【アーカイブ申込みは9/30日まで】オープン講座「基礎教養シリーズ番外編 〜ゼロから知りたいレコードの聴き方・明治 大正 昭和初期編〜」講師:毛利 眞人・山田 参助・細馬 宏通 聞き手:岸野 雄一


▷毎回テーマに沿ったジャンルをがっつり掘り下げる『ゼロから聴きたい』シリーズ。
今回は番外編として”SPレコードとアーカイブについて”をテーマにお届けいたします。

◎放送時間:2時間49分
お申込はこちらから


記録メディアとして普及してきたレコードはその役目をデジタルに譲り、DJやコレクター達の間で楽しまれるものとなって久しくなります。
しかし、その中でもSPレコードというメディアは段々と消えゆく状況にあり、CD化やデジタル配信に乗らない貴重な音源が聴けなくなるという危機に瀕しています。
そこでこの講座では、アーカイブの重要性を提唱している音楽評論家・音楽史家の毛利 眞人がSPレコードという記録物からどのように情報を引き出すか?リスニングと鑑賞を経てどのように批評するか?どのように収集、保存、体系化し、どのように後世に伝えていくかを考えます。
レコードというメディアを軸に歴史を読み解き、過去を辿る事で未来へ繋げていきましょう。

ゲストには漫画家の山田 参助氏、早稲田大学教授の細馬 宏通氏をお招きし、レコードの魅力についてより多角的に深堀りいたします。
また、聞き手として
本校「映画を聴く」講師でありスタディストの岸野 雄一氏もお招きいたします。

ゼロから知りたいレコードの聴き方 講師:毛利 眞人


アナログブーム、レコードの復権、という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
サブスクリプションに代表される配信サービス全盛の今日ですが、レコードという記録媒体は根強い人気があります。そのなかでも78回転のSPレコードはとりわけコアな部門として知られています。それは「蓄音機」という専用の機械を使わないと再生できない、扱い方がむずかしそう、といったことからでしょう。しかしSPレコードはあんがい身近にひそんでいるのです。そうしてデジタル化の荒波にふんわり乗りながら生き残ろうとしています。音の生きた化石、SPレコードの世界をいっしょに楽しみましょう。

 

講義内容(予定)


1,レコードを知ろう
意外に身近なSPレコードの世界。DJ用プレイヤーには78rpmが実装されていることが多い、サブスク配信の音源でも78rpm由来の音源は沢山ある、ドラマやCMなどで耳にしているあのメロディが実は……遠いようで遠くないSPレコードの世界を述べる。

2,レコードを聴こう
配信サービスやmp.3などデジタル音源とちがってレコードは円盤の形として実在する記録媒体である。その媒体に針を当てて、物理的な接触によって音響が発せられる。まずはその音を聴いてみましょう、というコーナー。

3,レコードで遊ぼう
レコードはコレクションアイテムとしてとても人気がある。「聴いてみたいから集める」というのがコレクションの根本(珍しいから集める、という主義もあるけれど)。その遊び方は人それぞれ。十人十色のアンソロジーが組めるのがレコードの楽しいところだ。そんな遊び方のひとつ、CDにする遊びを紹介する。

4,レコードでつなごう
SPレコードは趣味性が高い。でも一方でれっきとした歴史史料でもある。敷居の低さがSPレコードの魅力でもあり、また研究史料としての確立を阻んできた壁でもあった。しかしグローバルなデータベース化の波に乗ることでSPレコードのデータがフラットに提供され、娯楽、研究に役立つ時代が来ている。データベースでどんな世界が広がるか、SPレコードの生き残り戦術を見てゆこう。

蓄音器のご紹介


講義の際に使用する蓄音機は 「HMV 163」 という名機です。
1927〜1930に発売された機種です。亜鉛板製リ・エントラント(折り曲げ)ホーンを内蔵しており、1925年に登場した電気録音に対応した機種です。床に据え置くフロア型では中級のモデルでオーケストラなど多彩なサウンドの再生に適しています。
さんさき坂カフェで聴講される方は、この名機の音を直に体験する事ができます。


講 師:毛利 眞人

ゲスト:山田 参助
    細馬 宏通

聞き手:岸野 雄一

放送時間:2時間49分

会場協力:さんさき坂カフェ(台東区谷中5丁目4−14)

参加費:一般・アーカイブ受講・・・1,500円
    2021年度・美学校在校生・アーカイブ受講・・・1,000円
    
申 込:こちらのPeatixページからお申し込みください。

リアルタイム受講にアーカイブ動画は付与されません。
また、アーカイブ動画ではプレイバックされた楽曲部分はカットや映像の差し替えを行います、予めご了承ください。
講座内で再生した曲名は動画の概要欄からご確認いただけます。

 

アーカイブ動画視聴に関して


アーカイブ申し込み期間:2022年3月14日〜2022年9月30日
視聴期限は2022年10月31日までとなりますのでご注意ください。

講師プロフィール


毛利 眞人(もうり・まさと)

音楽評論家・音楽史家。1972年岐阜出身。
1995年より北海道新冠町立レ・コード館設立に協力する。2001年より10年間、NHKラジオ深夜便でSP音源の紹介番組を持つ。現在、ボン大学の片岡コレクション・プロジェクトに招聘研究員として加わっているほか、歴史的音源所蔵館連携ネットワーク(レキレコ)の発起人をつとめている。早稲田大学演劇博物館招聘研究員。
単著に『ニッポンスウィングタイム』(講談社 2010)、『沙漠に日が落ちて 二村定一伝』(講談社 2012)『ニッポン エロ・グロ・ナンセンス』(講談社 2016)などがあるほか、ぐらもくらぶ、ビクターエンタテインメントでSPレコードからの復刻CDの監修を行なっている。近日中に新著『SPレコード入門 〜基礎知識から史料活用まで』(スタイルノート)を出版予定。


横川理彦

山田 参助(やまだ・さんすけ)

漫画家。1972年、大阪府出身。大阪芸術大学美術学科木版ゼミ卒業。
94年からゲイ雑誌、風俗誌、実話誌など主にエロ媒体で漫画やイラストレーションを発表。「月刊コミックビーム」(KADOKAWA)にて2013~2018まで連載された「あれよ星屑」にて 2019年第23回手塚治虫文化賞新生賞および第48回日本漫画家協会賞コミック部門大賞、 カステルマン社より出版されたフランス語版がPrix Asie de la Critique ACBD 2020を受賞。
他作品に「ニッポン夜枕ばなし」(リイド社)「新やる気まんまん オット!どっこい」(リイド社) 2003年から武村篤彦と歌謡ユニット「泊」を結成。 アルバム「唄声の港」(2010 Pヴァイン)「霽月小曲集」(2014 ぐらもくらぶ)を発表。 2021年SP復刻レーベルぐらもくらぶの戦前レコーディング状況再現新録企画 CD「大土蔵録音 2020」に歌で参加。


細馬 宏通(ほそま・ひろみち)

1960年生まれ。早稲田大学教授。
人と人とのやりとりで声と身体がどう使われるかについて、日常生活からフィクションまで幅広い対象を研究している。
著書に『うたのしくみ 増補完全版』(ぴあ)、『いだてん噺』『今日の「あまちゃん」から』(河出書房新社)、『二つの「この世界の片隅に」』『絵はがきの時代 増補新版』『浅草十二階 増補新版』(青土社)、『介護するからだ』(医学書院)、『ミッキーはなぜ口笛を吹くのか』(新潮社)など。


岸野 雄一(きしの・ゆういち)

音楽家、オーガナイザー、著述家など、多岐に渡る活動を包括する名称としてスタディスト(勉強家)を名乗る。
東京藝術大学大学院映像専攻、立教大学現代心理学部、広島市立大学芸術学部にて「映画におけるサウンド・デザイン」の教鞭を執る。音楽レーベル運営として“Out One Disc”を主宰し、OORUTAICHIやGangpol&Mitなど個性豊かなアーティストをプロデュース。オーガナイザーとしてはSparks、Max Tundraなどの海外アーティストを招聘。アーティストとしては、音楽劇『正しい数の数え方』が文化庁第19回メディア芸術祭エンターテインメント部門で大賞を受賞した。近年では、都内コンビニにDJブースを持ち込んだ『レコードコンビニ』や、盆踊りをアップデートするプロジェクトが話題を呼ぶなど、常に革新的な『場』を創造している。


〈配信中のオンライン講座〉


〜ゼロから聴きたいフランク・ザッパ〜講師:須川 宗純 ゲスト:石原 剛一郎 今井 研二 竹内 理恵 岸野 雄一

▷放送時間:4時間20分
※検索用楽曲リスト付き。
天才、奇才、変人といった肩書きがついて回るフランク・ザッパ。彼は何をめざしていたのでしょうか? あるいは何を見すえていたのでしょうか? 現在の盛り上がりを見るにつけ、それをふつうに見直す環境が整うまでに(日本では)30年近くという時間が必要だったのかもしれないと思わされます。前半ではザッパの歩みを年代順に追い、後半では「いま考えるザッパの聴きどころ」というかたちでお話を進めていきます。


増補改訂版〜ゼロから聴きたいシティポップ 〜講師:柴崎 祐二 ・長谷川 陽平・モーリッツ・ソメ・加藤 賢・岸野 雄一

▷放送時間:4時間23分
※柴崎さんによる楽曲リスト付き、前回のシティポップ講座も概要欄からご視聴いただけます。
厳密なジャンル用語としてでなく、ある特定の「ムード」として把握されがちな<シティポップ>というのは、改めていったいどんな音楽(文化)なのか。それはどこからやってきたのか。どのように発展/拡散をとげ、現在のような状況を準備するに至ったのか。そして、これからどこへ向かうのか。 一口に「主に80年代の日本で作り出された都会的ポップミュージック」と理解するだけでは足りないこのシティポップ(文化)を、音楽的な面、歴史/社会的な面、業界構造や受容意識の変遷から眺め直し、より深く鑑賞/理解するための道筋を探ります。


〜ゼロから聴きたいプログレッシヴ・ロック〜 講師:松山 晋也 ゲスト:岸野 雄一 横川 理彦 yuichi NAGAO

▷放送時間:3時間46分
曲名リストや「日本(のオタクカルチャー)におけるプログレ の影響」レジュメ付き。
この講座では、『プログレのパースペクティヴ』の著者である音楽評論家の松山 晋也が、誕生から50年を超えた「プログレッシヴ・ロック」と呼ばれ得る領域の概観・大まかな流れを解説していきます。


〜ゼロから知りたいレコードの聴き方・明治 大正 昭和初期編〜 講師:毛利 眞人・山田 参助・細馬 宏通・岸野 雄一

▷放送時間:2時間49分
アーカイブの重要性を提唱している音楽評論家・音楽史家の毛利 眞人がSPレコードという記録物からどのように情報を引き出すか?リスニングと鑑賞を経てどのように批評するか?どのように収集、保存、体系化し、どのように後世に伝えていくかを考えます。
レコードというメディアを軸に歴史を読み解き、過去を辿る事で未来へ繋げていきましょう。


映画音楽の現在形 2001-2021 講師:菊地成孔、入江陽、荘子it、岸野雄一

▷放送時間:第一部:2時間23分 第二部:1時間46分
20世紀の大衆芸術の花形ともいえる映画。21世紀も四半世紀に近づくこれから、その表現がどのように進化していくのか?
映画における『音楽』という切り口から考えていくトークイベントです。映画と音楽に造詣の深い4名の出演者を迎え、2001年から現在までの20年の間に生まれた新しい(=未だ古典になっていない)映画音楽について語っていきます。