Menu

Home
コード進行の謎に迫る!バークリーメソッドで読み解く楽曲分析
第8回:LiSA『紅蓮華』分析!

コード進行の謎に迫る!バークリーメソッドで読み解く楽曲分析
第8回:LiSA『紅蓮華』分析!


2019年の少年マンガで話題作となった『鬼滅の刃』。

ジャンプ漫画ファンとしては「たしかに光るものはあったけどまさかこんなに国民的コンテンツになるとは…」という古参ぶりたい気持ちが溢れ出さんばかりの勢いです(笑)。
ということで、アニメのOP曲である”紅蓮華”を分析していきたいと思います。

 

■コード進行はシンプル&王道!でも実は?

それでは早速各ブロック毎にコード進行をみていきましょう。

どうでしょう?パッと見ただけでも出てくるコードの種類が少なく非常にシンプルな構造になっていますね。「あれ?イントロとBメロはルート音だけ?」という疑問は一旦置いておいて、先にAメロとサビから見てみましょう。

この曲のキーはGメジャー/Eマイナーです。

マイナーの中心であるEマイナーから始まるAメロ、Eマイナーへ向かうサビという形でそれぞれ構成されており、特にサビはいわゆる456進行というヒット曲に欠かせない誰もが好きな王道の進行ですね。

2回目の繰り返しの際に挿入されるE♭m-5という半音下からのアプローチが隠し味になっていますが、全体の王道感を損なうものではなく、あくまでさりげないスパイスといった具合です。

やはり王道ジャンプバトル漫画のOP曲ですから、サビは小賢しいコード進行よりもこういった王道150kmのストレートが強いものです。

 

■イントロとBメロに注目!

先ほど置いておいたイントロとBメロを見ていきましょう。このセクション、ベースラインの動きだけみればサビと同じ4563という非常にシンプルな動きをしています。ではサビとの違いは何か?

結論から言うと上部構造が違います。

このセクションの最初の二つのコード、CとDに関しては3度積みのいわゆる『ドミソシ』というメジャー/マイナーといったコードではなく、『シンプルなルートの動きの上に、4度積みのハーモニーによって構成されたリフが乗っている』という状態になっているのです。

コードの重力を決定づける3度の響きがオミットされ、代わりに浮遊感のある4度堆積のハーモニーを用いる。
これにより、単純にベタ弾きでダイアトニックコードを456と弾いただけでは決して得られない独特の透明感、浮遊感のあるサウンドを得ることができるのです。
しかも単に浮遊させるだけでなく、きちんと後半のEmとBmではダイアトニックの響きに戻っています。しっかり着地を決めることでポップスとしての安心感も担保しています。

このように『上部構造をリフで停滞させ、ルート音を動かす(=結果的に分数コード的な響きを得られる)』アプローチは楽器やバンド経験者なら「当たり前によくやってるやつじゃん」と思われるかもしれません。

しかし「楽器経験ゼロでDTMから作曲を始めた」という方や「音楽理論を学び始めたばかりだ」という人はしばしばこうした『リフ的な発想から作曲をする』ということを忘れてしまうことがあります。

「いい感じのコードをぽちぽち打ち込んだはずなのにフレーズが生き生きしてこない」

という時は、コードの檻に縛られた発想をひとまず置いておいて、リフ的な発想に転換してみてはいかがでしょう。

 

■構成に注目!

最後にこの曲の構成について触れておきましょう。
この曲はBメロから始まり、その後ブリッジ的なイントロ→A→B→サビと続く流れになっています。

ひと昔前ならばBメロから始まるポップスという構成はなかなか珍しかったのではないでしょうか。
もちろん『サビがあって大サビがある』みたいな二段構えの曲は昔からありますが、この曲の場合はそういうものとはちょっと違いますよね。

この曲のBメロというのは、歌謡曲的なBメロというよりは『EDMにおけるブレイク〜ビルドアップ的な位置付け』と捉えるとしっくりくるのではないでしょうか。

メロディアスなブレイク部分がそのままイントロとして機能し、ビルドアップ→ドロップ→またブレイク…というEDM的な構成をイメージしながら本曲を聞くと、まさにBメロ部分がサビ(ドロップ)前に力を溜めて盛り上がろうとする、ブレイク→ビルド的な機能を果たしていることが感じられると思います。

2019年現在だとこういった構成の曲は特別に珍しいものではないように思います。例えば同じく2019年上半期に話題作となった『ケムリクサ』のOP曲も同様の構成の楽曲です。その曲がどのようなアレンジ・構成でプレゼンされるか?という点はその時の流行や他の音楽ジャンルからの影響によって大きく変わるものですね。

 

■まとめ

2019年話題作のOP曲は、王道ど真ん中のコード進行を用いながらさり気ないフックが利いたものとなっていました。
(そして全く触れませんでしたが一般的な女性Vo音域の上限下限をぶち抜いた縦横無尽なメロディも非常に強力です。これにより相当な歌唱難易度を誇っていますw)

そしてそのアレンジはまさにその時代とともに姿を変えるもの。
普遍的な部分と常に変化する部分、両方をしっかり勉強していきましょう!

 
 
「この解釈はこうした方がよいのでは」とか「こんな曲の分析してほしい」等々、是非本校Twitterまでご意見ご感想などなどお寄せくださいませ。
 

 


〈作曲〉
Kikuchi Naruyoshi

▷授業日:隔週水曜日 19:00〜21:30
楽曲の構造を支える『音楽理論』をゼロから学ぶ講座です。魅力的なコード進行が、どのような仕組みで作られているのか?ポップスからジャズやボサノバまで、複雑な響きを持つ音楽の構造を読み解き、使いこなすためのスキルを身につけます。

Takayama Hiroshi

▷授業日:隔週水曜日 19:00〜21:30
楽曲の魅力の源泉ともいえる『メロディ』を作る技術を学ぶ講座です。才能や偶然で済まされがちなメロディの作り方を体系立てて学び、曲作りのスキルを多面的に身に付けます。短いフレーズをつくることから始め、オリジナル楽曲を仕上げていきます。