楽曲制作における「アレンジ(編曲)」と「ミックス」を学ぶ「アレンジ&ミックス・クリニック」(講師・草間敬)。講座は「作品講評パート」と「講義パート」の二本立てで進みます。知識を学ぶだけでなく、趣味嗜好や活動ジャンルが異なる受講生の楽曲を互いに聴き講評することで、どのような変化が生まれるのか。講座を修了したみなさんにお話をうかがいました。

写真左より大津沙良、浦和 新(オンライン)、井戸健人、野井勇飛
大津沙良(おおつ・さら)|編曲家・作曲家。大学在学中より所属バンドにおいて鍵盤楽器を担当。解散後2018年頃より、映画『サクリファイス』の劇伴を担当したことを皮切りに、個人での作曲活動を本格的に開始。以後、様々なジャンルの作編曲を担う。2019年度「アレンジ&ミックス・クリニック」受講。https://sarah-oo.com/
野井勇飛(のい・ゆうひ)|都内で宅録を中心に活動中。シャダックスとしての劇伴制作と並行して、個人の作品づくりも行う。楽曲のテーマは「都市生活者の孤独」もしくは「人間讃歌」。主な制作実績に映画「Daughters」(2020)、テレビ東京「100文字アイディアをドラマにした!」(2020)、自身の作品としては2024年5月に、シーンや時代をクロスオーバーする15曲入り52分というボリュームの4thアルバム「RADAR(レーダー)」が公開されている。2020年度「アレンジ&ミックス・クリニック」受講。
シャダックス https://shadax-music.tumblr.com/
野井勇飛リリース集 https://www.tunecore.co.jp/artists/noiyuhi井戸健人(いど・けんと)|作詞、作曲、編曲、トラックメイク、歌唱、ギター演奏、録音を行う。2004年にバンド「スーパーノア」を結成し、ボーカル・ギターを務める。2020年3月に「井戸健人」名義でのファーストアルバム『Song of the swamp』、2022年6月にセカンドアルバム『I’m here, where are you』、2025年2月にサードアルバム『All the places(I have ever slept)』を発表。2024年度「アレンジ・ミックス・クリニック」受講。Instagram@kentoido
浦和 新(うらわ・あらた)|サーカスアーティスト。15歳からジャグリング及びディアボロに没頭し、大学卒業後はカナダ・モントリオールにあるナショナルサーカススクールでサーカスアートを学ぶ。現在はサーカスアートのほか、楽器演奏、作曲、写真撮影、映像制作等も行う。2020、2024年度「アレンジ&ミックス・クリニック」受講。Instagram@arata_urawa
音楽との出会い
大津 音楽をはじめたきっかけは、両親の影響です。父は同じ曲の指揮者、楽団違いのCDをいっぱい持っているようなクラシックオタクで、母は舞台やミュージカルが好きで、私も物心ついたころからクラシックを聴きながら、リトミックやピアノを習っていました。あまり覚えてないんですけど、幼いころから自分でピアノ曲を作ったりしてたみたいです。中学・高校は合唱部で、そのころも趣味で合唱曲を書いていました。徐々にクラシック以外の音楽も聴くようになり、大学で軽音楽サークルに入ってバンドをはじめたことで、聴く音楽の世界が大きく広がりました。DTMは社会人になってからオリジナルバンドのデモをつくるためにはじめて、現在はフリーランスで事務職をしながら、ダブルワークで音楽の仕事をしています。
野井 僕も小学校に入る前ぐらいからピアノを習っていて、中学からギターをはじめてバンドを組むようになりました。作曲をはじめたのはバンドを組んでからですね。社会人になって、当初は会社勤めをしていたんですが、やっぱり音楽を仕事にしたいと思って、2019年に会社を辞めてフリーランスとして仕事をするようになりました。今はテレビCMの楽曲とか、映画の劇伴をつくりながら、シンガーソングライターとして自分の作品もつくっています。僕が10代のころはメロコアとかパンクが流行ってて、組んでたバンドもスカコアとかスカパンクをやっていて、そのおかげで管楽器やいろいろな楽器が入っている曲がつくれるようになったんじゃないかなと思っています。

浦和 自分は今サーカスのパフォーマーとしてクルーズ船に乗っているんですけど。もともと日本の大学を卒業して、カナダのサーカス学校に入るまで、正直、音楽とはほど遠かったです。だけどサーカス学校に入ったらみんな教養が高くて、バイオリンとかチェロとか弾けるんですよ。それで自分も音楽に興味を持ちはじめて。自分はどちらか言うとつくるのが好きだし、パソコン1台あれば作曲できる時代に入っていたので、パソコンで曲をつくりはじめたのが僕の音楽人生のはじまりです。最近は、サーカスの中でベースやギターやハーモニカの演奏をしたり、バンダイのイベントに楽曲を提供したりしています。自分は「アレンジ&ミックス・クリニック」を2回受講していて、2回目の修了のときに「曲を出します」と宣言して、その後1曲出したんですけど、今またもう1曲書きたいなと思っています。
井戸 僕も子どものころに少しピアノを習っていて、中3のときに学校の音楽会でビートルズの「Hey Jude」をやることになって、「誰かギターやる?」って聞かれたときに、「はい」って手をあげたんです。実はそのときはまだギター弾けなかったんですけど(笑)。人前に出るんやったら練習するやろって。そのころから作曲もしはじめました。今はライターの仕事をしながら、大学時代に組んだバンドで活動をしつつ、ソロで楽曲を制作しています。僕も野井さんと同じく10代のときに聴いた音楽が今につながっていて、僕はレディオヘッドにすごく影響をうけました。当時、メロコアとかが流行ってて、友だちに「ゼブラヘッドがいいよ」ってすすめられたんです。それでCD屋さんに行って「なんとかヘッドやったな。なにヘッドやったかな……そうそう、レディオヘッドや」と。
一同 (笑)
井戸 帰って聴いたら違和感はあったんですよ(笑)。なんか暗くない?って。『ザ・ベンズ』やったんですけど。でも聴いてるうちに好きになって、その後『キッドA』が出たときに完全に好きになりました。

「アレンジ&ミックス・クリニック」の受講理由
野井 僕は先輩の勧めで「アレンジ&ミックス・クリニック」を受講しました。最近だとNHKの朝ドラ「虎に翼」の劇伴を担当されていた作曲家の森優太さんが大学の先輩で、あるとき「森さんみたいに音楽の仕事をしたいんです」って相談したら、いろんなやり方があるけど、ひとつの方法として美学校に行ってみてはどうかとアドバイスをもらって。どの講座にしようか考えたとき、自分は曲はつくれるけど、ミックスは自己流だったので、手薄だったミックスを学ぼうと思って受講しました。
大津 大学のゼミ生で今は映画監督をしている友人から映画の劇伴を依頼されたことがあって、なんとか形にはなったんですけど、DTMは独学でよくわからないまま使っていたので、一回ちゃんと学んでみたいと思ったんですね。それで、DTMの専門学校を探したり、体験レッスンを受けたりしたんですけど、どうも肌に合わなくて。そんななか美学校を見つけて、説明会に行ってみたら肌に合う感じがしたんです。numbさんの「魁!打ち込み道場」と迷ったんですが、私はLogicを使っていたので、DAWの関係もあって「アレンジ&ミックス・クリニック」を受講しました。

井戸 僕は2023年に大谷能生さんのオープン講座「〈吉本隆明と一緒に『歌というフィクション』を読む〉」を受講したのが美学校に来たきっかけです。他にどんな講座があるのかなと思って見てみて、軽い気持ちで「アレンジ&ミックス・クリニック」に申し込みました。ずっと自分ひとりで作曲してきたので、ちょっと飽きてきたというか、他の人がどうやってつくってるのかを知ることで、自分に変化が起こったらいいなくらいの気持ちで申し込みました。
浦和 僕は受講理由が2回分あるんですけど。1回目は、コロナ禍でやることがなくなったのが大きいです。音楽に興味を持っていろいろ調べたりしているなかに美学校があって、中でも草間さんは、一緒に仕事をしたことがある友人から「面白い人だよ」と聞いていたので、お世話になろうと。2回目は、当初は受けるつもりじゃなかったんです。というのも、1回目の修了のときに草間さんから「2回目は受けるもんじゃないよ」みたいな話を聞いていたので。ただ、振り返ると草間さんの講座を受けていたときが一番音楽制作のモチベーションが高かったんですよね。それでまた美学校の講座を受けようと思って横川理彦さんの「サウンドプロダクション・ゼミ」を受講しました。それも修了してしまって、でもモチベーションはキープしたいと思い、「2回目受講してもいいですか」と相談して「アレンジ&ミックス・クリニック」を再度受講しました。
長尾(音楽スタッフ) 草間さんがおっしゃっているのは、座学的な内容は基本的に変わらないから、2回受けても同じだよということなんですけど、このクラスの肝は、作品をみんなで講評し合うところなので──これは、後でみなさんに話してもらいたいと思いますが──それを目的とした場合、2回、3回と受講するのは全然ありだと思います。
個性の強い受講生、刺激に満ちた講評
大津 「アレンジ&ミックス・クリニック」の授業は前半と後半に分かれていて、前半は受講生みんなの曲を聴いて講評をして、後半は草間さんの座学を聞く形でした。私が受講していた2019年度は対面だったので、小さな黄色い紙が配られて、それに他の人の楽曲の良い点と改善点をそれぞれ1つ以上書くんです。課題曲をアレンジすることもありましたけど、基本は自分が好きな曲をつくって持っていっていましたね。
野井 僕の代からコロナ禍の影響でオンラインでの受講になって、用紙がない代わりに、講評は口頭で伝える形になりましたが、授業のスタイルは大津さんのときと変わらないですね。受講生全員が、自分のつくりたいオリジナル曲を2週間で1曲仕上げて、講座の前日までに提出して講評する。後半の座学では、提出された曲を草間さんならどうミックスするか、実演してくれることもありました。
井戸 僕は講評がすごく楽しかったというか、ありがたかったです。自分の曲をここまで真剣に聴いて、フィードバックをくれる機会は初めてだったので。他の人がつくってきた曲を聴くのも楽しくて、ボカロで作曲している方がいたんですけど、その人の楽曲はフォーキーなんですよ。フォークの曲かと思ったら、歌がはじまると「ボカロや!」と。それまでボカロってほぼほぼ聴いたことがなかったんですけど、その人の曲は意外性があって印象に残ってます。歌がすごく上手い方もいらっしゃって、毎回他の人の曲を聴くのが楽しみでした。
浦和 すごい自分勝手な話ですけど、僕の代は自分のために集めてきてくれたんじゃないかって思うようなメンバーが揃っていました。歌がめっちゃ上手い人とか、もともとレベルが高い人とか、かなり個性が強い人たちで。草間さんはもちろん、そういう人たちと講評をし合うことで本当に多くの刺激を受けました。

野井 以前に参加した「音楽学科 受講生座談会」でも話したんですけど、やっぱり初回の授業が印象に残っています。草間さんが吉田兼好の『徒然草』を引用して、「芸能を身につけようとする人あるある」を教えてくれるんですよ。曰く、大体の人が上手くなってから人前に出ようとするんだけど、それではダメなんだと。下手でも上手い人に混じって人前でどんどん失敗していく人が自然に残っていくし、上手くなるものなんだと(『徒然草』150段「能をつかんとする人」)。そういうことが700年も前に言われていたと聞いてグサッときて。その通りだよなって。
大津 『徒然草』の話は、私も聞いて安心しました。あんまり自信がない状態で受講していたので、とりあえず曲を出すっていう形でも大丈夫なんだなって。
野井 初回でもうひとつ大事だったのが、講評の心構えについてで、最初に良かったところを言って、その次に、こうしたらもっと良くなるよと言おうねと。やっぱり自分の作品に対して何か言われるのって誰もが敏感になると思うんですけど、そのマナーを守ることで建設的な話ができるし、ギスギスした空気にならないんです。
井戸 草間さんが「ここは良いところだから変えないほうがいい。他の人に何か言われても気にしなくていい」みたいなアドバイスをすることが結構あって。良いところを伸ばすというか、草間さんがまず認めてくれるというのがあったから、作品も出しやすかったです。

大津 私の代もかなり個性のある方たちばかりでしたが、草間さんは何が正解とかじゃなくて、その方の楽曲の色みたいなものをすごく大事にしてくださってました。自分でも気づいてないようなところを「ここはあなたの個性で、すごく良いところなので」って言ってくださって。草間さんにそう言ってもらうことで初めて自覚するところもあったと思います。
浦和 僕は何事にもギークな面があるので、もともと技術的なことに関しては知識だけはある状態でした。だけど、それを実際に使えるかは別の話で。だから、技術的なことを草間さんに質問できたのは、知識を制作に落とし込むうえですごく勉強になりました。ただ、それ以上に、自分が見えてない部分を指摘してもらえたのが大きかったですね。草間さんに良いところも悪いところも指摘してもらうことで、自分の見ている部分がいかに一辺倒だったかがわかるんです。草間さんに指摘されて「そこ、聴こえてたんだ」とか「そこは忘れてたな」と気づくことがすごく多かったですね。
野井 技術的なことで言うと、草間さんに教わった「仮想ラジカセでのチェック」は今も実践しています。イコライザーで高音と低音をカットして、ラジカセで聴いたときの感じにしてみるんです。こもった音にすることで、どの音が出っ張ってるかがわかりやすくなる。要は、世の中の大半の人が聴いている状態で聴いてみるんですね。僕はある程度ミックスが進んできたら、その状態で1回確認しています。あと、授業の中で背筋が伸びたできごとがあって。ある受講生が、ダウンロード期限を過ぎてしまったデータの再アップを草間さんにお願いしたときに、めずらしく草間さんがピシャリと「もうこれっきりです。次からは対応しません」って言ったんです。人と一緒に制作するときの最低限のマナーは守らなきゃなって、今も肝に銘じています。

身体的な変化と精神的な変化
野井 思いかえすと、2週間に1曲楽曲を仕上げて提出するのは結構タフでしたね。よくやってたなと思います。でもそのおかげで、最初は本や授業のメモを見ながら操作していたプラグインが、何も見ないで操作できるようになっていくんですよ。手順が身について時間が短縮されるし、感覚的にも研ぎ澄まされる。あと、自分の曲や他の人の曲を深く聴くことで、耳が良くなった気がします。わりとフィジカル(身体的)な変化が大きいかもしれないですね。
井戸 そうですね。講評するためにちゃんと音楽を聴くので、細部を聴く耳が持てるようになった気がします。あと、もらったアドバイスをもとに次の課題曲をつくったりもしたんですけど、そうすることで、自分の作曲の幅が広がりました。だから、「アレンジ&ミックス・クリニック」を受講したことで、曲の幅が広がり、ミックスの質が上がって、曲の細部を聴くようになった。この3つが大きな変化ですかね。
浦和 講座を受講したことで、自分の好きな楽曲を聴くときに「きっとこの人はこう考えて、この音を入れたんだろう」とか「こういうことをやりたかったんだろうな」って、妄想かもしれないけど想像できるようになって、生活が変わりました。料理で例えるなら、おいしい料理がなぜおいしいのか、その理由がわかったというか。あと、特に2回目を受講したあとに、自分が何者なのかがわかった気がしていて。皆さんの曲を聴いていると、アーティスト要素を強く感じるんですけど、そのことで逆に僕はクリエイターサイドなんだなって実感したんです。何かを表現するというよりは、目的があってモノをつくるタイプ。自分の立ち位置がはっきりしたことで、シンプルに曲を聴けるようになりました。
大津 技術的な面での収穫はもちろんたくさんありましたが、個人的にはメンタル面での変化が一番大きかったです。最初のころは自分の曲がボロクソに言われるんじゃないかと思っていたんですけど、受講生の皆さんや草間さんに自分の持ち味を言っていただいたおかげで、自分の楽曲やアレンジに自信を持てるようになりました。自分がつくった曲を誰かに聴いてもらうことに対しても、以前よりも圧倒的に抵抗がなくなりましたね。

今後に向けて
井戸 受講中につくった曲を自分でミックスして、来年の春ごろ、アルバムとして出そうと思っています。あらためて聴き返すと、講座を受けてなかったらつくってなかっただろうなって曲がありますね。バリエーションが増えたというか。さっきボカロの話をしましたけど、自分の曲でも取り入れてみようかなって思ってます。
一同 おお〜!
浦和 僕は、相手の要望を聞いて「それならこういう方向性もありますよね」とバックグラウンドを説明しながら話しているときに一番自分が輝いていると思っているので、音楽の知識を備えたうえで、サポートできる立場になっていきたいなと思っています。サーカスの中で言うと、ディレクターという立場ですかね。ダンスも音楽もできて、そのうえでアレンジャーとしての知識にも精通した人間としてやっていきたいなと。アーティストとして曲を発表することも、少しはやりたいなと思っているので、もう1曲完成させたいですね。
大津 「アレンジ&ミックス・クリニック」を受講したことで、自信を持って楽曲をつくれるようになったので、音楽をずっとつくり続けたい、音楽の仕事をもっとやりたいと思っています。そのために、もっと自分から働きかけていきたいです。あと、これは完全なる野望ですが、ミュージカルやオーケストラの曲をつくりたいですね。今までは趣味でつくる割合が大きかったので、お仕事に繋がるように頑張りたいと思っています。
野井 自分の活動で言うと、パフォーマンスの現場に出て演奏していきたいなと思っていて、9月にオケや映像を使ったソロのライブを企画しています。宅録でやっていると、音源をつくって発表して終わりになりがちなんですけど、やっぱり人前で演奏するのが大事だなと。仕事の楽曲制作では、CMソングをつくって歌う仕事があったんですけど、それが楽しかったので、そういう仕事を増やしていけるといいなと思っています。勢いを落とすことなく、どんどんやっていきたいですね。

受講を検討している人へ
井戸 音楽という形で何かつくりたいと思ってる人なら、「アレンジ&ミックス・クリニック」から得るものは絶対にあると思います。あと、草間さんがめっちゃいい人です。授業が終わってもdiscordでアドバイスをくれたり、技術的なことや最近の音楽についても、質問したら返信してくれたり。
大津 私はもうちょっとDAWをしっかり触ってから来るべきだったかなという反省点もありますが、それでも、とにかく音楽をつくりたい、つくるのが好きでもっと学びたいという気持ちがあれば、「えいやっ!」と飛び込んでみるのがいいと思います。今は自分の楽曲に自信がなくても、きっと自信を持たせてもらえるはずです。
浦和 僕は「2回目は受けなくていいよ」と言われているのに、2回受けてますからね。そのうえで、2回目を受け終わったときに、なんなら1回目よりも自分の見える世界や、つくれるものが変わったと感じました。言語化するのが難しいですけど、より音楽が楽しいと感じられる人生になったと思います。

野井 「アレンジ&ミックス・クリニック」は、ある程度曲をつくれる人が、レベルアップしたり、世界を広げたりするのにも向いていると思います。やっぱり、それまでに提出したものの焼き直しみたいな曲は聴かせられないなって意識になってくるんですよね。そのおかげで、結果的に作風が広がったというか、できることが広がった気がします。それは一緒に受講をしているメンバーへのある種の対抗心でもあるし、敬意でもあるし、この人たちに恥ずかしいものを聴かせるわけにはいかんという気持ちになることで、自分の作品づくりのマインドが拡張されました。その敬意は僕にも向けられていると感じられるのがうれしかったですし、今でも曲ができると、本当はみんなに聴いてもらってコメントがほしいなと思いますね。
2025年8月19日収録
進行・構成=木村奈緒 写真=皆藤将
▷授業日:隔週木曜日 19:00〜21:30
音楽作品のクオリティを決定する重要なファクターである『アレンジ(編曲)』 と『ミックス』を中心に学びます。時代を問わず必要な普遍的な基礎スキルから、より実践的な現在進行形のスタイルに至るまで、各自の音楽作品をより良い形でプレゼンテーションするための技術を身につけます。
