CHERRYさん(「外道ノススメ」修了生)個展のお知らせ


CHERRY 個展『あたらしい保健体育』



渋谷にあるスペース408302にて、「外道ノススメ」修了生のCHERRYさんの個展『あたらしい保健体育』が開催されます。


CHERRYは1998年生まれ。高校時代にフェリックス・ゴンザレス=トレスの作品《Untitled (Perfect Lovers)》を知り、感銘を受けます。幼少期より飼い犬に恋愛感情を抱くなど、人間以外の生物や物質にさえ強い情動を覚えていたCHERRYにとって、軽やかな手付きで無機物に感情を託すトレスの作品は強く心に刺さり、美術を志すきっかけとなりました。

デビュー展となる本展では、《LOUNDRY・花ビラ大回転式》の展示・パフォーマンスを通じて、既成の概念にとらわれない性的充足手段、すなわち「新たなセックス」を提案します。

CHERRYは日頃からコミュニケーションの一環としてパートナーの下着を自らの手で洗濯しており、下着を慈しみながら洗う行為から得る充足感を広く伝えたいと考えると同時に、世間では変態として忌み嫌われる存在である下着愛好家の持つ性欲の構造に関心を抱いていると言います。また、今年2月にフリマアプリ「メルカリ」において「青少年保護・育成および衛生上の観点から」「新品であることが証明できない下着類」が出品禁止となったことも本展構想のきっかけとなりました。(※1)

CHERRYの行う愛情表現はともすれば一方的で身勝手なものであり、彼が自身を客観的に見る際はその一方向性について「性的加害者」という言葉を自覚的に用いて説明しています。しかし、愛情表現や性の発散において他の方法を模索せずに無自覚にセックスに興じ続け、それを双方向的なものだと認識してきた私たちこそがある意味では「性的加害者」だったのではないかとCHERRYは問いかけます。

下着を洗う行為で性的に満たされることは「異常」なのか。日常に横溢するセックスは「正常」なのか。世間では「異常」とされる嗜好を自覚するCHERRYだからこそ提示可能な「新たなセックス」を体験しに、ぜひ足をお運びください。

※1 メルカリ「新品下着の出品⽅法についてのお知らせ」
https://jp-news.mercari.com/2019/02/22/underwear/

◆ アーティスト・ステートメント
「思春期に少年から大人に変わる」
 
誰にだって性に関心を持ち始める時期が来る。僕の場合は時代もあるだろうか、インターネットの普及により、小学生という早い段階で簡単にセックスにアクセスできた。世界がひっくり返った。オーガズムを求める一連の形式が脳裏に焼き付いてしまった。
それ以前にも“Hなこと”はしてきたはずだけれど、一度セックスというものが頭に植え付けられてからはどんな情熱も興奮も愛とさえ呼ばれるものも、快楽との比較対象に成り下がった。純粋な性の喜びは理屈でしか語れなくなった。
 
「何も聞こえない。何も聞かせてくれない」

皆が同様に既存のセックスを成長過程で学習しているはずで、その中には純粋な性の喜びを享受する前に固定概念によって性が雁字搦めにされた人もいるだろう。あなたは本当に楽しくてセックスしてきたか?

昨今のLGBTQに対する価値観の変容や性的成熟の低年齢化に伴い、性をどう教えるべきかが今大きく問われている。もちろんその対象にすでに大人になった僕たちも含まれていることを忘れてはならない。
性に目覚めたあの時に、セックスをどうやって教えて欲しかったのか。身につけたかったのか。この展示では僕なりの性教育を展開してみたい。

◆ アーティスト・プロフィール
CHERRY|チェリー
1998年生まれ。自身に対し性的加害者であるという自覚を持つ。性的倒錯者がどのようなプロセスを経て性衝動を発散させるべきか、なぜ異常嗜好が生じるのかを当事者の目線で考察している。“Sexodus”/「新たなセックス」を掲げ、形式化した既存の性行為からの脱却と、性器や肉体に捉われない本質的な交わりを目指して活動している。

◆ 本展に関するお問い合わせ
CHERRY
matsug1cherry.h@gmail.com

◆協力
文 章:木村 奈緒
広 報:ナオナカムラ
会場提供・デザイン:野呂 昭仁


会 期:2019年6月16日(日)〜6月30日(日)※会期中無休
時 間:平日 15:30〜20:00、土日 13:00〜19:00
入場料:無料
会 場:408302(東京都渋谷区桜丘町9番17号 TOC第3ビル 408号室)

《オープニングレセプション》
6月16日(日)17:00〜19:00

Matsuda

▷授業日:毎週土曜日 19:30〜22:30
現代を様々な角度から考証し、ハミダシ者として表現を創造していくことを目的に授業を進めていきます。キーワードとして、「サーチ&デストロイ」を強く意識していき、学校教育では教えられないことを存分に取り入れながら、強い表現とはなにか?を考え実践していきます。