本教程は2023年度をもって終講しました。
定員:6名
日時:毎週土曜日:18:30〜21:30
開催教室:本校3F
何かを想像し考え、自分の中に入り込み転がり込んで出てゆく瞬間の表現手段が服であったら、どのような作品が生まれるのかをテーマに本講座は進められます。
服なんてしょせん寒さをしのぐための道具にすぎないのに、なぜ私たちは服を選ばなければならないのか?よくよく考えると単純な思想にぶつかります。
今のこの時代にこの服装なら問題ないとか・美しく見せたいとか・自分の性格に合ってるなど、いろいろな考えで服を選びます。しかし実際には自分の意志で選んだつもりでも、モードの権力によって左右されていることが多いはずです。
本講座はモードを考えるところからスタートし服を作り上げるまでの授業です。経験の有無は問いません。
デザイン~素材~パターン(型紙)~縫製と服作りを中心とした実技と実際プロの現場ではどのような作業がおこなわれているのか、第一線で活躍している技術者、デザイナー等を招き講義をしていただきます。そのなかで自分自身が表現するための服とはなにか?を一年間通して考え、物作り進めていきます。
濱田謙一
授業内容
5月 オリエンテーション 表現1
6月 服の構造 表現2
7月 服の構造 表現3
9月 パターン実習 縫製、トワル作成
10 月 パターン実習 縫製、トワル作成
11 月 デザイン1 素材イメージ
12 月 デザイン2 素材イメージ
1月 自由制作
2月 自由制作
3月 自由制作 縫製工場見学
4月 作品発表
講師プロフィール
濱田謙一
1967年東京都生まれ。1988年東京デザイナー学院卒業。PASHU、丸紅、COMME des GARÇONSを経て現在フリー。映画、舞台、CM、衣装デザイン制作多数。東京を中心に、パリ、横浜等にて個展、グループ展。2010年ロシアモード誌にファッション論を連載、美学校も紹介される。
講座レポート
この記事を読んでいる人で、これまでにただの一度も「洋服を着たことがない」という人はおそらくいないだろうが、「洋服を作ったことがない」という人は案外多いかもしれない。日本におけるファストファッションの代表格・ユニクロは国内に852店舗、ファッションセンターしまむらは1312店舗、2008年東京に1号店をオープンさせたH&Mは46店舗をかまえる。いまや、安くてそれなりにおしゃれな服はどこでも買えるのであって、洋服を自作する方がかえってお金も時間もかかるくらいだ。(店舗数は執筆時のもの)
かたや、今年(2014年度)で開講8年目を迎える「モード研究室(ファッションの現場から)」は、自らの手で洋服を作ることに重きを置いた講座だ。講座を取材した日も、受講生は黙々とパターン(型紙)をひいており、その光景は学校というよりもファッションブランドの制作現場のようであった。週に1回3時間。多いとは言えない授業時間に1台のミシン。環境的には決して恵まれているとは言えない美学校で手間をかけて洋服を作る理由とは一体なんなのだろうか。・・・続きを読む
講師インタビュー
━━━モード研究室ではどんな授業をされているんでしょうか?
最初の頃は一年をどんなふうにやっていこうかなとかいうのを考えていたんだけど、生徒が勝手にやっていくようなスタイルの方がいいなということに最近気がついた。あまり方向性は決めていないんだよね。万が一迷ったりしたら、自分のカリキュラムに戻せばいいなと考えてはいるけど、とりあえずは生徒主導で自主的にやる感じだね。あまり余計なことを言わないし、干渉しないし、極端な話教えない。
━━━例えばファッションの授業と言ったらデザインやパターンや縫製などが思い浮かびますが。
やれと言ったことはないね。逆に知りたいことがあったら聞いてくれという感じかな。それを見つけるのが彼らの仕事なんじゃないかなって思うし、そこに対して苦労するんじゃないのかな。
━━━今来ている人たちはどんなことをやっているんですか?
今は四年目の生徒が中心になっていて、その人たちにアシスタント的な感じで引っぱってもらっている。今年は学生の延長ののりだとすごく退屈するなと思ったからテーマだけを与えた。そのテーマというのは、自分たちのお金で実際にシャツを200着作って、それを展示会形式で実際に販売して儲けてみようと。それを実際にやっていくと、その過程で色々な仕事が発生してくる。その仕事は限りなく現場に近くて、それこそ本格的にブランドネームを作って、品質のアテンションをしてとかね。
やっぱり洋服というのは作品でもあり得るかもしれないけど、それよりも何よりも商品なんだよね。それを売って生活をするわけで、そこがデザインと芸術の違うところだと思う。洋服はなんだかんだ言ってビジネスだから、自分で作ったものが売れる喜びというのを授業の中で教えられたらいいなって思っている。そういう学校はあまりないんじゃないかな。・・・続きを読む
修了生インタビュー:梅木美貴
2016年と2017年に「モード研究室」を、2019年に「デザインソングブックス」、2021年に「デザインソングブックスの〈編曲〉」を受講した修了生の梅木美貴さん。現在、埼玉県行田市を拠点に、オーダーで服作りを行っています。もともと服作りを仕事にするつもりはなかったと話す梅木さん。どのような経緯で講座を受講し、現在の活動に至ったのか、梅木さんのアトリエで話を聞きました。・・・続きを読む
修了生座談会
――まずは、自己紹介をお願いします。
小室 小室真理です。2013年の10月から半年間受講しました。今は、地元の茨城県でローカルのテレビ局の番組制作やPRなどをしています。
阿部 阿部純子と申します。小室さんと同期で、私も半年間受講しました。受講当時はOLをしていましたが、受講をきっかけに転職して、今は縫製の仕事をしています。
堀江 堀江進司と言います。私は卒業生というか、3ヶ月くらいの夏期講座を受講して、本来の授業のエッセンスを学びました。同じ年の秋から、小室さんと阿部さんが受講したクラスが始まったんですが、彼女たちの修了展に参加しないかと声をかけていただいて、修了展を一緒にやった仲間になりました。普段は事務職として働いていますが、もともと服が好きなので、空いている時間を使って服作りを続けています。昔からの趣味の延長でダンスもやっています。
――美学校を知ったきっかけと、「モード研究室」の受講理由を教えていただけますか。
小室 美学校はインターネットで知りました。美学校に入るまで4年くらい独学で服を作っていて、販売も少ししていたんですけど、やっぱりプロの人に習いたいなと思って。でも、茨城には学校が全然ないし、東京に出るとなると毎日は無理だし仕事は辞められないし、できれば土曜日の夜に行ける学校がないかなと思って探したら、ちょうど美学校の「モード研究室」を見つけて。コム・デ・ギャルソンにいた先生だったら面白いかなと思ったんですけど……正直、入学までは1年くらい悩みました。
阿部 そうだったんだ。知らなかった(笑)。
小室 結構悩みました(笑)。服作りをちゃんと勉強したわけではなかったから、受けいれてもらえるかなってウジウジしてたんですけど、「今年できなかったら来年だってできないよ、歳とるだけじゃん」と思って見学に行ったんです。・・・続きを読む
過去の修了展
記録写真:2013年度修了展
記録写真:2012年度修了展「Body Image Boundary ~私の皮膚~」
日程:2013年5月18日(土)20:00〜5月19日(日)21:00頃
場所:美学校
記録写真:モード研究室のメンバーによるクロージングレーベル「whipple scrumptious caramel delight」の1st Exhibiton
日程:2012年4月6日(金)〜8日(日)
場所:boyAttic
記録写真:2009年度修了展
記録写真:2008年度修了展