アートのレシピ〜松蔭浩之のラディカル・ヒストリー・アワー講師:松蔭浩之+三田村光土里


定員:12名
期間:2024年5月〜2025年3月
日時:毎週土曜日 13:00〜17:00
学費:330,000円 教程維持費:11,000円(年額)
開催教室:本校3F

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せっかくだから、ちょっと変わったことを言っておこうと思います。いや、そもそもこの「変わったこと」について思いを巡らせること、人のやっていないことを考えだして、ひねりだして形にすることこそがARTの真髄なんで……その、「変わったこと」ですから、最初は全くもって理解不能かも知れず、あなたの普段の価値観とか常識とか正義感とか人生設計とかとはけっこうズレたりしているかもしれない。けれども、気持ち次第では実に面白可笑しい人、作品、出来事、あなたのきっと知らない古今東西の本物の変わりモノを紹介しつつ、やはり「変わった」考え方、見方、とらえ方をしてみることで、新しい刺激的な経験になりうるというお話を長い間続けています。

例えば、100年ちょっと前になりますが、ヨーロッパで起こった反芸術活動『DADA』と、1960年代に日本で制作放送された子ども向けテレビ番組『ウルトラマン』との関連を考察し、「怪獣」を解剖してみるとか、’80年代初頭に全世界的に突然変異のように起こった、DIY精神に満ちあふれたロックバンドやミュージシャンたちの奇跡から学ぶとか、私が19歳から3年間師事した森村泰昌はじめ、先人たちから培って確立した「私の写真論」をもとにセルフポートレイトを実践する……など、松蔭浩之の自分史における、ラディカルな事象を吟味検証して紹介、流行り廃りに左右されない普遍性の探求、その追体験と伝承、すなわち、ラディカル・ヒストリー・アワーを共有することが、この講座最大の特徴です。

この『レシピ』では、俗にいう「現代アート」に限らず、音楽、映画、サブカルもアングラも含めた文化全般を視野に入れた講義、ワークショップを実施します。かならずしもアーティストを養成することが目的ではないですが、節々でアートの実践を体験してもらうことで、クリエイティビティー(=創意工夫)の本質を知ることを目指します。

不定期に開催の「三田村光土里のときどきアートサロン」では、三田村光土里が豊富な経験とインスピレーションで、制作のお悩みをコンサルティングします。

変わったことが好きではない。もしくは、変わることを恐れる方にはおススメできませんが、好奇心おう盛で柔軟な思考性を持つあなたには最適の講座になることでしょう。

松蔭浩之

講師プロフィール

松蔭浩之

現代美術家、写真家。福岡県出身。1988年大阪芸術大学写真学科卒業。
1990年アートユニット「コンプレッソ・プラスティコ」でベネチア・ビエンナーレに世界最年少で選出される。以後、数多くの国内外個展やグループショー、シンガポール・ビエンナーレ(2006年)ほか国際芸術祭に参加。写真作品を中心にインスタレーション、パフォーマンス、ミュージシャン、執筆、グラフィックデザイン、俳優、映画監督など多岐に渡って活動を続ける。 アートグループ「昭和40年会」(1994年結成。現メンバーは会田誠、有馬純寿、小沢剛、大岩オスカール、パルコキノシタ、松蔭浩之の6人)では会長を務める。
宇治野宗輝とのロックデュオ「ゴージャラス」(1997年結成)では国内外でのライブを盛んに行った。また、2016年再始動したポストインダストリアルグループ「PBC」(1987年結成)でも演奏活動を続ける。俳優としては金子雅和監督『アルビノの木』など数々の作品に出演。監督作品は、画家の会田誠を主演に起用した『砂山』(2012)、若林美保主演の『LION』(2018)がある。  https://www.matsukage.net

 

三田村光土里

愛知県生まれ 東京在住
「人が足を踏み入れられるドラマ」をテーマに、写真や映像、言葉や日用品などの多様なメディアで構成した空間作品を国内外で発表。私的な追憶から浮かび上がる不在感が、日常の哀愁や感傷を観る人の内側に投影する。
世界各地で人々と朝食を共にする滞在制作“Art & Breakfast”では、フィールドワークで集めた材料でインスタレーションを作り続け、文化的境界を越えて共感する価値観をユーモアと批評的な眼差しで俯瞰する。
2003年、日本の新進作家展・vol.2 (東京都写真美術館)。
2005年、文化庁新進芸術家海外派遣(フィンランド三都市巡回個展)。2006年、ウィーン分離派館・セセッションにて個展。2011年、二国間交流流事業プログラム派遣(メルボルン、オーストラリア)、あいちトリエンナーレ2016。2017年、ウィーン美術アカデミー 滞在招聘作家。2019年、Japan Unlimited 展(ミュージアム・クォーター・ウィーン)、他多数。

講師インタビュー

2021年で開講11年目を迎える「アートのレシピ」。作家として友人として20年来の付き合いがある松蔭浩之さんと三田村光土里さんによる講座です。本稿では、お二人の作家活動の背景にあるものから、作家としての共通点、作家を続けるうえでの喜びや葛藤、それらを受講生にどう伝えるかまで、お二人にお話しいただきました。松蔭さんと三田村さんの作品も紹介しています。

史上まれにみる年 1979-80-81年

松蔭 「アートのレシピ」の講座紹介文では、1979年、80年、81年に世界中で起こった、ロックミュージックを中心とした文化を知っておいて絶対損はないよって書いたつもりなのね。音楽だけじゃなくて映画もアートも。気づけば授業でもそれを毎週のように言ってるんだよね。

79-80-81年は、文化が劇的にシフトした人類史上まれに見る時期だと確信してるんだけど。メディア的にはそのあとすぐ、82年にCDが、84年にマッキントッシュが発売されたとか続くんだけど、なぜこんなに人類が面白かったのか。だからこの際、ちょっと騙されたと思って1年間ぐらい、こういう面白い時代の話を聞きに来て、それから手を動かしてみたらいいと思うよ。元をただせば「9-0-1」が面白いのよ。次が89-90-91年。その次が99-2000-2001年。余談ですが、三田村さんとオランダで仲良くなったのもその頃だね。・・・続きを読む

講座レポート

映画、音楽、サブカルチャーなど、松蔭さんの作家人生に大きな影響を与えてきた「ラディカルな事象」を授業内で積極的に紹介する「アートのレシピ」。決して古びない先人たちの文化的実践を体験することにより「クリエイティビティー(=創意工夫)の本質を知ること」を目指しています。本レポートでは、ある日の授業の模様を交えながら講座について紹介します

「アートのレシピ」の柱その1──会話を楽しむ

アートのレシピ」の授業の柱となるのは松蔭さんの「話」です。その日授業に集まった人、最近あった出来事、受講生からの質問や意見などを起点に繰り広げられる松蔭さんの話を聞くことが本講座の重要な要素のひとつ。

もちろん、話を聞くだけでなく受講生も松蔭さんと一緒になって話をします。この日出た話題だけでも「好きな食べ物」「自分なりのアーティスト像」「アートをやる理由」「映画の口コミ」「行ってみたい国」とさまざま。アートと関係ないような話を入口に、気づけばアートの話につながっていることも。雑談のような気軽さでありながら、人の話を聞き自分の考えを言葉にする時間はシンプルに楽しく、教科書を一方的に読み聞かせられる退屈さとは無縁です。・・・続きを読む

「アートのレシピ」を受講して

美学校「アートのレシピ」(講師:松蔭浩之、三田村光土里)は、さまざまなメディアを用いて表現活動を続ける講師のアート論を軸に、現代美術の読み解き方、表現発想法をわかりやすく享受する講座です。「正しいオブジェの作り方」「セルフポートレイト実践」など、バラエティ豊かな講義やワークショップを通じて受講生が得たアートの「レシピ」とは。講座を受講した方々にお話を聞きました。・・・続きを読む

講師 松蔭浩之と修了生による座談会

━━━ではまず基本的な事からお伺いしていきたいと思います。ヨレヨレアートコース(注:アートのレシピの旧名)はまずヨレヨレという講座名が面白いと思うのですが、なぜヨレヨレアートコースという講座名になったのでしょうか?

松蔭 これ(『彷書月刊』2009年9月号)知ってる?特集「美学校のあれから十年」、これに僕も美学校について4000字書いてるんですよ。僕が美学校に関わるようになった十年前から、ヨレヨレがどういう成りゆきでできたか。それを文章じゃなくて言葉に直して言うと、ヨレヨレは2005年なのね。2005年は昭和40年会のメンバーがちょうど40歳になる年だったんですけど、40年会の40歳ということで「40×40」という名前をつけて、一年間展覧会とかイベントとかネットで連載を始めたりだとか、何でも一年間やろう、みんな忙しいけど昭和40年会というグループ名義で極力やろうと。メンバーが会田誠や小沢剛も含めて七人いたんだけど、七人それぞれ40歳になる誕生日が来るじゃないですか。それでその誕生月、誕生日には、その人名義のイベントをやるとか、そういうプロジェクトをやっていたんです。
ヨレヨレはそれの一環だったんです。それで美学校でも一年間40年会の講座を持とうと。それで、それの名前が「40×40」=「ヨレヨレ」ということでスタートしたんです。・・・続きを読む

過去の修了展など

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〈現代美術〉


アートのレシピ 松蔭浩之+三田村光土里 Matsukage Hiroyuki

▷授業日:毎週土曜日 13:00〜17:00
俗にいう「現代アート」に限らず、音楽、映画、サブカルもアングラも含めた文化全般を視野に入れた講義、ワークショップを実施します。かならずしもアーティストを養成することが目的ではないですが、節々でアートの実践を体験してもらうことで、クリエイティビティー(=創意工夫)の本質を知ることを目指します。


ビジュアル・コミュニケーション・ラボ 斎藤美奈子 Saitoh Minako

▷授業日:毎週火曜日 13:00〜17:00
作品制作を中心に、現代美術に関する講義を交えて進む講座です。制作を通して、美術作家としてのものの捉え方や考え方も学んでいきます。まず、ゆるやかな方向性をもったカリキュラムを用意します。とにかく、何か作ってみる。そこからスタートです。


芸術漂流教室 倉重迅+田中偉一郎+岡田裕子 Kurashige Jin

▷授業日:毎週月曜日 19:00〜22:00
「芸術漂流教室」は、倉重迅、田中偉一郎、岡田裕子を中心に、ゲスト講師も招きながら展開していきます。現代美術の領域で活動しながら他ジャンルにも軸足を持つ、無駄に経験値の高い講師陣とともに「楽しく」「真面目に」漂流しましょう。


未来美術専門学校 遠藤一郎 Endo Ichiro

▷授業日:不定
未来美術家・遠藤一郎による講座。本当にお前がやりたいことは何なのか。お前の夢を好きなまんまにやれ、わがままに。夢バカ最強宣言。非実力派宣言。最初の一歩。世の中にはへんなやつが必要だ!!


現代アートの勝手口 齋藤恵汰+中島晴矢 現代アートの勝手口

▷授業日:毎週金曜日 19:00〜22:00
「現代アートの勝手口」は、この20世紀を総崩れにした30年の後に、改めて勝手に現代アートをやろうという集まりです。私たちは広く深く種々の形式を取り扱います。知的好奇心の赴くままに一緒に遊べる人と、これからの遊び方を再発明したいのです。この講座を通し、三河屋のようにひとの勝手口から勝手に出入りして、その勝手を盗み合えるひとたちと出会えれば幸いです。


アンビカミング: シャドーフェミニズムズの芸術実践 遠藤麻衣+ゲスト

▷授業日:隔週火曜日 19:00〜22:00
アーティスト・遠藤麻衣による講座。フェミニズムの領域でも「ネガティブ」で「パッシヴ」な「シャドーフェミニズムズ」に焦点を当てて学んでいきます。クィア・フェミニズム、ソーシャルプラクティスとしての芸術に関心を寄せるさまざまな方の受講をお待ちしています。


サウンドアート・入門と実践 渡辺愛

▷授業日:第二日曜日 14:00〜16:30
この講座では、音や音楽を考えるうえでの基礎的な学びとして、広く現代音楽や電子音についての知見を深め、音自体の構造を理解し、電子音響による音づくりを通じて「音とは何か」を考察、実践します。