【4/21〜24】「劇のやめ方」第二期 修了発表会のお知らせ

2023年4月21日〜24日


美学校「劇のやめ方」第二期 修了発表会


演劇作家・演出家の篠田千明が講師を務める「劇のやめ方」の修了発表会が美学校スタジオにて開催されます。是非ご来場ください。

各プログラムについて、演出の都合上、途中入場はできませんのでご了承ください。
開始時間の15分前にご来場いただき、準備ができ次第ご案内いたします。

また、定員はプログラムにより異なり、席数に限りがございますので、ご予約をお勧めいたします。なお、ご入場はご予約された方を優先いたします。
各プログラムごとのフォームからご予約、お問い合わせください。


日 程:2023年4月21日(金)〜24日(月)※タイムスケジュールはスケジュール表を参照してください。
会 場:美学校 スタジオ(地図
     東京都千代田区西神田2-4-6宮川ビル1階(袋小路奥)
入場料:全て無料

講 師:篠田千明
受講生:伊藤満彦、小西善仁、原ひかる、藤中康輝、三井朝日、元川真理子

講師コメント

劇やめ二期目、相変わらず劇のやめ方はわからないけれど、今期を通して「イノセンス(無邪気さ)」という劇を考えるきっかけがあった。私は末っ子だというのもあり、無知や無垢を担当して来た時間が長いし、無邪気に発言をすることも多い。そう振る舞える、ということは、どういう意味を持つのか、どのように社会に規定されているのか、それらを考える時間を持ったり指摘してもらったりして、やめ方よりも、なんの劇をやっているのか、気がつくことが肝要、ということがわかってきた。
受講生たちが、それぞれ別の力学でどう劇に向き合うか考えて決断した修了発表会には、考えられる限りあらゆるパフォーマンスのジャンルに属するものがある。レクチャーパフォーマンス、リーディング公演、体験型インスタレーション、コント、テキストを物理で置く、ただそこにいる。私は彼らに対して最初の他者になることだけを心がけていた。ただ拒絶もしないしただナイスにもしない。素朴に素直に思ったことを言う。そして講座での雑談は、それを可能にするために必要な時間だった。
劇は個人では成立しない。発表会はより多くの他者に受講生をさらすことになるけど、最初の他者を乗り越えた彼らの作品や佇まいには華奢ながら堂々としたしぶとさが漂っている。ぜひ出会いに来てください。

受講生コメント

伊藤満彦
「かくれんぼの行方、視線の焦点」
ドラマトゥルク:藤中康輝

4/22(土)19:00
4/23(日)19:00
4/24(月)18:00

もういいかい?まあだだよ。
隠そうとするから見られる、隠そうとするから見られているかも知れないと考える。
隠そうとするから人の視線はやって来る。
もういいかい?まあだだよ。
人は何かしら隠しながら生きている。それは生き易さに繋がったりします。私達の日常には正しい情報や、操作や調整された情報が混ざり飛び交います。幼い頃から秘匿する事が多かった私は、隠し隠れながら生きて来た様に思います。そして、人の目を気にしながら、人の視線を気にしながら生きております。

小西善仁
「ヘッドカノン」

4/21(金)20:00
4/22(土)14:30
4/23(日)14:30
4/24(月)14:30/ 20:15

なにかしらのヘイトが溜まったとします。
それが押し込められなくなった時、どうしますか?
自暴自棄になって、なにを起こしますか?
自分の気持ちを、他人に告白しますか?
それとも、一人でひっそりと自分を殺しますか?
ぼくは、数年前まで、それらのヘイトを作品で出すような人間でした。でも、やっていくうちに、だんだんこの行為は、他人にとって、ものすごく迷惑じゃないかと思うようになり、封印しました。
ぼくは、そのヘイトをぶちまけるためだけに、作品を作っているわけじゃない!とも思いました。
そこからは、静かな作品を作り続けて、自分を少しだけ、殺していました。クリーンでシンプルな作品は、一定の評価を受けました。
でも、最近になって、そのクリーンな感じに嫌気がさしてきました。本来のぼくは、もっと常に悩んでいて、ドロドロしていて、ゴミ箱の中みたいな感じです。
今回はそんな自分を、戯曲に起こします。
もう少し、ぼくらしいこと、ぼくに近づくための創作をやってみたい。そんな考えから、ちょっと賭けに出てみようと思います。
よろしくお願いします。

原ひかる

基本的に受付に常駐、予約不要

ここに居たい、居てもいいんだと思える自分の居場所をどうやったら見つけられるだろう。自分の抱える生きづらさがどうしたら和らいで、健やかでいられるだろう。どんなふうにしたら、つらい気持ちにならずに自分を表現できるだろう。
「劇のやめ方」を受講して、篠田さんや受講生の方々と時間を共にする中で、ふわふわしていた問いが明確になりました。答えはこれからゆっくり探していくことになりそうです。
今回は無理せず自分にできることをやることにしました。来てくださる方に「こんにちは」とあいさつをする、受付の人になります。時間があれば、少しお話しでもしましょう。

藤中康輝
「水槽」
出演:伊藤満彦・原ひかる

4/21(金)18:30
4/22(土)11:30 / 20:15
4/23(日)11:30 / 20:15

対話は難しい。
マイノリティとマジョリティ、親と子、カウンセラーとクライアント、女と男、来る人と招く人、見せる人と見る人。
私たちの立場は同じではないし、同じ言葉を使えば対等になれるというわけでもない。この役割を全うして「劇を続ける」ことが誠実なのか、自分の気持ちを素直に伝えることが誠実なのかは、ずっとわからない。
修了作品『水槽』は、はじめ観客が一人きりで鑑賞することを想定していたが、結果として客席を増やすことにした。「劇のやめ方」は一人で立ち向かう課題としてはあまりに厳しく、他者との微妙な影響関係の中で扱う方が、複雑だけどうまくいくと思ったからだ。
はじめて作る演劇作品は、緊張と安らぎの人間関係の重心を調整するような上演にしたい。

三井朝日
「気楽の水際」
出演:加賀田玲・坂本彩音・長生錆・三井朝日

4/21(金)16:00
4/22(土)13:15 / 17:30
4/23(日)13:15 / 17:30

コントを作ります。
僕はこれまで演劇を作ってきました。コントはまるで初めてです。
軽さを求めてコントをやろうと思いました。軽さというのは、軽率さではなく、風通しの良さ・神妙にならなさ、といった部分を指しています。
演劇をつくるとき、共同製作者や来場者に対して真正面から向き合うことを求められます。勿論、言うまでもなくその誠実さは重要なことです。
ただ今回は、向き合い方のレンジを広げられたらなと思ってます。軽さを保ったままどう向き合うか、軽さを来場者にも共有するには。
お笑いではないので、笑えるかは分かりませんが、気楽に来てください。

元川真理子
「イヌコワ」

4/22(土)16:00
4/23(日)16:00
4/24(月)19:15

「イメージを徹底的にト書きに書き込む」講師の篠田さんからアドバイスをもらい、やってみたら、なんとかラストシーンに辿り着けた。創作って蟻の行軍みたいだ、運動が運動を呼び進路が決まる。イメージを言葉にするといえば夏目漱石。不動産の立地、庭木の種類、煙草の銘柄、枕元に来て曲みながら夫を呼ぶ女…全編ほぼト書きと言っては詭弁だろうか。文豪の超絶技巧でイメトレしながら初めて書いた作品「イヌコワ」は犬恐怖症の人が河童に憧れたり、歌い狂ったり、ボール遊びに興じたり、恋をしたり、脚立で旅に出たりする戯曲です。今回はリーディング形式での上演、言葉が演じます。


劇のやめ方 篠田千明

▷授業日:隔週火曜日 18:30〜22:00
劇は始めるよりやめるほうが難しい。社会で起きている劇をやめるのはさらにとても難しい。難しいけど、劇をやめ方を考えることはいま必要とされているように思う。ワークショップや、今だから出来る実践を通して、みなさんと一緒に『劇のやめ方』にまつわる思考を捕まえたいです。