【アーカイブ受付は1/31まで】オープン講座「基礎教養シリーズ〜ゼロというか、マイナス5くらいから聴きたいジャニーズの文化と音楽〜」講師:大谷能生 矢野利裕



▷本講座は人数限定観覧とオンライン開催です。終了後はアーカイブ動画による後追い視聴が行えます。

毎回テーマに沿ったジャンルをがっつり掘り下げる『ゼロから聴きたい』シリーズ。
今回のテーマは”ジャニーズ ”です。
放送時間:3時間22分
◎お申し込みはこちら

 

ゼロというか、マイナス5くらいから聴きたいジャニーズの文化と音楽

講師:大谷・矢野


美学校の「基礎教養シリーズ」の一環として、「ゼロから聴きたいジャニーズ」というお題でトーク&レクチャーをしませんか、というお誘いを受けました。

 で、ちょっと、あらためて、「ジャニーズ」を「聴く」こと、その「聴き方」「楽しみ方」みたいなものを、「ジャニーズ」に特に興味のない音楽ファン向けに話すということについて、「うーん」と考えちゃったわけですね。  
 「ジャニーズ事務所」というエンターテインメント企業は、おそらく、日本では知らない人がいないくらい著名な事務所であると思います。そこに所属するタレントの姿を、マスメディアで見ない日はないくらいに、もう超メジャー。  
なんですが、わたしたち「ジャニ研」(※大谷能生・速水健朗・矢野利裕によって「ジャニーズ事務所」の歴史とその文化的意義を確認するために2011に結成。『ジャニ研!Twenty Twenty』(原書房/2020)などにその結果はまとめられている)が調査・分析したところ、「ジャニーズ」の芸能の本領は、TVに代表されるマスメディアとは別の部分にあると考えた方が、その存在を正確に理解出来る感じなんですよ。

 これだけTVに露出しているにもかかわらず、彼らの芸能の本領・本質は、「舞台」または「ミュージカル」または「リサイタル」という、ライブで繰り広げられる「ステージの上」にこそ、存在している、というのが、わたしたち「ジャニ研」の見解です。  

つまり彼らは、毎日TVなどに映されながら、実は、「自分たちの作品」については、きわめて限られた数の観客に向けてしか発表していない存在なのです。大メジャーであると同時に大マイナー。大きく開示されていると同時に、同じくらいの強さで閉ざされているのが、ジャニーズ事務所の芸能の特徴だとわたしたちは考えています。  

 「へー、どうしてそんなことになったの? なってるの? どうすればそんなことができるの? それっていつから? っていうか、それホント? フツーにジャニーズってメジャーじゃない?」……みたいに思われる方も多いと思います。なにせこれだけ有名な事務所ですから。でも、わたしたちも調べながら驚いたんですが、「ニッポン戦後芸能界」の中にあって、ジャニーズ事務所はその理念・経営方針・芸能スタイル・タレント育成方法・売り出し方…などなど、どれを取ってもメインストリームから外れた、「異端」としか言いようがない存在なのです。  

 このことは、まず第一に、事務所の創始者であるジャニー喜多川(1931 – 2019)のパーソナリティに求められる事柄だ、と、わたしたちは『ジャニ研!』において主張しました。  

そして、もう一つ大きく関わっているのは、「戦後日本」という場所それ自体が持つ特殊性です。そして、そこで運営されてきた「芸能界」の、その世界独自の特殊性も、ここには強く反映されています。  
 「ジャニーズ」の芸能は、このような、少なくとも三つの強い個性による「場」が絡まり合うことで出来ているのです。ジャニーズを、彼らのファンとしてではなく、イチ音楽ファンの立場から楽しんで「聴く」ためには、これらの「個性」を一旦、正確に切り分ける必要がある、とわたしたちは考えます。

話がでかくなってきました。

ジャニーズを「ゼロ」から聴くとは、ニッポンの、戦後の、芸能の、その音楽の、その作品を聴くための「ゼロ」地点って、いったいドコ? ってところから考えなくちゃならない。ジャニーズ事務所が内包している「メジャー」と「マイナー」の複雑な関係は、わたしたちにそのように考えさせます。

ということで、ゼロよりもそのちょっと手前の、だいたい「−5」くらいの位置から、つまり、ジャニーさん・戦後ニッポン・芸能界、その三者の「個性と発展」を確認するところからはじめて、その成果が映り込んでいるステージの映像なんか具体的に見ちゃったりして、なんとかかんとか、素晴らしい成長を見せている2010’sのジャニーズ・グループの活動の紹介にまで辿り着ければ……と思っております。

2019年から2022年現在まで、日本も含めた世界では、さまざまな変化があり過ぎたくらいにありました。ジャニーズ事務所はその変化の大波の直撃をマトモにくらい、しかし、それを正面から引き受けて乗り越えようと、運営の体系自体の見直しを図っているところです。あたらしい時代のスタート・アップに、この1962年設立(今年で還暦!)の企業がどう対応するのか、そのような興味も持てるレクチャーにしたいと思っております。皆様の視聴参加を心からお待ちしております。

大谷・矢野拝


講 師:大谷能生 矢野利裕

放送時間:3時間22分

参加費:一般・アーカイブ受講券・・・1,500円
    2022年度・美学校在校生・アーカイブ受講券・・・1,000円

申 込:Peatixページからお申し込みください。

アーカイブ動画ではプレイバックされた音楽部分はカットや映像の差し替えを行います。予めご了承ください。

 

アーカイブ動画視聴に関して


アーカイブお申し込み期間:2022年7月25日〜2023年1月31日
視聴期限は2023年2月28日までとなりますのでご注意ください。

【キャンセルにつきまして】
視聴用のURLが送信される都合上、お客様都合によるキャンセルは承っておりません。何卒ご了承ください

講師プロフィール


大谷 能生(おおたに・よしお)

1972年生まれ。批評家、音楽家。
96年、音楽批評誌「Espresso」を立ち上げ、02年まで編集、執筆。日本のインディペンデントな音楽シーンに実践と批評の両面から深く関わる。著書に『持ってゆく歌、置いてゆく歌 不良たちの文学と音楽』(エスクァイアマガジンジャパン)、『散文世界の散漫な散策 二〇世紀の批評を読む』(メディア総合研究所)がある。菊地成孔とのコンビによる講義録は『憂鬱と官能を教えた学校 【バークリー・メソッド】によって俯瞰される20世紀商業音楽史』(河出書房新社)、『東京大学のアルバート・アイラー  東大ジャズ講義録』(全2巻、文春文庫)、『M/D マイルス・デューイ・デイヴィスIII世研究』(エスクァイアマガジンジャパン)がある。


矢野 利裕(やの・としひろ)

1983年生まれ。批評家、DJ。
音楽と文学を中心に批評活動をおこなう。
2014年、「自分ならざる者を精一杯に生きる」で第57回群像新人文学賞優秀作を受賞。
著書『コミックソングがJ-POPを作った』(P-VINE)、『ジャニーズと日本』(講談社現代新書)などで音楽と芸能について論じている。TBSラジオ『アフター6ジャンクション』『荻上チキ Session-22』などに出演し、ジャニーズ楽曲やコミックソングについて解説など。


〈配信中のオンライン講座〉


〜ゼロから聴きたい実験音楽の前史〜

◆講師:講師:佐藤実 -m/s 山本和智
▷放送時間:3時間25分
本講座では、アーティストである佐藤実 -m/sと作曲家の山本和智が、実験音楽に至るまでの歴史を振り返りながら、受け継がれていった芸術の背景について、19世紀後半から20世紀前半の流れを汲みつつ思いつくままにお話します。 「実験音楽の”実験”って?」「実験音楽はどこから来たの?」など、初心者にも分かりやすい入門編として”実験音楽の前史”をご紹介いたします。


〜ゼロから聴きたい日本の土着音楽〜

◆講師:講師:輪島裕介 ゲスト:大谷能生 炎上寺ルイコ 岸野雄一
▷放送時間:3時間52分 ※講師陣によるレジュメ付き
本講座では、学校と軍隊を通じて普及した「洋楽」系の流れとは異なる、庶民的な実践の系譜を浮かび上がらせることを目指します。「音楽」「(歌舞)音曲」「洋楽」「邦楽」「民謡」「民族音楽」といった概念の来歴についても批判的に検討します。
ゲストとして、近代日本の音楽教育や音楽批評の大きな流れをみごとに提示する貴重なお仕事を次々に送り出し、「ポピュラー邦楽」という魅力的な概念を提起されている大谷能生さんをお迎えします。さらに、美的かつ政治的にオルタナティヴな音曲実践を進めている炎上寺ルイコさん、該博な音楽知識に基づいて地域に密着した盆踊りの現代的再編に取り組む岸野雄一さんも交えて、未だその全貌を現してはいない近代日本の土着音楽の姿を探究してみたいと思います。


〜ゼロから聴きたい日本のヒップホップ〜
◆講師:吉田雅史 ゲスト:韻踏み夫 荘子it
▷放送時間:3時間57分+補足動画2時間10分 ※検索用楽曲リスト付き
2010年代終盤に囁かれた「日本語ラップブーム」を通過し、日本語ラップはかつてなかったほど豊かなフェーズへ突入しているように見えます。 そしてその豊かさはもちろん、1980年代からの30年以上にわたる日本語ラップの歴史と作品群によってもたらされたものです。しかし一方で、ラップという表現方法があまりにも一般的になったために、日本語ラップの世界はあまりにも多様で、外からみれば、つかみどころのない広大な世界が広がっているように見えるかもしれません。日本語ラップの世界に導かれる導線は、フリースタイルバトルのみならず、アイドルやお笑い、アニメなど様々な世界に張り巡らされています。日本語ラップを楽しむ軸も実に多様です。ラップが好き、ビートが好き、ラッパーのキャラが好き、ファッションが好き、ラップのメッセージ性が好き、リリックがリアルなところが好き・・・ そこで本講座では「日本語ラップのなにがカッコいいのか」「日本語ラップのどこを評価するのか」という点について、考えてみたいと思います。


〜ゼロというか、マイナス5くらいから聴きたいジャニーズの文化と音楽〜
◆講師:大谷能生 矢野利裕
▷放送時間:3時間22分 ※検索用楽曲リスト付き
ジャニーズを「ゼロ」から聴くとは、ニッポンの、戦後の、芸能の、その音楽の、その作品を聴くための「ゼロ」地点って、いったいドコ? ってところから考えなくちゃならない。ジャニーズ事務所が内包している「メジャー」と「マイナー」の複雑な関係は、わたしたちにそのように考えさせます。 ということで、ゼロよりもそのちょっと手前の、だいたい「−5」くらいの位置から、つまり、ジャニーさん・戦後ニッポン・芸能界、その三者の「個性と発展」を確認するところからはじめて、その成果が映り込んでいるステージの映像なんか具体的に見ちゃったりして、なんとかかんとか、素晴らしい成長を見せている2010’sのジャニーズ・グループの活動の紹介にまで辿り着ければ……と思っております。