石版画(リトグラフ)工房講師:佐々木良枝+増山吉明


[工房展のお知らせ]
「石版画(リトグラフ)工房」の受講生らによる展覧会が4月12日〜16日に美学校スタジオにて開催されます。詳細はこちら


定員:10名
期間:2024年5月〜2025年3月
日時:毎週火曜日 13:00〜17:00
学費:341,000円 教程維持費:20,900円(年額)
開催教室:本校3F

授業見学に申込む

リトグラフ工房

石版画(リトグラフ)は、平版の版画です。平らな版材の上に油成分を含む画材(墨、クレヨン、鉛筆等)で描いたものを直接版にして刷ります。クレヨンや鉛筆で描いたドローイングの自由な線や風合いを出すことができ、また、筆やペンで描いた水彩画のタッチやにじみ、複雑な色合いを出すこともできます。版画の技法の中でもっとも絵画に近いといえます。

石版画(リトグラフ)は水と油が反発する原理を応用し、描いた絵を化学変化させて版にし、描画部分にのみインクを付着させ、プレス機で刷ることで絵を創ります。化学変化をさせて作る版である為、描かれた画面が自分の意に反して、抑揚の無い平板な調子の乏しいものになったり、絵が壊れたりすることもあり、「描き」「版作り」「刷り」の技術や知識を習得する必要があります。

当工房では、石の版を使って技法を学びます(特殊な石であることや作業に水場なども必要なため、石を使っての作画が出来る工房はあまりありません)。石の版、また、金属版(アルミ版)、を使った技法やPS版による写真製版技法も学びます。それぞれできあがる版の具合が違うので、特質を知り、活用できるとより幅広い表現方法を持つことができます。

リトグラフは、さまざまな” 描く” で自分の絵画表現を探求することが可能です。
描くでも版を媒介とするので、思いがけないものにも出会ったりする喜びがあります。
自分のイメージに接近していくには、手を動かし絵を描き、絵を創りあげていくことです。そうすることで、自分の方法を見つけていけるのではないでしょうか。

佐々木良枝

授業内容

【前期】

  • 石版による制作(石の研摩・描画・製版・刷り)
  • クレヨン画、ペン画、解き墨画
  • PS版(写真製版)による制作(描画・感光製版・刷り)
  • コラージュ、フロッタージュ、ドロッピング等

【中期】

  • 石版石による制作
  • PS版多色刷りによる制作
  • 表現について考え、自分の表現方法の模索・構築
  • アルミ版による制作

【後期】

  • 自由制作
  • 制作発表の方法論学習(作品の見せ方、空間づくり等)
  • 表現のために/自分を貯めるー構築する

生徒持ち道具・材料

  • 描画材料 クレヨン・解き墨・筆・インク・アルミ版・
  • PS版その他
  • 版画用紙 あて紙・試し刷り用紙・本刷り用紙

表現のために/自分を貯める―構築する 

◎探し取材する・切り取る・決める・盗み取る等の作業

「かわいい」「きれい」「かっこいい」「おもしろい」

自分が心惹かれるもの、おもしろいもの…自らを動かしうる動機(モチーフ)

◎よく観察する・考察する・認識する

何故それがいいか、どんな方法だから、こんな風に見えるのか、自分の嗜好、好むものをより認識する 

◎言葉にする

観察して、考察して認識したものを言葉にする。思考し、曖昧とした考えを明確化する、潜在意識が引き出される

記憶は薄れる、言葉にしたものは残る

人に自分の言葉を示し、人とディスカッションすることで、より明確化し、付け加えられる

◎貯めていく

貯めたものを増やしていく、連想を広げ、よりイメージ化する、たまった情報を編集する。どんな表現方法で何を表現するか思考する/一つの表現方法として、この工房では、リトグラフを制作する。

講師プロフィール

佐々木良枝 

1949年大分県生まれ。1971年明治大学文学部卒業。1978年美学校阿部浩石版画工房にて学ぶ。1984年より個展活動開始。銀座画廊春秋、ぎゃらりいセンターポイント、大分えだ画廊他、グループ展多数。2002年より美学校石版画講師。

 

増山吉明

桑沢デザイン研究所卒業。個展 1996,97,98,00年ギャラリー代々木(東京)、2004年ギャラリーハーフノート(東京)他。グループ展 2002年ELEMENT展(東京)、2002年新跳躍展(韓国)、2003年マメホンマンボ展(東京)、2006年互通展(中国)他。

リトグラフ(石版画)とは?

語源はlithos(ギリシャ語で石の意味)から出来たとされています。

言葉の通り、平らな石の上に描画(現在では金属板等も使用)し、印刷する版画です。平らな版面の上に描き(版面を彫ったりしません)、平らな版面のまま印刷する為に平版と呼ばれています。

仕組みは、平らな版面の上に油性分を含んだ描画材料で描画し、描画終了後、薬品を塗ります。

そうする事により、油性分を含んだ部分(描画部)は油性分とくっつきやすくなり、描画されていない部分は水分を保存しやすい状態になります。版面に水を含ませながら、油性分を含んだインクを版面にのせると、描画した部分は、インクの油性分と描画部分がくっつき合うことでインクがのり、描画されていない部分は版面に水の膜が出来、油性分をはじいてインクが乗らないようになります。描画部分にインクがのった所で、版面の上に紙を置き、プレス機で圧をかけて印刷します。

リトグラフは、水と油の反発する性質を利用する化学的な版画といえます。・・・続きを読む

展示レポート

2023年10月19日から10月29日まで、東京都駒込にあるギャラリーKOMAGOME1-14casで当校「石版画(リトグラフ)工房」講師・佐々木良枝さんの個展「刻を停める―無目的性の行為から生まれ―」が開催されました。色鮮やかな佐々木さんの作品はどのようにつくられているのか。本稿では展示の模様をレポートします。・・・続きを読む

石版画(リトグラフ)工房を受講して

2年に渡って石版画(リトグラフ)工房を受講した修了生の竹尾宇加さんに、講座を受講したきっかけ、絵画と石版画の違い、石版画の魅力などについてお話を聞きました。竹尾さんの作品や展示風景も紹介しています。・・・続きを読む

講座レポート
からだを動かすと、感覚も動き出す―リトグラフ(石版画)工房

美学校の特色のひとつに「工房」を有していることがあげられる。暗室や版画のプレス機など、個人では揃えるのが難しい設備が美学校には備わっている。工房で作業をする講師や受講生は、さながら職人といった趣だ。今回は、そんな工房の中からリトグラフ工房にお邪魔した。

リトグラフとは?

リトグラフとは1798年にドイツで発明された印刷技術で、当初は楽譜などの複製に用いられた。その後、描画したものがそのまま印刷されるという特徴から、美術の世界でも広く用いられるようになった。ここで気になるのがその特徴。普通「版画」といえば「彫る」ことをイメージする人が圧倒的に多いだろう。「描画したものがそのまま印刷される」=「彫らない」版画とはこれいかに?何はともあれ、まずはその制作方法を見せてもらった。・・・続きを読む

リトグラフによる作例

授業見学お申込みフォーム

授業見学をご希望の方は以下のフォームに必要事項を入力し送信してください。担当者より日程等のご案内のメールをお送りいたします。

お名前
必須

メールアドレス
必須

確認のため、もう一度入力してください。


希望日
必須

見学希望教程
必須

備考


*ご入力いただいたお客様の個人情報は、お客様の許可なく第三者に提供、開示することはいたしません。
*システム不具合によりフォームが正しく表示されない場合がございます。その場合はお手数ですが、美学校事務局までメールか電話でお申込みください。
*フォーム送信後3日以内に事務局から返信のメールが届かなかった場合は、フォームが送信できていない可能性がありますので、お手数ですが美学校事務局までご連絡ください。


〈版画/写真〉


シルクスクリーン工房 松村宏 Matsumura Hiroshi

▷授業日:毎週月曜日 13:00〜17:00
カリキュラムは非常に厳しく設定してあります。1年目では困難だがまずは基本的なトレーニングから始める。同時に意図した色が確実に定着出来るメリットを生かして色彩研究にも取り組みます。


リトグラフ(石版画)工房 佐々木良枝+増山吉明 Sasaki Yoshie

▷授業日:毎週火曜日 13:00〜17:00
石や金属の版の上に脂肪分を含んだ画材で、自由に描いたものを版にすることができ、ドローイングや自由な描画、筆やペンで描いた水彩画のタッチを出したり、色を重ねることによって複雑な色合いを出すことができる技法です。


銅版画工房 上原修一 Uehara Shuichi

▷授業日:毎週木曜日 13:00〜17:00
銅版画の特徴として、一つは凹版であることが挙げられます。ドライポイント、エッチング、アクアチントといった銅版画技法の基本技法と、インク詰め、拭き、修正、プレス機の扱いなど、刷りの基本技術を学びます。


版表現実験工房(銅版画) 清野耕一 Kiyono Koichi

▷授業日:毎週水曜日 18:30〜21:30
銅版に触れ合うことによってモノ作り本来の楽しさを体験し、美術表現を創造する「発見」の場をめざします。従来の「版画」の垣根を取り払い、柔軟に他のメデイアとの交流を図り、研究し模索する制作現場です。


写真工房 西村陽一郎 Nishimura Yoichiro

▷授業日:毎週金曜日 13:00〜17:00
カメラの持ち方やフィルムの入れ方など、順を追って実習を進めていきます。「銀塩フィルム」による撮影、ケミカルをつかった手現像、バライタ印画紙への手焼きプリント、筆と墨による修正などが中心のカリキュラムです。