リトグラフ(石版画)とは?
語源はlithos(ギリシャ語で石の意味)から出来たとされています。
言葉の通り、平らな石の上に描画(現在では金属板等も使用)し、印刷する版画です。平らな版面の上に描き(版面を彫ったりしません)、平らな版面のまま印刷する為に平版と呼ばれています。
仕組みは、平らな版面の上に油性分を含んだ描画材料で描画し、描画終了後、薬品を塗ります。
そうする事により、油性分を含んだ部分(描画部)は油性分とくっつきやすくなり、描画されていない部分は水分を保存しやすい状態になります。版面に水を含ませながら、油性分を含んだインクを版面にのせると、描画した部分は、インクの油性分と描画部分がくっつき合うことでインクがのり、描画されていない部分は版面に水の膜が出来、油性分をはじいてインクが乗らないようになります。描画部分にインクがのった所で、版面の上に紙を置き、プレス機で圧をかけて印刷します。
リトグラフは、水と油の反発する性質を利用する化学的な版画といえます。
リトグラフ(石版画)の歴史
1798年(日本では寛政10年第11代、徳川家斉の時代)、ドイツ出身のアロイス・ゼネフェルダー(Aloys Senefelder1771〜1834)によって発明されました。
俳優である父のもとで育ったゼネフェルダーは戯曲等を書いていました。1792年、父が亡くなり、一家の生活を支えなければならなかったゼネフェルダーは資金が無いので、自分の戯曲を自分の手で出版しようと、安い印刷方法を模索していました。
ある日、楽譜を彫刻して印刷しようとしていましたが、ケルハイム産の石灰石の上に母に言いつけられた洗濯屋のメモをワックス、石鹸、ランプブラックで作ったインクで書き、しばらくして、消そうとして硝酸を塗った所、メモ書きした文字が少し盛上がっている事に気付き、試しにインクをのせ、紙をのせてみると文字が印刷されました。これを基に研究を重ね、リトグラフは発明されました。
発明されたリトグラフはまず、楽譜の印刷から始まり、やがて描画したものがそのまま印刷されるという特徴から美術の世界で次第に活用されるようになっていきます。まず、イギリス、そして、フランスでゴヤ、ジェリコー等によって制作され、この自由に描画出来る版画方法は世界の画家達に広がっていきます。
リトグラフ(石版画)で出来る表現、特徴
まず描画したものがそのまま版になり、印刷されるということが一番の特徴といえます。
クレヨンや鉛筆タッチの自由な線や風合いを、筆を使って、水彩タッチや滲み等も出すことができるのです。自分の描くイメージが直接、版に記録され、紙に写し出される面白さがあります。
また、版を媒介とするので、思いがけない効果を工夫の具合によって得ることができます。版を重ね、色を重ねていく(多色刷り)ことで、複雑な色合いが出せます。さまざまな ー描くーで自分の絵画表現を探求することが可能です。
版画講座「石版画(リトグラフ)工房 」
当校では通年講座としてリトグラフを学ぶ「石版画(リトグラフ)工房」を開講しています。講座は5月から翌年3月までの一年間で、毎週火曜日の開催です。授業日は毎週火曜日週一回ですが、自習スペースやプレス機は無料でいつでも使用することができます。
受講に当たって年齢や経験を問わないので、老若男女様々な人がリトグラフを学んでいます。授業は見学することができますので、ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。講座ページはこちら