定員:8名
期間:2024年5月〜2025年3月(10月期の募集は5月より開講している当教程への編入となります)
日時:隔週火曜日 18:30〜21:00
10月期学費:95,700円 教程維持費:6,600円(年額)
開催教室:本校3F
アートとは何でしょう。ハイカルチャーと呼ばれたものは「天才」という概念を弄んだ19世紀以降の短い歴史の果てに、今や絶滅危惧種として残っているにすぎません。その代替となったサブカルチャーも、資本主義社会の枠組みを前提にした価値の共有手段になっています。資本主義の狂騒の中で「神」として祀り上げられる芸術家のあり方も、しかし、資本主義の枠組み自体が軋む中で、すり減らされながら余命を数えている段階にあるように思われます。
この講座では、まず現在アートがおかれている社会的な状況を振り返って考えながら「アート」と呼ばれるものの本質を明らかにします。参加者が知らないうちに身に着けている価値観の前提を問い直しつつ、それでも直観的にはおそらく各人が捉えているアートの本質を、ディスカッションの中で明らかにしていければと思います。
その上で「アートができること」を、私たちが日常を営む生活経済圏をまるごと問い直す中で、実践的に探求していきます。それが、この講座の最終的な目標です。「実践的」というのが非常に重要なところで、参加者(とその周辺の人々)によって実際に、新しい経済圏を作ることが目指されます。美学校という場所はそもそも、そのために作られたのではないかと僕は思っているのですが、校長には確認してません。
これまで積み重ねられてきた数々の試みの上にすでに成立している場のちからを借りながら、今まさにこの時代に実践的哲学者としてできることを探っていきたいと思います。
みなさまのご参加をお待ちしています。
授業内容
講義とディスカッションを繰り返す中で、講師を含めた参加者が無意識のうちに前提にしている価値観を浮き上がらせていき、それが凝り固まっている場合にはほぐしていきます。否定はしません。マッサージします。深呼吸する余裕ができれば、コリは自然にほぐれていくかと思います。身体性大事。もしかしたら参加者の希望に応じて、実際に身体を動かすワークをするかもしれません。
そんな中で、現代の人々の考え方を無意識のうちに規定している歴史的な構造を明らかにし、現状の資本主義社会を越える新しい経済圏の可能性を提案します。講師が近年取り組んでいるブロックチェーン技術を用いた透明性の高い信頼経済圏の提案です。これだけだと何が何やら分からないとは思いますが、講義の中で小出しにしていければと思います。これはあくまで提案で、参加者の方々の身体を拘束するものにならないよう十分に気をつけるつもりです。が、少なくとも現行社会の「当たり前」を本質的なところから見直すきっかけにはなるかと思っています。
そうして最終的には、何らかのかたちで「実践」ができればと思います。成り行き次第のところもありますが、その「実践」はアート作品を作ることかもしれませんし、演劇やダンスを上演することになるかもしれません。あるいは、何らかの信頼経済圏を作ることになるかもしれません。
講師プロフィール
荒谷大輔
慶應義塾大学文学部教授。専門は哲学/倫理学。主な著書に『資本主義に出口はあるか』(講談社現代新書)、『ラカンの哲学:哲学の実践としての精神分析』(講談社メチエ)、『「経済」の哲学:ナルシスの危機を越えて』(せりか書房)、『西田幾多郎:歴史の論理学』(講談社)、『ドゥルーズ/ガタリの現在』(共著、平凡社)など。演劇の脚本を書いたり、ダンス作品のドラマトゥルクを担当したり、自分で暗黒舞踏を踊ったりしています(https://bigakko.jp/event/2021/engeki-shuryokoen)。
photo by bozzo
講師インタビュー
著書『資本主義に出口はあるか』などで、新しい経済圏の形を提示するだけでなく、実際に新たな「国家」の創造に取り組むなど、実践的哲学者として活動する講師の荒谷大輔さん。本稿では、幼少期の哲学的体験にはじまり、自身と社会との関係の変化など、荒谷さんの活動と講座の背景についてお話しいただきました。
哲学的な原体験
出身は、宮城県仙台市です。仙台市中心部から電車で数駅先の郊外で育ちました。父親は普通のサラリーマンで、どちらかと言えば、資本主義社会の中でお金を稼ぐタイプだったと思います。小学校は徒歩20分かけて通っていたんですが、小学2年生の通学途中に、突然、言葉と意味の関係が分からなくなったことがありました。道路を走る車を見て「ロールス・ロイス」という言葉が浮かんだのはいいのですが、その言葉が現実に見た車とどうつながるのかがわからなくなったのです。そこを起点にどんどん世界が崩れていく感じがありました。今、自分が立っている地面が本当に地面なんだろうかと。言葉と意味との関係がズレて、足元がぐらぐらする感じです。すごく不安になって母親に「ロールス・ロイスがなんなのか分からなくなった」と言ったものの、相手にされなかったですね。しばらくしたら治りましたが、哲学的な原体験として記憶しています。
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過去の修了展など
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〈様々な分野〉
▷授業日:毎週土曜日 18:30〜21:30
モードを考えるところからスタートし、実際に服を作り上げるまでの授業です。何かを想像し考え、自分の中に入り込み転がり込んで出てゆく瞬間の表現手段が服であったなら、どのような作品が生まれるのかをテーマに授業を進めます。
▷授業日:毎週金曜日 19:00〜22:00(6月から開講)
週替わりで本校とスタジオを交互に開催します。本校では対話を重視し、スタジオではその実践としての稽古を行い、最後に修了作品を制作します。それぞれがどういう作品を作るのかは、1年を通して話したり試したりするなかで、一緒に探していきます。
特殊漫画家-前衛の道〜商業漫画と特殊漫画-そのあいだ〜 根本敬
▷授業日:隔週火曜日 19:00〜22:00
「特殊漫画家」として、今日まで「何故食べてこられたか」その意識無意識のあいだを受講生の皆さんに語り、時に問いかけ、しばしば即興的に皆さんとラフに漫画を描きながら探っていきたいと思います。
▷授業日:隔週火曜日 19:00〜22:00
劇は始めるよりやめるほうが難しい。社会で起きている劇をやめるのはさらにとても難しい。難しいけど、劇をやめ方を考えることはいま必要とされているように思う。ワークショップや、今だから出来る実践を通して、みなさんと一緒に『劇のやめ方』にまつわる思考を捕まえたいです。
▷授業日:毎月第三水曜日(年間12回)13:00〜17:00
漫画づくりにおいて、私は作話の工程をもっとも重視しています。「白目をむくほど面白い」物語はどうやったら作れるのか?おそらくそれは、精神論がないと辿り着けない場所にあるんじゃないかと思っています。この講座は、作話理論と同じくらい精神論を大切にしていく漫画の作話講座です。
▷授業日:隔週土曜日 13:00〜19:00
建築家でありながら現場で大工として多くの経験をしてきた岡啓輔と秋山佑太によるハードコアな建築とアートの講座です。建築家志望の人も、職人志望の人も、アーティスト志望の人も、今は建築にもアートにも関わりがない人も、この交差点に感心があれば来てください。
自分を越えた作品を 計画的につくる方法と発表の実践 岸井大輔
▷授業日:隔週金曜日 13:00〜17:00
この講座では創作法を一緒にいくつか試して、それぞれが思いもしなかった新しい作品作りにトライしてみます。創作法を理解して応用できるようにし、最終的には作品を発表することがこの講座の目標です。
アートに何ができるのか〜哲学的視点でつみなおす ART ゼミ〜 荒谷大輔
▷授業日:隔週火曜日 18:30〜21:00
この講座では、まず現在アートがおかれている社会的な状況を振り返って考えながら「アート」と呼ばれるものの本質を明らかにします。参加者が知らないうちに身に着けている価値観の前提を問い直しつつ、それでも直観的にはおそらく各人が捉えているアートの本質を、ディスカッションの中で明らかにしていければと思います。
POP ILLUSTRATION 塾 スージー甘金+小田島等
▷授業日:隔週火曜日 19:00〜22:00
講師の業界経験を踏まえ、このユニークで大きな源泉「POP」に寄り添いながら、オリジナルの表現を探って行きたいと思います。イラストレーションやデザインと言う職能的な枠組みに捉われること無く、様々な手法を使って、実践的に「POP ILLUSTRATION」を学べる講座となります。