【アーカイブ販売終了】オープン講座「基礎教養シリーズ〜ゼロから聴きたいアメリカ音楽と政治学〜」 講師:大和田俊之 ゲスト:永冨真梨 有光道生



▷対面+オンラインでの開催になりますので遠方や国外在住の方もぜひお気軽にご参加ください。

放送時間:3時間58分

◎お申し込みはこちら:Peatix


毎回テーマに沿ったジャンルをがっつり掘り下げる『ゼロから聴きたい』シリーズ。
今回のテーマは”アメリカ音楽と政治 ”です。

この講座では、慶應義塾大学法学部教授、アメリカ文化、ポピュラー音楽研究、著作『アメリカ音楽の新しい地図』(筑摩書房)などで知られる大和田俊之が、アメリカ音楽と政治についての関係性をゼロから振り返り、現在どのような状況になっているのかまでを分かりやすく解説いたします。

また、ゲストには関西大学社会学部メディア専攻助教。アメリカ文化史・ポピュラー音楽・越境の永冨真梨氏。慶應義塾大学法学部教授。アフリカン・アメリカン研究の有光道生氏をお招きし、カントリーミュージックの現状や、アジア系とアフリカ系やヒスパニックなど、他のマイノリティーとの関係性についても言及します。

※ゼロから聴きたいシリーズは隔月、奇数月に開催いたします。ご期待ください!!

ゼロから聴きたいアメリカ音楽と政治学– 講師:大和田俊之より


2010年代のブラック・ライヴズ・マター運動は、音楽業界にも大きな影響を及ぼしました。システミック・レイシズム(構造的差別)の告発は「黒人音楽」の再評価を促すと同時に、そのカテゴリーそのものの有効性を問うことにも繋がったのです(たとえば、グラミー賞で最優秀ラップアルバム賞を受賞したタイラー・ザ・クリエイターは「アーバンというカテゴリーはNワードの政治的に正しい言い方でしかない」と発言しました)。またリル・ナズ・Xのように、カントリーミュージックのチャートでヒット曲を出すラッパーも出現します。

よく知られるように、2010年代以降、ルイス・フォンシの「デスパシート」がビルボードのシングルチャートで16週連続一位を取り、韓国のボーイバンド、BTSもチャートを制覇するなど、ヒスパニックやアジア系の活躍も目立っています。

本講座では、アメリカ社会と政治の関係をあらためて振り返りながら、メリカのポピュラー音楽の歴史と現状について再考します。公民権運動以降、アフリカ系アメリカ人コミュニティーの地位向上運動はどのように展開し、またそれは「黒人音楽」と具体的にどのような関係を結んできたのでしょうか。実際の運動の変遷を辿りながら、音楽業界と歴史認識の変化に注目します。

また「白人の音楽」としてのイメージが強いカントリーミュージックの現状についても考察します。黒人作家タナハシ・コーツが「初めての『白人』大統領」と名指ししたトランプ政権の成立は、その「白さ」を特徴としたカントリーミュージックにどのような変化をもたらしたのでしょうか。昨今のカントリーミュージック研究は、私たちがこの音楽ジャンルに抱くステレオタイプを更新する成果を次々にもたらしています。

最後に、コロナ禍においてアジア系への差別と暴力が報道されるなか、そのコミュニティーの歴史を簡単に整理しつつ、アフリカ系やヒスパニックなど他のマイノリティーとの関係を探ります。

詳細


講師:
大和田俊之/ゲスト:永冨真梨 有光道生

販売期間:
2023年3月7日〜4月30日

視聴期限:
2023年9月30日まで

放送時間:
3時間58分

参加費:
◆アーカイブ視聴
一般・・・・1,500円
2022年度美学校在校生・・・1,000円

申込:
こちらのPeatixのページからお申し込みください。

アーカイブ動画ではプレイバックされた音楽部分はカットや映像の差し替えを行います。予めご了承ください。

【キャンセルにつきまして】
視聴用のURLが送信される都合上、お客様都合によるキャンセルは承っておりません。何卒ご了承ください

講師プロフィール


大和田 俊之(おおわだ・としゆき)

慶應義塾大学法学部教授、アメリカ文化、ポピュラー音楽研究。
『アメリカ音楽史』(講談社)で第33回サントリー学芸賞受賞。他に、編著『ポップ・ミュージックを語る10の視点』(アルテスパブリッシング)、長谷川町蔵との共著『文化系のためのヒップホップ入門1、2、3』(アルテスパブリッシング)、磯部涼、吉田雅史との共著『ラップは何を映しているのか』(毎日新聞出版)、細川周平編著『民謡からみた世界音楽』(分担執筆、ミネルヴァ書房)など。


永冨 真梨(ながとみ・まり)

関西大学社会学部メディア専攻助教。アメリカ文化史・ポピュラー音楽・越境。
著書に『ポップ・ミュージックを語る10の視点』(共著、アルテス・パブリッシング、二〇二〇年)、論文に“Remapping Country Music in the Pacific: Country Music and Masculinities in Post-War Japan, 1945-56”(Journal of Popular Music Studies, Vol.32, Number 2., 2020)、「「黒い」音と「白い」音を再考する-「南部の音」を創った『ニューミュージック・マガジン』の記事を事例として」(『ポピュラー音楽研究』24巻、2021年)などがある。京都のカントリー音楽ライブハウス、ケニーズにて永冨研二とテネシーファイブとライブを主軸に、現在も歌手活動と音楽制作を行う。


有光 道生(ありみつ・みちお)

慶應義塾大学法学部教授。アフリカン・アメリカン研究。
共著に『ハーレム・ルネサンス -〈ニュー・ニグロ〉の文化社会批評-』(明石書店、2021年)、The Routledge Companion to Butoh Performance. (New York: Routledge, 2018)、論文に“De-Occidentalized ‘Projections in the Haiku Manner’: Poetics of Indeterminacy and Transcultural Reconfiguration of ‘Frog Perspectives’ in Richard Wright’s Last Poems.” The Japanese Journal of American Studies 29 (2018): 45-65(第6回斎藤眞賞受賞論文)他多数。

〈配信中のオンライン講座〉


〜ゼロから聴きたいヴィジュアル系〜

◆講師:藤谷千明 構成協力:コメカ
▷放送時間:2時間59分 ※検索用楽曲タイトルリスト付き
この講座では、フリーライターである藤谷千明が、ヴィジュアル系という音楽ジャンルの黎明期から現在までの変遷を解説し、その魅力や本質に迫ります。また、講座への登壇はございませんが、構成協力としてテキストユニット「TVOD」としても活動中のライター/国分寺駅そばの古本屋「早春書店」店主のコメカ氏も参加しています。


〜ゼロから聴きたい実験音楽の前史〜

◆講師:佐藤実 -m/s 山本和智
▷放送時間:3時間25分
本講座では、アーティストである佐藤実 -m/sと作曲家の山本和智が、実験音楽に至るまでの歴史を振り返りながら、受け継がれていった芸術の背景について、19世紀後半から20世紀前半の流れを汲みつつ思いつくままにお話します。 「実験音楽の”実験”って?」「実験音楽はどこから来たの?」など、初心者にも分かりやすい入門編として”実験音楽の前史”をご紹介いたします。


〜ゼロから聴きたい日本の土着音楽〜

◆講師:講師:輪島裕介 ゲスト:大谷能生 炎上寺ルイコ 岸野雄一
▷放送時間:3時間52分 ※講師陣によるレジュメ付き
本講座では、学校と軍隊を通じて普及した「洋楽」系の流れとは異なる、庶民的な実践の系譜を浮かび上がらせることを目指します。「音楽」「(歌舞)音曲」「洋楽」「邦楽」「民謡」「民族音楽」といった概念の来歴についても批判的に検討します。
ゲストとして、近代日本の音楽教育や音楽批評の大きな流れをみごとに提示する貴重なお仕事を次々に送り出し、「ポピュラー邦楽」という魅力的な概念を提起されている大谷能生さんをお迎えします。さらに、美的かつ政治的にオルタナティヴな音曲実践を進めている炎上寺ルイコさん、該博な音楽知識に基づいて地域に密着した盆踊りの現代的再編に取り組む岸野雄一さんも交えて、未だその全貌を現してはいない近代日本の土着音楽の姿を探究してみたいと思います。


〜ゼロから聴きたい日本のヒップホップ〜
◆講師:吉田雅史 ゲスト:韻踏み夫 荘子it
▷放送時間:3時間57分+補足動画2時間10分 ※検索用楽曲リスト付き
2010年代終盤に囁かれた「日本語ラップブーム」を通過し、日本語ラップはかつてなかったほど豊かなフェーズへ突入しているように見えます。 そしてその豊かさはもちろん、1980年代からの30年以上にわたる日本語ラップの歴史と作品群によってもたらされたものです。しかし一方で、ラップという表現方法があまりにも一般的になったために、日本語ラップの世界はあまりにも多様で、外からみれば、つかみどころのない広大な世界が広がっているように見えるかもしれません。日本語ラップの世界に導かれる導線は、フリースタイルバトルのみならず、アイドルやお笑い、アニメなど様々な世界に張り巡らされています。日本語ラップを楽しむ軸も実に多様です。ラップが好き、ビートが好き、ラッパーのキャラが好き、ファッションが好き、ラップのメッセージ性が好き、リリックがリアルなところが好き・・・ そこで本講座では「日本語ラップのなにがカッコいいのか」「日本語ラップのどこを評価するのか」という点について、考えてみたいと思います。