実作講座「演劇 似て非なるもの」第6期&ギグメンタ2018 プレワークショップ
『いま、生きているひととつくる』発表会『星座はひとつの願い』
6月から開講する実作講座「演劇 似て非なるもの」と7月に開催予定の複合アートイベント「美学校・ギグメンタ2018」のプレワークショップの発表会『星座はひとつの願い』を5月25日に当校の屋上にて開催いたします。今回のプレワークショップは、ギグメンタで公演を開催予定の実作講座「演劇 似て非なるもの」講師の生西康典と修了生の鈴木健太とともに五日間(に追加で一日)かけて参加者とともに制作されました。是非ご来場ください。
講座の第二期生だった鈴木健太くんとの5+1日間のワークショップの発表会をします。
集まってくれた方々は、みなさん素晴らしくて、ぼくは観ているだけでとても楽しい時間を過ごしました。一緒につくっていて、あらためて思いましたが、ぼくは演出とはいいながら、予めこうして欲しいとはまったく思いませんし、どうしたら良いのか、僕が一番わかっていないのかもしれません。ただ、みんなが、それぞれの考えでつくっていくなかで、どういう形を結ぶべきかが、おぼろげに、見えて来るだけなのです。
でも、それは形を結んでしまえば、そうなることがまるで最初から決められていたように思えることがあります。
だから、みんなでつくっているとも言えますが、本当は誰がつくっているのでしょうか。
3月末に亡くなった首くくり栲象さんは、演者と観客は向き合っているのではなく、
同じ方向を観ているんだとおっしゃっていたそうです。
演者と観客の関係とは、
一方が与え、一方が授かるような関係ではなく、
お金の代価に一時の楽しみを与えられるような関係でもなく、
互いに与え、互いに授かるような関係ではないか、と思います。
8年前に東京都写真美術館で『おかえりなさい、うた』という長編のサウンドインスタレーションを展示したとき、最初の頃は1時間半もの長さをずっと聴いてくれるような人はなく、作品はとても集中力を欠いたものに見えました。だけれども、会期後半になり、それを受け取ろうとする観客が多く集まってくれたとき、その真摯な、大げさに言えば、敬虔とも言えるようなみなさんの態度により、プログラムで繰り返し自動再生されているはずの作品の姿が大きく変貌するのを、まざまざと体験しました。その時から、作り手、受け手というものに対する考えが根本的に変わりました。一方的に作り、一方的に受けるような態度では、何も生まれない。
それだけだと、少なくともお金の代価に得られるような商品にしかならないと思うようになりました。
こういうことを書いていると、受け手、観客に多くを望み過ぎなのではないかと言われそうですが、誰かに何かを、特に内心については強制することは決して出来ません。これはひとつの願いのような、それだけでは何の力もないものです。ひとが何処かに集まって、同じ行為(演者も観客も)に対して没頭するということが、どれだけ得難い体験なのか、それが、どれだけ壊れやすいものなのかということを、日々様々な場で、いつも実感しています。その場にいるものが全員で“それ”を現出させているというのは、考えてみれば、当たり前のことでしかありません。ここに確かにあると思われている社会、世界も、そこにいるものが、もしかしたら、もういないものも含めて、全員でここに存在させているのだと思います。誰もが、ものすごく弱い力で、でも確実に。
生西康典
台詞/演出協力:鈴木健太
演出:生西康典
出演:朝比奈夕鹿 綾野文麿 瀧澤綾音 冨田学 中西真穂 堀江進司 メル
日程:2018年5月25日(金)
開演:21:00〜[開場は10分前より]
入場料:無料
申込み:不要
会場:美学校 本校 屋上(地図)
東京都千代田区神田神保町2-20 第二富士ビル屋上
観覧のみなさまへお願い
・開演後の入場はとても難しいです。
・お静かに屋上までお上がりください。
・屋上では“無言の行”です。会話はご遠慮願います。
・撮影、録音はご遠慮願います。
・おそらく席数が10席程度しかご用意出来そうにありません。立ち見や、床に座って観て頂く可能性もありますが、ご了承くださいませ。
▷授業日:隔週火曜日19:00〜22:00+月1回外部開催
「演劇」は既成のイメージされているものよりも、本当はもっと可能性のあるものなんじゃないかと僕は思っています。それを確かめるためには、何と言われようとも、自分達の手で作ってみるしかありません。全ては集まった人達と出会うことから始めます。