ダダからシュルレアリスムまで――20年代アヴァンギャルド映画を見る
黙壺子フィルム・アーカイブ トリビュート
20年代の前衛映画を美学校で見る!デュシャンが、ブニュエルが、アルトーが、マン・レイが、美学校の雑然とした教場に映しだされる!!
――なんと、平凡で意外性のない組み合わせか!美学校のメンタリティを知る者にとっては、あまりにも当たり前すぎて逆に発想のしようもない、コロンブスの卵のようだ。手術台の上のミシンとこうもり傘ならぬ、手術台の上のメスと鉗子。
しかし、その当たり前を体験する機会は、いったいどれだけあるというのか?映画をフィルムで見るという当たり前が、映画を暗闇の中のスクリーンに見るという当たり前が、当たり前でなくなりつつある時代。今や貴重な当たり前を体験するとき、それは当たり前を超えたスリルと愉悦をもたらしてくれるに違いない。手術台の上には、優美な死骸が横たわっているかもしれないのだ。
80年代の新宿。打ち捨てられていた死骸を蘇らせるように、倉庫のような乱雑な空間で、忘れ去られた映画、誰も知らない映画を上映していたのが、映画評論家・佐藤重臣が主催していた〈黙壺子フィルム・アーカイブ〉である。今回の上映会は、四半世紀以上も前に活動を停止したその〈黙壺子〉に敬意を表して行われる。当時と同じく、当時は当たり前であった16ミリフィルムでの上映。その映写機の光で照らしだされるスクリーン(手術台)の上に何が見えるか。それを確かめて欲しい。その時必要なのは、腹腔鏡ではなく人間の目と脳みそである。
ゲストプロフィール
中島 崇(映像作家/元「映画評論」スタッフ)
1951年、東京生まれ。70年、佐藤重臣編集長時代(66〜74年)の「映画評論」にスタッフとして参加。主に上映活動に携わる。77年、かわなかのぶひろ、富山加津江らとイメージフォーラムを設立。雑誌「イメージフォーラム」編集長、〈イメージフォーラム・フェスティバル〉プログラム・ディレクターなどを歴任。海外の実験映画の動向に精通する第一人者として、東京造形大学、多摩美術大学の講師を務める。映像作品に『南岸沿』(71年)、『セスナ』(74年)、『FIVE DAYS』(02〜03年)、『遙か白熱光』(14年)など多数。
日 程:2015年6月14日(日)
時 間:開場19:10/開映19:30
料 金:1500円
予 約:予約、キャンセル待ちともに締切りました。
ゲスト:中島崇
会 場:美学校 本校(地図)
東京都千代田区神田神保町2-20 第二富士ビル3F
主催:ラッドネッド
公式Twitter:@ludned