「アートのレシピ」第9期生修了展のお知らせ


美學校「松蔭浩之のアートのレシピ/三田村光土里のよろめきアートサロン」

第9期生 修了展「旅/考」



わたしたちは二つの旅に出る。

「旅に病で夢は枯野をかけ廻る」
松尾芭蕉の辞世の句と言われる、この句から読み取れるのは、
この世には二つの旅があるということ。
「行く旅」と「考える旅」。
「行く旅」とは、身体の外側に向かう、旅行。
「考える旅」とは、身体の内側に向かう、思考の旅。
松尾芭蕉は「奥の細道」で身体の外側に向かう旅をし、
病床に伏した後、身体の内側に向かう思考の旅をしたのだ。
わたしたちがこの展示を通して問いたいのは、この身体の外側と内側だ。
わたしたちは「行く旅」のグループと「考える旅」のグループの二手に別れ、
二つの旅に出ることにした。
「行く旅」のグループは旅行先で得たインスピレーションを
絵画やパフォーマンス、インスタレーションにして作品化した。
「考える旅」のグループは、弔いや神などの精神世界を旅して、思考し、作品化した。
わたしたちは二つの旅を通して、
自ずと「場所」について考えざるを得なかった。
「ここ」ではない別の場所に行くこと、いることとは何か?
精神世界やサイバー空間という、
物理的な空間からはみ出した場所に行くこと、いることとは何か?
「旅/考」展は、いわゆる旅行記でもなければ、
アーティスト・イン・レジデンスのようなものでもない。
二つの旅を通して、身体の外側と内側、物理的な場所と非物理的な場所について
思考を巡らせた痕跡であり、実験である。

行く旅
身体の外側に向かう旅

有志4人がそれぞれ事前に旅行に行き、旅の過程や旅先で得たインスピレーションや素材を使って、
絵画やパフォーマンス、インスタレーションを制作。
例えば、伊吹は旅先で計画を立てずに散歩をし、
意図的に迷子になるという体験を通して、作品のヒントを得ている。
ミタニマキは旅程という場所のシームレスな連続性に着目して、市街劇という形で作品化する。
メンバー 真継駿、ミタニマキ、伊吹、天馬

考える旅
身体の内側に向かう旅

中川恒とblender233aだけ、みんなと旅行には行かなかった。
どこか遠くに行くことだけが旅ではないと思ったから。
旅が出発地から目的地までの距離と時間だとしたら、
内省的な思考の世界にも、目的地までの距離と時間がある。
それもまた、旅と言えるかもしれない。
わたしたちは蜘蛛の命や神という、
人間の力ではどうにもできない、人間ではない世界を通して、
物理的な距離と時間を伴わない旅をしたのだ。


「松蔭浩之のアートのレシピ/三田村光土里のよろめきアートサロン」
第9期生 修了展「旅/考」

出 展:天馬、真継駿、ミタニマキ、伊吹、中川恒、blender233a
会 期:2019年5月3日(金・祝)〜5日(日・祝)
時 間:15:00〜19:00
会 場:美学校 本校、美学校 スタジオ(地図
    東京都千代田区神田神保町2-20 第二富士ビル3F
WEB:http://beta2018.starfree.jp/9/# 
修学旅考:http://beta2018.starfree.jp/9/tabi/

イベント等


毎年恒例好評講評会

日 時:5月4日(土・祝)16:00〜
講 師:松蔭浩之、三田村光土里
ゲスト:会田誠

長距離徒歩パフォーマンス

「モノクロの夢」ミタニマキ

私は幼い頃、よく奇妙な夢を見た。
遊園地で楽しい思いをしていて、急にそこが自分の体の中であることを思い出し、悲しくなるという夢だ。
今回の作品では、夢で見た奇妙な寂しさに向き合う孤独を表現したい。
パフォーマンス中、私は長距離を歩き、時々立ち止まって言葉をつぶやく。
鑑賞者は私についてゆき、ひっそりと私の言葉に耳を済ますことになる。

日時:【第一部】5/3 19:00 【第二部】5/3 19:30 各30分程度 
場所:【第一部】JR四ツ谷駅麹町口改札 【第二部】市ヶ谷駅a1出口

市街を旅する

私たちは普段、電車に乗って、大通りを歩く。
日常はある特定の動線の上に展開されていると言えるかもしれない。
その日常から、一つだけ枷を外して、非日常を歩いてみる。
私は、普段は電車で行く道をあえて歩くことで、
街並みがシームレスに変化する様を目にしたり、回り道をしたりして、
日常から非日常を透かして見たい。

アートツアー

「それからの」伊吹

今回、旅/考展で発表する作品は、ある童話をモチーフにしたツアー形式の作品。
神保町を舞台に、鑑賞者が物語の中にぬるっと迷い込む体験を目指す。

日時:5/4 13時、5/5 13時
集合場所:神保町駅A3出口

旅行とは何だろう。

私は、物語の中にぬるっと迷い込むような作品を作りたかった。
そのために、まずは自分の体を使ってその実感を得たいと考えた。
そこで私は、旅先で計画を立てずに散歩をしようと思った。
地図もスマホも持たないで、知らない場所で迷子になってみる。
旅先で得たヒントは、作品の演出に繋がるかもしれないし、
新しい発想が生まれるかもしれない。
わたしは、ただただ旅行に行きたかった。

アートのレシピ第9期修了展酷評アワード

「#9期修了展クソ」で
第9期生修了展を酷評しよう!

5/4 16:00の公開講評会までにアートのレシピ第9期生修了展「旅/考」の酷評をツイートしてください。
特におもしろかった酷評は5/4 16:00の会田誠さんゲストの公開講評会で紹介されます。
例:「修了展見たけど、見るに耐えられなかった、ひどい」
コラージュ画像など趣向に富んだ酷評も大歓迎です。
ふるって酷評ください。
どの酷評が紹介されるかわかりませんので、
5/4 16:00の公開講評会当日はご出席をおすすめします。

Matsukage Hiroyuki

▷授業日:毎週土曜日 13:00〜17:00
俗にいう「現代アート」に限らず、音楽、映画、サブカルもアングラも含めた文化全般を視野に入れた講義、ワークショップを実施します。かならずしもアーティストを養成することが目的ではないですが、節々でアートの実践を体験してもらうことで、クリエイティビティー(=創意工夫)の本質を知ることを目指します。