50周年アーカイブ 第1回:特別仕様の受講生募集フライヤー



新型コロナウィルスの感染拡大により緊急事態宣言が発令され早二週間。例年4月は美学校では各講座の修了展が開催されるのですが、今年は軒並み延期もしくは中止となりました。美学校の営業時間も週二日に短縮し、制作に訪れる人もいないため美学校は静かです。
私事務局スタッフの皆藤も仕事が少なくなったので、この機会に昨年の美学校の創立50周年プロジェクトを振り返ってみようと思います。

知らない方のために説明しておくと、美学校は1969年に創立され、昨年2019年に創立50周年を迎えました。そしてその2019年の一年間に50周年プロジェクトとして、書籍の出版、展覧会の開催、ライブイベントの開催、新教室の立ち上げ、冷房の導入など様々なことを行いました。

美学校の50年の記録は書籍にまとめることができたのですが、50周年の一年間のことがやりっぱなになってしまっているので、それをこの機会に書いて記録しておこうというのが今回の企画です。なので出鼻をくじくようですが、一般の方には読み物として面白くない可能性が高いです。逆にスペースや組織を運営している人で、何周年とかのアニバーサリーを迎える人にとっては参考になるかもです。ちなみにこの企画は5回〜10回程度の連載で考えており、最終的には小冊子にまとめられればと考えています。

さて、第1回は受講生募集のチラシについて書いていきます。

受講生募集のチラシは、毎年5月期講座の募集に合わせて制作しているのですが、2019年度は50周年ということで特別仕様で制作しました。

こちらがチラシの写真です。仕上がりサイズはA5ノビで、展開するとA3ノビとなります。

表紙の写真は二枚とも美学校で撮影されたものです。

上段の写真は、美学校のロッカーから発掘された1980年代の写真で、現講師の鍋田庸男さんや佐々木良枝さんの姿が見えます。

下段はこのチラシを作るために上段と同じ構図で2018年に撮ったものです。木曜日に開講している「デザインソングブックス」と「描く日々」の方々に協力してもらい撮りました。講師の方で写っているのは描く日々の佐藤直樹さん、デザインソングブックスの大原大次郎さん、宮添浩司さん、本多伸二さん、銅版画工房の上原修一さん、イベント・プロデュース講座の岸野雄一さん、そして「絵と美と画と術」のマジック・コバヤシさんという、たまたま居合わせたにしては豪華な顔ぶれの方々。

赤い絵の具の跡のようなものは、美学校の机を乗せている箱馬のテクスチャーからとったものです。箱馬は70年に現在の美学校に越してきた時に中西夏之さんによる設計で作ったもので、経年の絵の具や汚れが積み重なり独特の風合いを醸しています。

手に取ってみるとわかるのですが、このチラシは独特の折り方で折られています。折り方が特殊すぎで、印刷会社では工程上、途中までしか折ることができず、残りは全て手作業で折りました。数千枚を事務局スタッフと手伝ってくれた何人の方達と折りました。それでも折り作業は全然終わらなくて、一時期はスタッフが打ち合わせなどで集まる度にノルマを作って折っていました。いや、本当に大変でした。

こちらが折り作業の様子です。

そして参考までに折り順の写真も載せておきます。

中面のコンテンツは、3名の講師(鈴木博文さん、岸井大輔さん、小金沢智さん)と受講生のコメントに加え、事務局からの「50周年を迎えるにあたって」というメッセージを掲載しました。このテキストは加筆修正して、書籍にも掲載しています。

下は展開したもののデータです。(クリックすると新タブで開いて読むことができます。)

最後にこのチラシのデザイナーをご紹介します。デザインをしてくれたのは修了生の浦川彰平さんです。浦川さんは武蔵美に通いながら美学校の「絵と美と画と術」を受講。その後、数年にわたって美学校の広報物のデザインを担当してくれており、今回の50周年チラシをもって美学校の広報仕事を卒業となりました。現在はフリーランスとして独立して「omote」という屋号でデザインの仕事をされています。(リンク先には過去に浦川さんがデザインしてくれた美学校関連のフライヤーも載っています。)この場を借りて改めて感謝します。浦川くん、どうもありがとうございました。

こちらは少し前ですが、2017年度のチラシが納品された時の浦川さんの写真です。ではでは〜