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【アーカイブ配信中】オープン講座「基礎教養シリーズ〜ゼロから聴きたい日本の土着音楽」 講師:輪島裕介 ゲスト:大谷能生 炎上寺ルイコ モデレーター:岸野雄一

【アーカイブ配信中】オープン講座「基礎教養シリーズ〜ゼロから聴きたい日本の土着音楽」 講師:輪島裕介 ゲスト:大谷能生 炎上寺ルイコ モデレーター:岸野雄一



▷対面+オンラインでの開催になりますので地方や国外在住の方もぜひお気軽にご参加ください。

放送時間:3時間52分
講師陣によるレジュメ付き(動画の概要欄からご確認いただけます)

◎お申し込みはこちら:Peatix


毎回テーマに沿ったジャンルをがっつり掘り下げる『ゼロから聴きたい』シリーズ。
今回のテーマは”日本の土着音楽 ”です。

この講座では、大阪大学文学部・大学院人文学研究科教授/ポピュラー音楽研究者である輪島裕介が、近現代の日本において土着の音楽とはなにか、さらには、音楽が「土着する/している」とはどういうことなのか、についてゼロから探究し、初心者にも分かりやすい入門編として”日本の土着音楽”をご紹介いたします。
ゲストには批評家/音楽家の大谷能生氏、イラストレーター/D.I.Y演歌歌手/トラックメーカーの炎上寺ルイコ氏をお迎えいたします。また、モデレーターとして本校”映画を聴く“講師でスタディストの岸野雄一氏をお招きします。

※ゼロから聴きたいシリーズは隔月、奇数月に開催いたします。ご期待ください!!

 

ゼロから聴きたい日本の土着音楽

講師:輪島裕介


 今回の講座では、近現代の日本において土着の音楽とはなにか、さらには、音楽が「土着する/している」とはどういうことなのか、について、「ゼロから」考えてみたいと思います。つまり、何らかの実体として「土着音楽」なるものが存在すると前提したうえで、その定義や特徴について専門家が噛み砕いて紹介する、というような構えをとりません。あえて私なりの規定をいえば、「本場」と「現場」が一致している音楽実践、言い換えれば、「今ここ」以外のどこか別の時空間を「本場」として理想化していない音楽、ということになるでしょうか。ということは、翻っていえば、いわゆるクラシックとポピュラーを問わず、近代日本の音楽の大部分は、遠い「本場」にある「洋楽」をお手本とし、それに近づくことを第一義的な目標とするかたちで実践されてきたのではないか、という私の根本的な問題意識があります。

 とはいえ、「他」からの影響を一切受けていない「日本独自」の音楽という考え方についても批判的です。「音楽」というのは、基本的には人間の営みです。ですので、常に他からの影響を受け変化します。自然に土から生えてくるようなことはありません(自然種でさえ変異が起こります)。なんらかの音に関する特殊な感性が「民族のDNA」に刻まれている、というような言い方も、もちろん比喩にすぎません。

 ただし、ある歴史的条件のもとで、そういう比喩が重要な意味をもつこともあります。たとえば、1950年代末から80年代前半に活躍した民族音楽学者の小泉文夫は、日本人の基層的な音楽は民謡とわらべうたであり、その音感は西洋の長単調システムとは全く異なり、「ラドレミソ」と表しうる五音音階である、と主張しました。その主張は、西洋音楽を普遍的な規範と見なす近代以降の日本の音楽教育への激しい非難と一体のものでした。「民族的な本質」の存在を自明視し、それと特定の音階を固定的に結びつけたことは、現在の学術的視点からは誤りといわざるをえませんが、小泉がとても重要な問題提起を行ったことは間違いありません。そして、「ラドレミソ」を日本民族の基層的な音階であるとする小泉の音階理論は、彼と学生時代から親交が深かった作曲家の渡辺宙明を触発し、「マジンガーZ」や「ゴレンジャー」をはじめとする「宙明節」の形成をうながしました。これらのアニメや特撮の主題歌は、音楽教育や批評言説からはほとんど無視されていながら、独特の音楽的特徴を持ち、誰でも耳にしたことがあり、それをきいて「血が騒ぐ」経験をする人も多いでしょう。その意味で、現代日本の土着音楽の重要な一部です。

 ところで、「土着的」な音楽として多くの人が連想するであろう「民謡」は、その概念自体がドイツのロマン主義ナショナリズムの影響を受けたものであり、また、その概念で指し示される歌も、近世の都市のはやり歌が伝播したものであったり、都会の職業的ソングライターが提供したものであったりしました。それらは、ある地域から「自然に」生まれたものではまったくなく、むしろ、ある種の「土着主義」というべき思想が近代日本に生まれたことによって新たに創られた音楽といえると思います。

 さらに、「音楽」という観念自体が、「高尚な」文化としての西洋芸術音楽を規範として19世紀後半に輸入され、「上から」普及されたものです。おそらく20世紀の半ばまでは、日本語圏の多くの人々が日常的に好み実践する歌や語りや演奏や踊りは、「音楽」というより、やや侮蔑的な含意も含む「(歌舞)音曲」として意識されていたかもしれません。そういうありかたを引き継ぐ諸実践を、私は最近「近代音曲」と呼び始めました。「近代音曲」はもちろん「土着音楽」の中核的な部分でしょう。講談、浪曲、音頭、萬歳といった、20世紀半ばまで庶民を熱狂させた芸態は、現在では「伝統芸能」として「文化の殿堂入り」したような気配もありますが、その主題や節回しは演歌・歌謡曲のなかにもみいだせます。ある種の情感や発声の好みは、J-POPのなかにも引き継がれているでしょう。さらに、国産ディスコやユーロビートといった日本独自の洋楽風ダンス音楽ジャンルも、盆踊りに通じる集団的振付舞踊と深く結びつく近代音曲の重要な一部です。もちろん、民謡を現代的にアップデートしようとする様々な動きも見逃せません。  

 本講座では、学校と軍隊を通じて普及した「洋楽」系の流れとは異なる、庶民的な実践の系譜を浮かび上がらせることを目指します。「音楽」「(歌舞)音曲」「洋楽」「邦楽」「民謡」「民族音楽」といった概念の来歴についても批判的に検討します。  

 ゲストとして、近代日本の音楽教育や音楽批評の大きな流れをみごとに提示する貴重なお仕事を次々に送り出し、「ポピュラー邦楽」という魅力的な概念を提起されている大谷能生さんをお迎えします。さらに、美的かつ政治的にオルタナティヴな音曲実践を進めている炎上寺ルイコさん、該博な音楽知識に基づいて地域に密着した盆踊りの現代的再編に取り組む岸野雄一さんも交えて、未だその全貌を現してはいない近代日本の土着音楽の姿を探究してみたいと思います。

 

詳細


講師:
輪島裕介/ゲスト:大谷能生、炎上寺ルイコ、岸野雄一

販売期間
2022年11月29日〜2023年5月31日

視聴期限:
2023年6月30日まで

放送時間
3時間52分

参加費
◆アーカイブ視聴
一般・・・・1,500円
2022年度美学校在校生・・・1,000円

申込:
こちらのPeatixのページからお申し込みください。

アーカイブ動画ではプレイバックされた音楽部分はカットや映像の差し替えを行います。予めご了承ください。

 

 講師プロフィール


輪島 裕介(わじま・ゆうすけ)

1974年石川県金沢市生まれ。音楽学者。大阪大学文学部・大学院人文学研究科教授。
専門はポピュラー音楽研究、近現代音曲史、アフロ・ブラジル音楽研究。東京大学文学部、同大学院人文社会系研究科(美学芸術学)博士課程修了。博士(文学)。2010年に刊行した『創られた「日本の心」神話 「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史』(光文社新書)で、2011年度の国際ポピュラー音楽学会賞、サントリー学芸賞を受賞。著書に『踊る昭和歌謡 リズムからみる大衆音楽』(NHK出版新書)など。

 


大谷 能生(おおたに・よしお)

1972年生まれ。批評家、音楽家。
96年、音楽批評誌「Espresso」を立ち上げ、02年まで編集、執筆。日本のインディペンデントな音楽シーンに実践と批評の両面から深く関わる。著書に『持ってゆく歌、置いてゆく歌 不良たちの文学と音楽』(エスクァイアマガジンジャパン)、『散文世界の散漫な散策 二〇世紀の批評を読む』(メディア総合研究所)がある。菊地成孔とのコンビによる講義録は『憂鬱と官能を教えた学校 【バークリー・メソッド】によって俯瞰される20世紀商業音楽史』(河出書房新社)、『東京大学のアルバート・アイラー  東大ジャズ講義録』(全2巻、文春文庫)、『M/D マイルス・デューイ・デイヴィスIII世研究』(エスクァイアマガジンジャパン)がある。


炎上寺 ルイコ(えんじょうじ・るいこ)

日大芸術学部卒後、イラストレーター・小塚類子として三省堂英和辞典、毎日小学生新聞など児童向けメディアをはじめhide(X-JAPAN)、ソウルフラワーユニオン、HYといった音楽関係にも多数作品を提供。また近年は炎上寺ルイコ名義でインディーズ演歌歌手、トラックメーカー、DJ、音頭取りとしても活動中

 

 


岸野 雄一(きしの・ゆういち)

音楽家、オーガナイザー、著述家など、多岐に渡る活動を包括する名称としてスタディスト(勉強家)を名乗る。
東京藝術大学大学院映像専攻、立教大学現代心理学部、広島市立大学芸術学部にて「映画におけるサウンド・デザイン」の教鞭を執る。音楽レーベル運営として“Out One Disc”を主宰し、OORUTAICHIやGangpol&Mitなど個性豊かなアーティストをプロデュース。オーガナイザーとしてはSparks、Max Tundraなどの海外アーティストを招聘。アーティストとしては、音楽劇『正しい数の数え方』が文化庁第19回メディア芸術祭エンターテインメント部門で大賞を受賞した。近年では、都内コンビニにDJブースを持ち込んだ『レコードコンビニ』や、盆踊りをアップデートするプロジェクトが話題を呼ぶなど、常に革新的な『場』を創造している。


「感染症対策」についてのご案内

・マスクの着用とアルコール消毒のご協力をお願いいたします。
・本イベントは距離を保てる人数で実施し、会場内は換気を行います。
・体調が優れない場合はご参加をお控えください。

 

〈配信中のオンライン講座〉


〜ゼロから聴きたい日本のヒップホップ〜
◆講師:吉田雅史 ゲスト:韻踏み夫 荘子it
▷放送時間:3時間57分+補足動画2時間10分 ※検索用楽曲リスト付き
2010年代終盤に囁かれた「日本語ラップブーム」を通過し、日本語ラップはかつてなかったほど豊かなフェーズへ突入しているように見えます。 そしてその豊かさはもちろん、1980年代からの30年以上にわたる日本語ラップの歴史と作品群によってもたらされたものです。しかし一方で、ラップという表現方法があまりにも一般的になったために、日本語ラップの世界はあまりにも多様で、外からみれば、つかみどころのない広大な世界が広がっているように見えるかもしれません。日本語ラップの世界に導かれる導線は、フリースタイルバトルのみならず、アイドルやお笑い、アニメなど様々な世界に張り巡らされています。日本語ラップを楽しむ軸も実に多様です。ラップが好き、ビートが好き、ラッパーのキャラが好き、ファッションが好き、ラップのメッセージ性が好き、リリックがリアルなところが好き・・・ そこで本講座では「日本語ラップのなにがカッコいいのか」「日本語ラップのどこを評価するのか」という点について、考えてみたいと思います。


〜ゼロというか、マイナス5くらいから聴きたいジャニーズの文化と音楽〜
◆講師:大谷能生 矢野利裕
▷放送時間:3時間22分 ※検索用楽曲リスト付き
ジャニーズを「ゼロ」から聴くとは、ニッポンの、戦後の、芸能の、その音楽の、その作品を聴くための「ゼロ」地点って、いったいドコ? ってところから考えなくちゃならない。ジャニーズ事務所が内包している「メジャー」と「マイナー」の複雑な関係は、わたしたちにそのように考えさせます。 ということで、ゼロよりもそのちょっと手前の、だいたい「−5」くらいの位置から、つまり、ジャニーさん・戦後ニッポン・芸能界、その三者の「個性と発展」を確認するところからはじめて、その成果が映り込んでいるステージの映像なんか具体的に見ちゃったりして、なんとかかんとか、素晴らしい成長を見せている2010’sのジャニーズ・グループの活動の紹介にまで辿り着ければ……と思っております。


〜ゼロから聴きたいフランク・ザッパ〜
◆講師:須川宗純 ゲスト:石原剛一郎 今井研二 竹内理恵 岸野雄一
▷放送時間:4時間20分 ※検索用楽曲リスト付き
天才、奇才、変人といった肩書きがついて回るフランク・ザッパ。彼は何をめざしていたのでしょうか? あるいは何を見すえていたのでしょうか? 現在の盛り上がりを見るにつけ、それをふつうに見直す環境が整うまでに(日本では)30年近くという時間が必要だったのかもしれないと思わされます。前半ではザッパの歩みを年代順に追い、後半では「いま考えるザッパの聴きどころ」というかたちでお話を進めていきます。