【アーカイブ申込みは9/30日まで】オープン講座「基礎教養シリーズ〜ゼロから聴きたいプログレッシヴ・ロック〜」講師:松山 晋也 ゲスト:岸野 雄一 横川 理彦 yuichi NAGAO



放送時間:3時間46分
曲名リストや「日本(のオタクカルチャー)におけるプログレ の影響」レジュメ付き
◎お申し込みはこちら:Peatix


毎回テーマに沿ったジャンルをがっつり掘り下げる『ゼロから聴きたい』シリーズ。
今回のテーマは”プログレッシヴ・ロック”です。

この講座では、『プログレのパースペクティヴ』の著者である音楽評論家の松山 晋也が、誕生から50年を超えた「プログレッシヴ・ロック」と呼ばれ得る領域の概観・大まかな流れを解説していきます。
また、ゲストには本校「映画を聴く」講師でありスタディストの岸野 雄一氏。同じく本校「サウンドプロダクション・ゼミ」講師であり、作編曲、演奏家の横川 理彦氏を時代の証言者としてお招きいたします。
また、電子音楽家のyuichi NAGAO氏には、昨今のアニソンやボカロもの、ゲーム音楽への影響について考察していただきます。

「プログレって耳にはするけど実はよく分からない」という初心者の方や、「改めて体系立てて聴いてみたい」という方、「後追い世代なので、どのような経緯で誕生して広まっていったのか知りたい」などなど、若い方にとっては入門編として、あるいはさらに楽しみたい方への再入門編として”プログレッシヴ・ロック”をご紹介いたします。

※ゼロから聴きたいシリーズは隔月、奇数月に開催いたします。ご期待ください!!

ゼロから聴きたいプログレッシヴ・ロック- 講師:松山 晋也より


私がまだ大学生だった1979年、プログレ仲間のあいだで「TOTOプログレ問題」というやっかいな出来事がありました。ある者から提示された「TOTOはプログレなんじゃないか?」というテーマについて、各人が自分のプログレ魂にかけて侃々諤々の議論(罵倒合戦)を繰り広げ、数日にわたって険悪なムードが続きました。当時の私は否定派でしたが、今聴くと、なるほどプログレだったのかも…という気もします。ちなみに当時私がこれぞ真のプログレだぜと力説していたのはスロッビング・グリッスルやフライング・リザーズ、ヤング・マーブル・ジェイアンツなどでしたが、昔も今もそれらがプログレッヴ・ロックにカテゴリーされることはありません。  

こと左様に、プログレッシヴ・ロックの定義づけはやっかいです。字義どおりに解釈すれば「進歩的ロック」ですが、「進歩的」という言葉は常に自家撞着や退嬰の危機をはらんでいるわけで。めんどくさいので、私は90年代ぐらいから「俺が面白いと感じるものは全部プログレ」と思うようになりました。そういう気分で2000年には『プログレのパースペクティヴ』というガイドブックも作りました。そしてプログレ・マニアの方々から石を投げられました。    

今回のレクチャーの趣旨は「プログレッシヴ・ロックをまったく知らない人向けの解説」ということなので、「俺が面白いと感じるもの」ではなく、一般的/正史的にプログレと認知されてきた/いるものを真正面からとりあげます。そして、60年代末期~70年代半ばのロック・シーンにおいて一大ムーヴメントとなったこの音楽がその後、どのように拡散/変容しながら現在のシーンとつながっているのか、に着地できればと思っています。 レクチャーのおおまかな流れは下に書いたとおりですが、録音手法や音響、ステージ演出、リズムの革新、伝統音楽との接点といったことなどにも随所で触れる予定です。楽理や機材にも詳しい横川理彦さんに助けていただきつつ、プログレッシヴ・ロックとは何かについて改めて考えてみたいと思います。

講義内容(予定)


1. プログレッシヴ・ロックの誕生

①プログレッシヴ・ロックとは何か?   
   プログレッシヴ・ロックの定義について

②プログレ5大バンド      
   キング・クリムゾン、ピンク・フロイド、イエス、ELP、ジェネシス

③プログレ前夜
   プログレッシヴ・ロック誕生の背景   
   参照された音楽家たち

2. プログレッシヴ・ロックの拡散と変容

①本場英国でのヴァリエイション
   カンタベリー・ロック、シンフォニック・ロック、R.I.O (Rock In Opposition)

②英国以外への伝播
   イタリア、ドイツ、フランス、北欧、東欧、アメリカ大陸、日本   
   現地の風土や文化とのフィードバック

③プログレの終焉と転生
   パンク~NWとの相互侵食   
   ポップ/フュージョン化 

3. 今日のプログレ

①プログレとしての90年代ポスト・ロック   
   ドラムンベイス、シカゴ音響派、エレクトロニカ   
   ビョークとレイディオヘッド  

②サブスク時代のプログレ   
   タイヨンダイ・ブラクストン、ジェイリン、ブラック・ミディ etc
   ニェゲ・ニェゲ・テイプス(Nyege Nyege Tapes)

③ゲーム音楽やボカロ、アニメソングへの影響
   ・ゲーム音楽:プログレ直撃世代による直截的影響と次世代への音楽教育装置
   ・電波ソング:インターネット以降の過剰性/日本的デジタル発酵の嚆矢
   ・ボーカロイド:ゲーム音楽の子供世代/歌唱表現の拡張/新世代ボカロ表現
   ・音楽ゲーム:制限の中の過剰性/音楽の競技化、スポーツ化により複雑化&高速化する楽曲構造
   ・同人音楽:非商業と蛸壺化による豊かな表現土壌
   ・アニメソング、声優楽曲、Vtuber楽曲:”メジャーの中のアンダーグラウンド”、流行と実験の器


講 師:松山 晋也

ゲスト:岸野 雄一
    横川 理彦
    yuichi NAGAO

放送時間:3時間46分

形 式:オンライン

参加費:一般・アーカイブ受講・・・1,500円
    2021年度・美学校在校生・アーカイブ受講・・・1,000円

申 込:こちらのPeatixのページからお申し込みください。

アーカイブ動画ではプレイバックされた楽曲部分はカットや映像の差し替えを行います、予めご了承ください。

 

アーカイブ動画視聴に関して


アーカイブ視聴期間:2022年4月04日〜2022年9月30日

視聴期限は2022年10月31日までとなりますのでご注意ください。

講師プロフィール


松山 晋也(まつやま・しんや)

1958年生まれ。鹿児島市出身。音楽評論家。
著書「ピエール・バルーとサラヴァの時代」(青土社)、「めかくしプレイ BLIND JUKEBOX」 (ミュージック・マガジン社)、編・共著「カン大全 ~永遠の未来派」(Pヴァイン)、「プログレのパースペクティヴ」(ミュージ ック・マガジン社)。その他音楽関係のガイドブックやムック類多 数。個人的プログレ四天王はアレア、アート・ベアーズ、マグマ、 ラ・デュッセルドルフ。


岸野 雄一(きしの・ゆういち)

音楽家、オーガナイザー、著述家など、多岐に渡る活動を包括する名称としてスタディスト(勉強家)を名乗る。
東京藝術大学大学院映像専攻、立教大学現代心理学部、広島市立大学芸術学部にて「映画におけるサウンド・デザイン」の教鞭を執る。音楽レーベル運営として“Out One Disc”を主宰し、OORUTAICHIやGangpol&Mitなど個性豊かなアーティストをプロデュース。オーガナイザーとしてはSparks、Max Tundraなどの海外アーティストを招聘。アーティストとしては、音楽劇『正しい数の数え方』が文化庁第19回メディア芸術祭エンターテインメント部門で大賞を受賞した。近年では、都内コンビニにDJブースを持ち込んだ『レコードコンビニ』や、盆踊りをアップデートするプロジェクトが話題を呼ぶなど、常に革新的な『場』を創造している。


横川理彦

横川 理彦(よこがわ・ただひこ)

作編曲、演奏家。
80年に京都大学文学部哲学科を卒業後、本格的な演奏活動に入る。4-DP-ModelAfter DinnerMetrofarceMeatopia等に参加。電子楽器と各種生楽器を併用する独自のスタイルに至る。海外でのコンサート・プロジェクトも多数。現在は、即興を中心としたライブ活動などのほか、演劇・ダンスのための音楽制作など多方面で活動中。また、コンピュータと音楽に関する執筆、ワークショップなども多い。ヨーロッパ、アフリカ、アラブ、日本と、世界中の音楽のDNAを徹底的に研究し、自身の作品に貪欲に取り入れる。昨年Whereabouts Recordsよりリリースした最新プロジェクト『RedRails』では、自身のヴァイオリンとエレクトロニクスに、フランス人トラッドミュージシャンとの即興を取り入れ、繊細な電子音響を構築した。


〈配信中のオンライン講座〉


〜ゼロから聴きたいフランク・ザッパ〜講師:須川 宗純 ゲスト:石原 剛一郎 今井 研二 竹内 理恵 岸野 雄一

▷放送時間:4時間20分
※検索用楽曲リスト付き。
天才、奇才、変人といった肩書きがついて回るフランク・ザッパ。彼は何をめざしていたのでしょうか? あるいは何を見すえていたのでしょうか? 現在の盛り上がりを見るにつけ、それをふつうに見直す環境が整うまでに(日本では)30年近くという時間が必要だったのかもしれないと思わされます。前半ではザッパの歩みを年代順に追い、後半では「いま考えるザッパの聴きどころ」というかたちでお話を進めていきます。


増補改訂版〜ゼロから聴きたいシティポップ 〜講師:柴崎 祐二 ・長谷川 陽平・モーリッツ・ソメ・加藤 賢・岸野 雄一

▷放送時間:4時間23分
※柴崎さんによる楽曲リスト付き、前回のシティポップ講座も概要欄からご視聴いただけます。
厳密なジャンル用語としてでなく、ある特定の「ムード」として把握されがちな<シティポップ>というのは、改めていったいどんな音楽(文化)なのか。それはどこからやってきたのか。どのように発展/拡散をとげ、現在のような状況を準備するに至ったのか。そして、これからどこへ向かうのか。 一口に「主に80年代の日本で作り出された都会的ポップミュージック」と理解するだけでは足りないこのシティポップ(文化)を、音楽的な面、歴史/社会的な面、業界構造や受容意識の変遷から眺め直し、より深く鑑賞/理解するための道筋を探ります。


〜ゼロから聴きたいプログレッシヴ・ロック〜 講師:松山 晋也 ゲスト:岸野 雄一 横川 理彦 yuichi NAGAO

▷放送時間:3時間46分
曲名リストや「日本(のオタクカルチャー)におけるプログレ の影響」レジュメ付き。
この講座では、『プログレのパースペクティヴ』の著者である音楽評論家の松山 晋也が、誕生から50年を超えた「プログレッシヴ・ロック」と呼ばれ得る領域の概観・大まかな流れを解説していきます。


〜ゼロから知りたいレコードの聴き方・明治 大正 昭和初期編〜 講師:毛利 眞人・山田 参助・細馬 宏通・岸野 雄一

▷放送時間:2時間49分
アーカイブの重要性を提唱している音楽評論家・音楽史家の毛利 眞人がSPレコードという記録物からどのように情報を引き出すか?リスニングと鑑賞を経てどのように批評するか?どのように収集、保存、体系化し、どのように後世に伝えていくかを考えます。
レコードというメディアを軸に歴史を読み解き、過去を辿る事で未来へ繋げていきましょう。


映画音楽の現在形 2001-2021 講師:菊地成孔、入江陽、荘子it、岸野雄一

▷放送時間:第一部:2時間23分 第二部:1時間46分
20世紀の大衆芸術の花形ともいえる映画。21世紀も四半世紀に近づくこれから、その表現がどのように進化していくのか?
映画における『音楽』という切り口から考えていくトークイベントです。映画と音楽に造詣の深い4名の出演者を迎え、2001年から現在までの20年の間に生まれた新しい(=未だ古典になっていない)映画音楽について語っていきます。