【6/19】第1回AI美芸研(人工知能美学芸術研究会)


第1回AI美芸研(人工知能美学芸術研究会)


AI-Bigei-Ken


2016年5月1日に「人工知能美学芸術宣言」(中ザワヒデキ起草)とともに発足した人工知能美学芸術研究会(AI美芸研)の第一回研究会が6月19日に当校にて開催されます。人工知能美学芸術研究会は、Facebook上での場の開設と、数ヶ月に一回程度の公開の研究会開催が主な活動内容となります。会員制ではなくどなたでもご参加できます。
今回の第一回研究会では、高橋恒一(理化学研究所生命システム研究センター)、藤井雅実(芸術哲学研究者)、中ザワヒデキ(美術家)の各氏の講演が行われます。

・人工知能美学芸術研究会 公式サイト
 http://aloalo.co.jp/ai/

・人工知能美学芸術研究会(AI美芸研) Facebookグループ
 https://www.facebook.com/groups/1155307841158207/


第1回AI美芸研(人工知能美学芸術研究会)

講 演:
高橋恒一(理化学研究所生命システム研究センター)約40分間
藤井雅実(芸術哲学研究者)約40分間
中ザワヒデキ(美術家)約30分間

 ※各講演直後の質疑応答のほか、最後に全体討議の時間を設けます。
 ※当会の講演は配信、実況歓迎です。記録動画を後日公開予定です。

日 程:2016年6月19日(日)
時 間:15:00〜18:40(予定)※終了後懇親会(22:00まで)
会 場:美学校 本校(地図
     東京都千代田区神田神保町2-20 第二富士ビル3F
参加費:1,500円(どなたでも参加可)
 ※入場は先着順です。来場者が50名を超えた場合は、立ち見、もしくはご入場いただけない可能性もございます。予めご了承ください。
 ※懇親会費別途(1,000円程度を予定、持込み歓迎)
主 催:人工知能美学芸術研究会(http://aloalo.co.jp/ai/

講演内容


近代の終焉の終わり -ベルリン中央駅、オートポイエーシス、機械知性-

高橋恒一(理化学研究所生命システム研究センター)

20世紀の前半、近代科学は間主観的視点の導入により数学の不完全性や量子論的観察者のパラドックスを乗り切って現代科学への脱皮に成功したが、20世紀の後半に至って非線形、大自由度、非平衡系の壁を超えられなかった。文明はスペンサーが言う求心的なフェーズに入り、中世が再来するかに見えたが、深層学習を突破口にgoogleなど複数のプレイヤーが第四次産業革命およびそれによる経済構造の根本的変化のきっかけとなる汎用人工知能の実用化レースに突入し、近代の終焉の終わりを思索すべき時期が来ている。この美学におけるインパクトは、カントが純粋理性による愉悦と定義したものへの回帰かもしれない。一方で、汎用人工知能の基礎となる認知アーキテクチャーにおける環境と内部モデルとの閉ループはユクスキュルの環世界と関連が深く、オートポイエティックな行為主体の発生を意味する。

※理化学研究所生命システム研究センターで研究室を主宰。10代のころ作曲家を志望。楽器の物理構造による制約に違和感を覚え、デジタル信号処理を利用したコンピュータ音楽を学ぶため慶應SFCに進学。しかし、オートポイエーシス理論に衝撃を受け、構想する自律性を持った生命としての音楽を実現するため生命科学に転向。世界初の全細胞シミュレーションを実現。現在は計算生物学のほか、全脳アーキテクチャーの研究などにも従事。全脳アーキテクチャ・イニシアティブ理事・副代表、慶應義塾大学SFC特任准教授、大阪大学招聘准教授、RBI株式会社最高情報責任者などを兼務。AI社会論研究会共同発起人。専門は脳型計算システム、計算システム生物学。人工知能の社会への影響などにも興味を持つ。
http://lbcs.riken.jp/member/koichi-takahashi

AIは善悪・美醜の彼岸で夢を見るか?

藤井雅実(芸術哲学研究者)

人工知能は芸術的創作でも話題となっています。一方でレンブラントら巨匠の様式を模し、他方、人間に想像しがたい不気味な画像を産出する。そうしたAIの表現を美的・芸術的にどう評価するか? 巨匠様式の完璧な模倣・反復が可能なら、従来の巨匠や天才の概念や評価はどうなる? 他方、ある種のAIアートの異様さは、日常的慣習を侵犯する前衛の美学の一種なのか? 前衛の美学をも逸脱する異次元の<脱構築>か? 人間的基準と異質の深淵の開口なのか?

また、AIを創作主体と認めることは、AIに心や意識を認めることなのか? 完全に人間と区別しえぬAIが出来たとして、ソレは、「哲学ゾンビ(振る舞い全てが人間と区別できず、しかし意識を持たない存在者)」と同じではないか? 無限に複製可能なAI人格の可能性は、従来の主体や私や人権という観念をどう照らし返すのか?

こうしてAIと芸術の問題は、美醜善悪など美学や倫理から、チューリング問題以来の「機械と心」の問題、翻って人間の「脳と心」や「他者の心」などの問題の核心部分にも関わるでしょう。

※諸分野を跨ぐ驚くべき論考で知られる藤井雅実は驚くべき容姿の持ち主でもある。日本現代美術界における「80年代アヴァンギャルド」の牙城、東京神田の画廊パレルゴン元主宰した後、古典美術、美学、哲学、ゲーム、カーデザイン、F1、などの研究・翻訳などを展開。『現代美術の最前線』編著他。(※文責・中ザワ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/藤井雅実

人工知能美学芸術宣言について:反芸術の立場から

中ザワヒデキ(美術家)

アルファ碁の衝撃が第3次AIブームを加速し、世界的なAI開発競争に日本もようやく参戦した。しかし産学官の連携指針が「AIは人類の幸福のため」との前提を自問することはない。ならばわれわれが反芸術、反美学、反ヒューマニズムの止めとして人工知能美学芸術を追究しよう。人類史の幕引きを歓迎する。

※「中」だけ漢字、「ザワヒデキ」が片仮名の芸名は医学部在籍時より使用。「バカCG」を経て「方法主義宣言」「新・方法主義宣言」。3Dプリンタ関連特許、著書『現代美術史日本篇』他。文化庁メディア芸術祭審査委員。
http://aloalo.co.jp/nakazawa/