
『凹凸絵画−逆チューリングテスト』と題する草刈ミカの個展が、2026年5月30日(土)から6月13日(土)まで、東京・HIGURE 17-15 cas にて開催されます。2016年に人工知能美学芸術研究会(AI美芸研)を共同発起して以降、「機械美学/機械芸術」の追求に邁進し続けていた草刈にとって、本展は実に約11年ぶりの個展となります。
草刈は2000年より「凹凸絵画」シリーズを継続して制作してきました。絵の具の分子という零次元的な物質で一次元の色の線を作り、その重層化で二次元の絵画平面を織りなし、三次元の凹凸へと結実します。
本展では出品作品のほぼ全てが新作となります。
幅3mを超える《凹凸絵画#53「ハノン」》2015-2025 は、「機械美学」が愚直に絵具で具現化された大作です。そして展示空間も、「機械美学」が愚直に具現化された「ハノン」の音響で満たされる予定です。
幅2mを超える《凹凸絵画#54「キャプション」》と《凹凸絵画#55「キャプション」》2026 では、作品(指示されるもの:シニフィエ)のキャプション(指示するもの:シニフィアン)が、再帰的に作品化されています。所蔵先はMoMAほかと“描かれて”います。
《凹凸絵画#52「絵具愛護」》2000-2026 は、作品の上で光り踊る事には至らなかった絵具群の生命を復活させ、電気仕掛けのろくろ上で回すことによって、立体作品として愛護する作品です。
旧作から本展に唯一出品される《凹凸絵画#51「ステートメント」》2016 では、凹凸と文章が絡み合う画面を鑑賞者が読もうとするとゲシュタルト崩壊を起こし、内容を読めない、或いは読むのが馬鹿らしくなるという、草刈の得意なダダ的要素が際立っています。
本来、作家のステートメントは作品のキャプションとともに展覧会を構成する付随要素のはずですが、本作《「ステートメント」》は上述の《「キャプション」》とともに主役の“作品”へと躍り出ます。
草刈とAI美芸研にとって、AIと美学・芸術の関係は、価値判断と価値創出をAIが担えるかという問いであり続けています。
そこから草刈は、「AIが、AIであると人間に見抜かれなければチューリングテスト合格」であることを反転し、「人間が、人間であるとAIに見抜かれなければ逆チューリングテスト合格」であるとして、「逆チューリングテスト」という新語を本展タイトルに含めました。
そこには「凹凸絵画を3Dプリンタで自律的に制作するAIがほしい」「いやそれが私だ」というテーゼ「I AM AI」(回文)が重ねられています。
これはAI時代のポスト・トゥルース(またはポスト・フォルシティ)にも通じ、例えば凹凸絵画「キャプション」の裏テーマであるともいえます。
本展は、価値判断主体としてのLLM以降のAIを想定しながら、絵画の平面性と物質性、ならびに作品の記号性を、ポスト・トゥルース的に再度問い直すものとなります。
人間にもAIにも、是非ご高覧頂きたい展覧会です。
草刈ミカ個展『凹凸絵画−逆チューリングテスト』
会期:2026年5月30日(土)〜6月13日(土)[会期中無休]
時間:13:00〜20:00
会場:HIGURE 17-15 cas(東京都荒川区西日暮里3-17-15)
協力:HIGURE 17-15 cas、東京スタデオ
企画:美学校
オープニングレセプション:2026年5月30日(土)18:00-20:00
作家情報:www.mika-kusakari.com info@mika-kusakari.com