのでご興味のある方は、こちらもお読みください。
http://bodyartslabo.com/critique/niwagekijyo.html


語り手:首くくり栲象
聞き手:川口隆夫、印牧雅子、生西康典
日 程:2015年8月19日(水)
時 間:19:30〜(開場19:15)
料 金:2000円
申込み:申込みは不要です。
会 場:美学校 本校(地図
    東京都千代田区神田神保町2-20 第二富士ビル3F
協 力:ドゥイ、小駒豪


【プロフィール

首くくり栲象|Kubikukuritakuzou
首くくり栲象です 本名は違います 本名はきらいなので 二十のときからずらした名前をつかっている しかし 何年たってもお生まれはと問われれば 本名がでてくる
首くくり栲象とは ひどい名前である 本名には 告げれない名前です しかし この名前で 日々の庭での行為をなしている
どんな名前にしても やがて天に帰る  英語ではそれをThere and Back Againというらしいのです
Mandom
http://ranrantsushin.com/kubikukuri/

川口隆夫|Takao Kawaguchi
パフォーマー。1962年佐賀県生れ、東京在住。学生演劇からパントマイムをベースにした肉体演劇を経て、パフォーマンスへと進む。90年からATA DANCE、96年より「ダムタイプ」に参加。03年以降はソロを中心に、演劇・ダンス・映像・美術をまたぐライブパフォーマンスを探求。近年は舞踏に取材した『病める舞姫をテクストに』(2012)、『大野一雄について』(2013~)など。16年1月、<公衆トイレにおける男性間の性行為>をテーマにした新作『Touch of the Other – 他者の手』を東京にて世界初演。

印牧雅子|Masako Immaki
美術・ダンスの分野で企画、編集などを行なう。Body Arts LaboratoryのダンスフェスティバルWWFesプログラム・コーディネーター。Post Studiumスタッフ。編集書に『Wake up. Black. Bear. 橋本聡』など。
http://bodyartslabo.com/critique

生西康典|Yasunori Ikunishi
演出家。インスタレーション作品『風には過去も未来もない』『夢よりも少し長い夢』(2015、東京都現代美術館)、『おかえりなさい、うた Dusty Voices , Sound of Stars』(2010、東京都写真美術館)など。2013年秋より実作講座『演劇 似て非なるもの』を始める。


▷授業日:週替わりで月曜日と金曜日 19:00〜22:00(6月から開講)
「演劇」は既成のイメージされているものよりも、本当はもっと可能性のあるものなんじゃないかと僕は思っています。それを確かめるためには、何と言われようとも、自分達の手で作ってみるしかありません。全ては集まった人達と出会うことから始めます。