美学校 実作講座 演劇「似て非なるもの」第11期生の修了公演が2作品上演されます。
5月18日(土)- 19日(日) 美学校スタジオにて
首藤なずな 作・演出・出演の『さちこさん』
5月25日(土)- 26日(日) 美学校本校2階にて
葉名倫子 作・演出の『てんで ばらばらで あいまって 光』
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『さちこさん』は個人的な題材ながら、ケアと倫理についての、
誰にとっても避けられないテーマを扱っています。
静かではあるけれど強い身体性があり、
声というもっとも根源的な楽器で独特のハーモニーを奏でています。
『てんで ばらばらで あいまって 光』は広島弁で書かれた長編です。
誰しも逃れられない家族というものの在り方について、
少年や少女の視点から、老いた男や女の姿を通して、
ひりつくような空気を見るものに突きつけてくるような作品です。
アプローチはかなり異なっていますが、どちらの作品も、
非常に個人的であるからこそ、強い普遍性を持って迫ってきます。
首藤さん、葉名さん(とその協働者たちによる)制作過程に立ち会っていると、
演劇というものがなぜこの世に存在し続けているのか、
自分たちで小さな光を見つけ出し、それを育てていけるような、
そんな力の源泉に触れさせてもらえたような思いがしています。
どちらの作品もお見逃しなきよう。
首藤なずな『さちこさん』
出演:池亀友紀也(IE-イエ-)、首藤なずな、高安悠菜(Sole/ソール ヴォーカルアンサンブル)
照明:村上芽来
宣伝美術:鈴木健太
制作協力:カキヤフミオ
講師:生西康典
作・演:首藤なずな
日 程:2024年
5月18日(土)13:30~/16:30~☆白井剛(振付家/ダンサー)
5月19日(日)11:00~/14:00~/17:30~☆星野概念(精神科医 など)
*開場は開演の30分前 *☆…終演後アフタートーク有り
※ご予約は5/18日の分は12:00まで、5/19日の分は9:30まで受付いたします。
※お席が残りわずかとなっておりますので、当日券をご用意できない回も出る可能性がございます。お手数ですが、ご予約の方をお願いいたします。
料 金:予約1700円・当日1800円
予約先:n.s.route10@gmail.com
会 場:美学校 スタジオ(地図)
東京都千代田区西神田2-4-6宮川ビル1階(袋小路奥)
◆あらすじ
さちこさんの甥の娘のユキは、さちこさんの遺品整理をしながら10歳の頃自分が抱えていた、ある不安を思い出す。
晩年のさちこさんに介護者として関わった申は、介護中におきたある出来事を誰にも言えないでいる。
さちこさんについて、2人は唐突に語り始める。
きっとそれは、一つの身体では間に合わなかったから。
◆作者からの言葉
言葉が苦手です。いつも上手く言えないから。でも言葉が必要です。ここで、これから誰かと生きていくために。記憶が言葉になる時には、ぐちゃぐちゃの、あるいは空白のとある時間を、ほどいてもう一度自分で物語として編み直す必要があるのだと思います。今の自分に届けるために。その作業を舞台上にあげてみたい。まだ言葉にならない記憶の渦も丸ごと。身体と声と言葉で一つの物語を編みました。きいてください、みてください、そこに居てください。誰かと一緒にいるために。
◆出演者情報
音や身体のことを考えながら舞台作りを少しずつ続けている首藤なずな、ダンサー、画家であり演劇ユニットIE-イエ-では強い身体表現を伴った俳優としても活動している池亀友紀也、ヴォーカルアンサンブルSole/ソールの高安悠菜は今回、首藤と特異な音響効果としてのハーモニーを聴かせる。
◆推薦コメント
「作品、始まる前から終わった後まで、素晴らしかったです。その言葉もよく届き、言葉でないことも予期せぬところも、光も影も陰も空間も、身体と声と。」嶺川貴子(音楽家)
葉名倫子
『てんで ばらばらで あいまって 光』
作・演出 葉名倫子
出演
磦田空、くびたろう、冨田学、カキヤフミオ、ほりえしんじ、増井ナオミ
声
坂本彩音(IE-イエ- / ユニット手手)、高野照子
照明 小駒豪
音響 雨森諭司
宣伝美術 デザイン 鈴木健太
絵 くびたろう
講師 生西康典
日 程:2024年
5月25日(土)15:00~/19:00~☆五所純子(文筆家)
5月26日(日)13:00~/18:00~☆金川晋吾(写真家)
*開場は開演の30分前 *☆…終演後アフタートーク有り
料 金:予約・当日2500円
予約先:lunzi6096@gmail.com
会 場:美学校 本校 2階(地図)
東京都千代田区神田神保町2-20 第二富士ビル2F
◆あらすじ
ミツと母が暮らす家。父が宿った水ひとつ。母はなんでも信じやすかった。ミツがいく公園にいつもいる少年。爆弾と呼ぶものを作っているがいつまでも完成しない。少年の「ひみつきち」。そこはパワーを生業とする男の家だった。居場所のないひとの場所。そこへ出入りするホームレス。そこを外から見つめる青年。ミツはここで自分の家族を作りたいと言って、、。ミツの記憶や声を軸に、時間も、ばらばらに、それぞれの思いと交差する。
◆作者からの言葉
一見なんともないのに
身体中に小さな異物が
あちこち破片みたいに刺さっていて
生きていると不意に痛くて
そのままでもまあいいけれど、
このままだとなにか不自由だ。
ひとつひとつほじくり出して
それをちゃんと見る。
そうだった、と、見つめる。
そんな心の作業をかなり意識的に
丁寧にした数年がありました。
その途中で溢れた事を
言葉にした
いくつかのメモをたよりに
できた作品です。
得体の知れない痛みも。
どうして痛いか分かるので
もう怖くはありません。
もうそろそろ
これからのことを考えたい
わたしのために
▷授業日:毎週金曜日 19:00〜22:00(6月から開講)
「演劇」は既成のイメージされているものよりも、本当はもっと可能性のあるものなんじゃないかと僕は思っています。それを確かめるためには、何と言われようとも、自分達の手で作ってみるしかありません。全ては集まった人達と出会うことから始めます。