【アーカイブ有料配信は6/1〜12/31まで】オープン講座「基礎教養シリーズ〜ゼロから聴きたいフリー・ジャズ 〜」 講師:細田 成嗣 柳樂 光隆 



画像貸与 HouxoQue, photo by 石坂大輔


▷本講座はオンライン開催です。終了後はアーカイブ動画による後追い視聴が行えます。

放送時間:4時間06分
◎お申し込みはこちら: Peatix


毎回テーマに沿ったジャンルをがっつり掘り下げる『ゼロから聴きたい』シリーズ。
今回のテーマは”フリー・ジャズ”です。

講師には『AA 五十年後のアルバート・アイラー』が好評の音楽批評家、細田成嗣氏と、本校『ライター講座』の講師でもある音楽評論家の柳樂光隆氏をお招きいたします。
「フリー・ジャズとフリー・インプロの違いってよく分からない」という初心者の方や、「フリー・ジャズの構造やルールを知りたい」という方など、入門編としてフリー・ジャズ全盛期の60年代を中心に解説を行います。

この機会に改めて勉強しましょう。

ゼロから聴きたいフリー・ジャズ- 講師:細田 成嗣より


ジャズのサブジャンルの中でも、特に取っつき難いと思われているフリー・ジャズ。口ずさめるメロディもなく、美しいハーモニーもなく、踊れるようなリズムもない……そう認識している人も多いかもしれません。

確かに、ポップスのような大衆受けを目指した音楽ではないかもしれません。しかし、フリー・ジャズが完全にデタラメで自由奔放なセッションかというと、実はそうでもないのです。一つ一つの音楽をつぶさに観察してみると、節々に音楽的な要素があることがわかります。そして、一括りにフリー・ジャズと言ってもミュージシャンによってアプローチは千差万別で、中には似ても似つかない音楽も含まれています。

2020年代に入ってから、名門インパルス・レーベルが創立60周年を迎え、サン・ラ・アーケストラは21年ぶりの新譜をリリースし、映画『サン・ラーのスペース・イズ・ザ・プレイス』が日本で公開され、ファラオ・サンダースとフローティング・ポインツがコラボレーションを果たし、あるいは国内初のアルバート・アイラー本が刊行される等々、フリー・ジャズはあらためて注目を集めているジャンルでもあります。

ブラック・ライヴズ・マター(BLM)運動が世界的に広がる現在、かつて1960年代に公民権運動と呼応したフリー・ジャズの意味合いも変化しているのかもしれません。また、音楽的な観点からも、ロックやプログレ、パンク、ノイズ、現代音楽、エレクトロニカ、クラブ・ミュージック等々、さまざまなジャンルと交わってきたフリー・ジャズは、今や一つの手法としてあらゆるシーンに偏在しているとも言えます。

今回はそのようなフリー・ジャズを、「いかに不自由か=音楽的要素が残っているか」という少し変わった視点を軸に、1960年代の全盛期から現在に至るまでの流れを辿ります。ムーヴメントとしては1960年代のスタイルであり、広い意味でのモダン・ジャズの終着点とも言えるフリー・ジャズですが、実際にはその成果は1970年代以降も現在に至るまで受け継がれています。しばしば1960年代後半以降はヨーロッパで発祥したフリー・インプロヴィゼーションの流れに接続されることもあるものの、今回はあくまでもアメリカ音楽の一種としてその歴史を見直します。「いかに不自由か=音楽的要素が残っているか」という視点からフリー・ジャズを捉え直すと、アプローチによっていくつかのタイプにも分類できるでしょう。

 

講義内容(予定)


【第一部】
Ⅰ フリー・ジャズの概要
●導入——フリー・ジャズとは?
●音楽的特徴

Ⅱ 前史〜草創期
●史上初のフリー・ジャズ?
●50年代の実験的ジャズ
●サード・ストリーム

Ⅲ 全盛期
●パイオニアたち
●「ジャズの10月革命」とESPディスク
●「新主流派」はフリー・ジャズ?
●第二世代の活躍とImpulse!レコード

Ⅳ ポスト・フリーの時代
●ポスト・フリーとは?
●シカゴ前衛派の台頭
●JCOA、AACM、BYG……自主組織の活動
●ロフト・ジャズ・ムーヴメント

休憩

【第二部】
Ⅴ ポスト・モダンの時代
●NYダウンタウン派
●パンク・ジャズ
●ハーモロディクス派
●M-BASE派

Ⅵ ルーツとアイデンティティの探索
●ジューイッシュ・カルチャー
●アメリカーナ
●クラブ・シーンとスピリチュアル・ジャズ
●ジャム・バンド

Ⅶ テクノロジーの活用
●ポストロックとの接点
●EAIまたは音響的即興
●ブルー・シリーズ
●ヴィジョン・フェスティバル

VIII テン年代のジャズ・アヴァンギャルド
●幾何学的グルーヴ
●即興演奏の配置/構成
●超絶技巧の行く先
●シカゴ新世代の“Amerikkka”


講 師:細田 成嗣
    柳樂 光隆

販売期間:2021年6月01日〜12月31日
視聴期限は2022年1/31までとなりますのでご注意ください。

放送時間:4時間06分

参加費:一般・・・1,500円
    美学校卒業生・・・1,000円
    2021年度・美学校在校生・・・500円

申 込:こちらの Peatixのページからお申し込みください。


講師プロフィール


柳樂 光隆(なぎら・みつたか)

1979年、島根県出雲市生まれ。
出雲高校~東京学芸大学卒。
珍屋レコード(店長)、ディスクユニオンへの勤務を経て、2000年代末から音楽評論家。ときどきDJ・選曲家。
ジャンルを問わず幅広い音楽に関するテキストを中心に新聞、雑誌、ウェブメディアなどに執筆したり、レクチャーをしたり、ラジオで喋ったり。専門はジャズ。
音楽やアーティストの分析、シーンの解説だけでなく、教育機関やNPOなどによる音楽教育や音楽シーンのエコシステムに関するリサーチをライフワークにしている。


細田 成嗣(ほそだ・なるし)

1989年生まれ。ライター/音楽批評。
2013年より執筆活動を開始。編著に『AA 五十年後のアルバート・アイラー』(カンパニー社、2021年)、主な論考に「即興音楽の新しい波──触れてみるための、あるいは考えはじめるためのディスク・ガイド」、「来たるべき「非在の音」に向けて──特殊音楽考、アジアン・ミーティング・フェスティバルでの体験から」など。2018年より国分寺M’sにて「ポスト・インプロヴィゼーションの地平を探る」と題したイベント・シリーズを企画/開催。

 


〈配信中のオンライン講座〉


〜ゼロから聴きたい日本のニューウェイブ〜講師:TVOD(コメカ、パンス) ゲスト:岸野 雄一 横川 理彦

▷放送時間:4時間8分
本講座では、ニューウェイブ・ロックの日本における受容と展開を、TVODがクロニクル的に辿り解説します。通史的にさまざまなバンドやレコードを確認していくことで、80年代の日本のニューウェイブ史を大掴みにまとめていきます。初心者にも分かりやすい形で大局的な流れを説明しつつ、要所要所で当時の状況を深掘りします。 ゲストにはスタディスト・岸野雄一さん、音楽家・横川理彦さんをお迎えし、おふたりが当時リアルタイムに体験された状況について、お話を伺います。


うたのしくみ番外地(1):深沢七郎のリズムとテクスト 講師:細馬 宏通 大谷 能生

▷放送時間:2時間17分
古今東西の名曲にぴたり寄り添いながら「歌」が生み出すあれこれに言葉を与えていった名著『うたのしくみ・増補完全版』(ぴあ)。
三月にリリースしてから、このご時世、なかなか出版記念イベント的なものができていなかった細馬宏通さんですが、美学校で現在「歌というフィクション」講義中の大谷能生と、作家でありギタリストでもある「深沢七郎」をテーマに文学←→音楽をあちゃこちゃ行き来しながらトークします!「楢山節考」「東京のプリンスたち」「風流夢譚」など、口に出すのもオモシロイ諸作を「うたのしくみ」的な視点から解説!


〜ゼロから聴きたい映画音楽〜 講師:小室 敬幸 岸野 雄一 ゲスト:長谷川 町蔵 小沼 純一 

▷放送時間:3時間45分
「映画の中で鳴っている音楽が気になる」「好きな映画音楽家についてもっと知りたい」という初心者の方や、「映画と音楽の関係ってどうなってるの?」「映画音楽における音楽としての意匠が知りたい」という方など、自立した音楽としての映画音楽を評価する、という視座に立って解説を行います。


〜ゼロから聴きたいフリー・ジャズ〜 講師:細田 成嗣 柳樂 光隆

▷放送時間:4時間06分
 「フリー・ジャズとフリー・インプロの違いってよく分からない」という初心者の方や、「フリー・ジャズの構造やルールを知りたい」という方など、入門編としてフリー・ジャズ全盛期の60年代を中心に解説を行います。


〜ゼロから聴きたい渋谷系〜 講師:加藤 賢 牧村 憲一 岡村 詩野 ばるぼら  聞き手:岸野 雄一

▷放送時間:4時間11分
「渋谷系と耳にはするけど実はよく分からない」という初心者の方や、「改めて体系立てて聴いてみたい」という方、「後追い世代なので、どのような経緯で誕生して広まっていったのか知りたい」という方などなど、90年代に生まれたこの特異な括りの音楽を掘り下げ、解説を行います。


〜ゼロから聴きたいヒップホップ〜 講師:大和田 俊之  ゲスト:長谷川 町蔵 、渡辺 志保 、荘子it

▷放送時間:4時間12分
「基本的に音楽ファンなのだが、ヒップホップが出てきた時に乗り切れずに、新譜を買う習慣が途切れてしまった」という初心者の方や、「トラップ以降のヒップホップがよく分からない…」という方、あるいは「生まれた時にはすでにヒップホップがあったので、どのような経緯で誕生して広まっていったのか知りたい」といった方などなど、知識レベルは問いません。 この機会に改めて勉強しましょう。