ハードコアサウンドに演劇的なアプローチを取り入れ、各方面で高い評価を得ているバンド、core of bells。彼らが2014年に毎月行ってきた『怪物さんと退屈くんの12ヶ月』を振り返り、その企画を総括するイベントが3月1日に美学校で行われた。
観客を巻き込み、毎回あの手この手でアプローチを行う彼らの類い稀な企画力と、バカバカしいアイディアさえも最後までやり切ってしまうエンタメ力を徹底的に掘り下げる企画となった。
今回のイベントは四部構成で、ヴォイスパフォーマーの吉田アミ、『爆音映画祭』の樋口康人、『悪魔のしるし』主宰の危口統之、ギタリストの杉本拓など、異なるトークゲストと共に、全12公演を振り返っていく。
朝10:00から夜20:30までという長時間の耐久企画。休日の朝にも関わらずオープンから来てくれたお客さんに一同安堵(笑)。
急遽出演が決定した大谷能生氏らを迎え、第一部開始。
記念すべき第一回公演タイトルは『お気づきだっただろうか?』。ホラー系のTV番組でよくある、「お気づきだっただろうか?」のナレーションをともにVTR をスローでプレイバックし、そこに映り込んだ怪奇現象をクローズアップしていく、という形式をパロディし、ライブのスタイルに取り込むというもの。
VTRのスロー再生を人力のバンドで再現し、そこに映り込んだ『怪奇現象』が音楽の時間軸を揺さぶっていく様は、バカバカしい面白さと批評性が絶妙なバランスで同居している。
「これは音楽なんですか?」元ユリイカ編集長、須川善行氏が切り込む。
吉田アミいわく「コアベルはよくも悪くも頭がいい」。まさに。あるスタイルや形式を徹底的に分析して、それを取り入れたり、ずらしたり、脱臼させていく。
長丁場イベントだが、食べ物や飲み物がリフレッシュさせてくれる。カレー美味いです。
毎回異なるコンセプトのライブを毎月/一年にわたって行ってきた彼らの試行錯誤を擬似的に体験できる、非常に有意義な企画となった。批評性の高い彼らのパ フォーマンスは、今回のような総括において『追体験』され、批評される事も含めて『作品』として完成したのではないか、とさえ思える。
今後も彼らの活動には是非注目してほしい。