【レポート】「外道ノスゝメ」公開授業 ゲスト:COBRA


文・写真=皆藤将


今年5月より新規開講した現代美術講座「外道ノスゝメ」。先日10月10日に、アーティストでありアーティストランスペース「XYZ collective」のディレクターでもあるCOBRAさんをゲストに招いて公開授業が開催されました。

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今回のゲストCOBRAさん。

 

キーワードは「アーティストランスペース」


今回の授業のキーワードは「アーティストランスペース」。作品発表の場が少ない若手のアーティストにとって、自分たちでその場を築き上げるアーティストランスペースはとても重要。そう考える松田さんが、アーティストランスペース「XYZ collective」を運営するCOBRAさんに声をかけ、今回の公開授業が実現しました。もちろんスペースの話だけでなく、COBRAさんのアーティスト活動のお話も聞けました。

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まずは、松田さんからアーティストランスペースについてのお話。(写真右が松田さん)。美学校で「外道ノスゝメ」を開講するにあたって、展示スペースの重要性を話していた松田さん。受講生が美学校を出た後、自由に発表できるスペースがあると当然ながら活動が展開しやすくなります。例えば、去年で終講した「天才ハイスクール!!!!」では、助手を務めていた中村奈央さんが、高円寺でテンポラリーにオープンするギャラリー「ナオ ナカムラ」を開き、天才ハイスクールの卒業生たちは、そこでグループ展や個展を開催して経験を積みながら発信してきました。

日本では、展示スペースというと貸し画廊とコマーシャルギャラリーが主流ですが、貸し画廊はスペース代が高い場合も多く、コマーシャルギャラリーではそもそもギャラリーに所属しなければ展示ができず、どちらも若手にとってはのハードルが高くなっているのが現状です。もちろん、だからといって貸し画廊やコマーシャルギャラリーが悪い訳ではなく、それ以外の選択肢として自分で発表する場所を作っちゃうアーティストランスペースという方法もあるよという感じで話しが進んでいきました。

XYZ collectiveとは?


XYZ collectiveとは、COBRAさん他数名より2011年に世田谷区にオープンしたアーティストランスペース。スタジオや展示スペースの他、アート系のオフィスやショップなども入居しています。COBRAさんがXYZ collectiveを始めるきっかけとなったのは、東京ワンダーサイトの交流プログラムでオーストラリアに3ヶ月滞在したことだそうです。ギャラリーの展示のオープニングに100人ぐらい集まる場を体験したことがきっかけになったとのこと。

XYZ collectiveは、日本での活動だけにとどまらず、マイアミのアートフェアに出展していてたり、海外のギャラリーとの交換展示も企画しているそうです。マイアミのアートフェアでは、審査は厳しいそうですが1ブース30万円で出展できる枠があり、例えばナオナカムラの若手のみんなで出展を想像してみると面白いのではと話してくれました。30万という数字がリアルで、トライの現実味がありますね。

アートフェアでは、作品がフェアのサイトに載ったことで、ダッシュで自分のブースに買いにくるお客さんがいたり、日本との作品価格の相場の違いなど、経験を踏まえながら話してくれました。ちなみに、COBRAさんは毎回パジャマ姿でアテンドしているそうな。

そんな経験があるからか、海外のキュレーターやアーティストと繋がっていないのは超問題と話すCOBRAさん。「Contemporary Art Daily」や「Art Viewer」といった海外のアート情報サイトや、面白い動向のギャラリーなども紹介してくれました。

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COBRAさんの活動


スペースの運営だけでなく、アーティストとしても活動するCOBRAさん。後半はCOBRAさん自身の活動や作品についてもお話ししてくれました。スペースをしっかりやっている分、作品では逆にタガをはずしているそうで、前半の話しとのギャップにもうみんな抱腹絶倒。

新作を含めた映像作品を何作か見せてくれました↓↓↓

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と、こんな感じで、3時間を超える公開授業が終了。COBRAさん、お越しいただいたみなさん、どうもありがとうございました。

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外道の活動情報!


さて、ここで「外道ノスゝメ」の活動情報です。

現在、講師の松田修さんの展覧会「何も深刻じゃない」が高円寺の「GARTER」にて開催中です。「GARTER」はChim↑PomとGARTERが運営するアーティストランスペースで、最近は映画監督の園子温さんの個展が開催されたことでも話題になりました。

この展覧会では、「外道ノスゝメ」のもう一人の講師の古藤さんや受講生も松田さんとのコラボという形で出展。受講生はそれぞれが録音した”汚い音”を使って制作した映像作品や、様々な宗派の宗教関係者にインタビューしたインスタレーション作品を出展しています。

GARTERの入口はこんな感じです↓

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以下、展覧会の詳細となります。

松田修展「何も深刻じゃない」

キュレーター:Chim↑Pom
コラボレーション:古藤寛也、井手康郎、外道のスゝメ、麩澤孝
会期:10/3(土)-10/25(日) ※火曜休み 15:00-20:00
入場料:投げ銭制
詳細:http://chimpom.jp/artistrunspace/

10月18日(日)はパフォーマンス&トークも開催されるそうです。

みんなで行きましょう〜

Matsuda

▷授業日:毎週土曜日 19:30〜22:30
現代を様々な角度から考証し、ハミダシ者として表現を創造していくことを目的に授業を進めていきます。キーワードとして、「サーチ&デストロイ」を強く意識していき、学校教育では教えられないことを存分に取り入れながら、強い表現とはなにか?を考え実践していきます。