特別講座「宥学会・遊学塾」第60回「現代の知と感性と世界」ポスト構造主義から思弁的実在論、心脳問題からAI問題、それらは今日の芸術問題にどう関わるか？

第60回 6月14日（金）

「現代の知と感性と世界」
ポスト構造主義から思弁的実在論、心脳問題からAI問題、それらは今日の芸術問題にどう関わるか？
講師：藤井雅実

アートシーンにおける批評の失効は、すでに80年代バブル期から言われていた。しかし、批評の失効ということが、アートシーンに及ぼす意味は、それを問う批評や理論自体の意義が弱まることと相関して、問われにくくなっている。
他方、かつて先進諸国の先端文化を席巻したポスト構造主義系の現代思想も、90年代以降、その影響力を弱めただけでなく、大きな新展開も見られなかった。
そんな中、ゼロ年代から浮上した、新たな実在論系の思潮も、思想マニアや一部のアート理論などで騒がれるが、かつてのポストモダン思想のような大きな広がりはない。
加えて、今世紀に入り、IT,AI関連技術とネット環境の広がりと共に、世界の経験に前代未聞の新たなフレームが加わってきている。
そうした新たな環境変化も含め、世界を捉え返す知と感性は、どのような制約と可能性に直面しているのか？
そうした、途方もない問いへの入口を、みなさんと共に探りたいと思います。

藤井雅実
芸術哲学研究。芸術・文化評論。元「画廊パレルゴン」主宰。
近著：『美術手帖』2019年6月号「80年代　日本のアート」特集：藤井雅実インタビュー、筒井宏樹、吉竹美香、椹木野衣らのテキストに関連記述あり。　
『〈外〉への共振−哲学と芸術の限界とその〈外〉』（「Search&Destroy」第１号・東京造形大学電子マガジン ※ダウンロード無料）。
編著・共著：『現代美術の最前線』（画廊パレルゴン刊　※ダウンロード可のPDF版あり）
『人はなぜゲームするのか−電脳空間のフィロソフィア』など。
CD-ROM監修・翻訳：RMNデジタル・アートセレクション『レオナルド・ダ・ヴィンチ』『ドラクロワ』『セザンヌ』（フジテレビ・NECインターナショナル）。
翻訳(共訳)：R・ニード『ヌードの反美学』、R・カミング『深読みアート美術館』など。

日　程：2019年6月14日（金）（講座は毎月第二金曜日開催）
時　間：19:00～21:00（開場18:40）
場　所：美学校　本校（地図）
　　　東京都千代田区神田神保町2-20 第二富士ビル3F
参加費：1,500円
申込み：受講申込みは不要です。直接美学校にお越しください。
問合せ：宥学会　yugakukai@mbr.nifty.com

宥学会

かつて美学校に存在した観念美術家・松澤宥主催の「最終美術思考教場」。そこには、新しい価値観による表現をめざす自由な雰囲気がありました。宥学会・遊学塾は、その再現を願い創設された継続態です。主催するのは、同教場の最終年在籍生３名（窪寺雄二、米谷栄一、渡辺彰）が結成した宥学会。気負った名称ではありますが、松澤を崇めるのではなく触媒とすることで、各々の表現思考を広げたいと考えるささやかな集まりです。