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「特殊漫画前衛への道」を受講して みゆき

「特殊漫画前衛への道」を受講して みゆき


特殊漫画前衛への道を受講して みゆき


 

私が何故根本先生の講座の受講を決めたのかというと話は数年前に遡ります。根本先生のことは中学生の頃から知っていましたが、当時は悪趣味な事象を題材にしている漫画家という認識しかなかったです。30代になって改めて「生きる」という漫画を購入しました(何故購入したのかいきさつは忘れました)主人公の村田藤吉が吉田佐吉にいじめられて毎回悲惨なのだけれどもどこかユーモアがあって面白く、時々読み返していました。それから十数年たって、人生に煮詰まり若い頃に中断した油絵を再開していたころ「因果鉄道の旅」に出会いました。特に興味を持ったのは内田研究におけるながしま食堂の後家きよみと内田の関係。山野辺君(アスペルガー症候群?)という同級生の行動について。しおさいの里で犬数百匹を飼育する施設長とボランティアの人々。世間一般では眉をひそめるようなDVや常識からかけ離れた行動を突き放したスタンスでとらえる根本先生の観察眼に興味を覚えました。

その後師事していた絵画教室の恩師が死去したことでモチベーションが低下し絵が描けなくなってしまいました。そんなときネットで根本の「ゲルニカ」が展示されることを知り、わけのわからない何かに惹かれるようにして東京まで観に行きました。その展示場で根本先生の講座が始まることを知り受講を決意したのです。

最初の授業では「祭りの準備」という映画を観ました。シナリオライターを目指す主人公の盾男が故郷のしがらみを捨てて、上京する話ですが、丁度その年の初めに娘が進学のため上京したということもあり、盾男の母親に感情移入してしまいました。根本先生の授業は前半部分では有名人(佐川さん、蛭子さんetc)のインタビューや映像等を紹介し、後半で核心部分に触れる感じでした。中には哲学的なテーマも含んでいることがあり興味深かったです。先生は明確なことを言われないので、後で実はこんなことを言っていたのだと気づくことが多かったです。

講座では毎回課題が出されるのですが、例えば「壁のシミや岩など自然な事象から見えてくるものを絵や漫画であらわしなさい」などユニークなものが多く課題をこなすのが毎回楽しみでした。(実は発想が出なくて苦しかったこともあります)授業中に根本先生の言われた格言

「自分の醜い部分を見つめ自分を客観視する」

「自分の強みは何か」

「無意識を鍛える。偶然性の中に関連性を見つける」

「相手を自分の土俵に引きずりこむ」

などは日々困難な局面に遭遇したときの解決の糸口になったりもしました。台風の中での屋外展示では、悪天候を利用しむしろそれを楽しむ貴重な体験をしました。松沢病院資料館見学では日本の精神病院の興味深い歴史を知ることができて、患者の作品に感銘を受けました。

秋からはいよいよ根本先生との二人展が始まりました。個性豊かな生徒さんの展示の数々に触発され、圧倒されました。

課題展では生徒が各々描いた漫画をランダムに展示して根本先生が空白の吹き出しにネームを入れるという企画がありました。会場で根本先生がネームを入れたのですが起承転結していて凄い!!と感動しました。

そして迎えた卒業展。全員の集大成のイベントです。壺から顔を出した根本先生の漫画のキャラクターに生徒一人一人の名前が書かれていました。一年頑張った感慨とこれで終わってしまうのだという寂しさがこみ上げてきました。

この講座で学んだことは数知れずあります。

根本先生は言いました

「くだらないことこそ真剣にやれ」

「人生の締め切りは待ってくれない」

「死ぬときに自分が他人と比べて10%違うことが出来ていればよしとする」

現在の自分はこれから目指していく芸術の方向性が定まらず、模索中ではありますが講座が終了した今、一年前と比べて随分強く(ふてぶてしく?)なったような気がしています。

みゆき

 

Nemoto Takashi

▷授業日:隔週月曜日 19:00〜22:00
「特殊漫画家」として、今日まで「何故食べてこられたか」その意識無意識のあいだを受講生の皆さんに語り、時に問いかけ、しばしば即興的に皆さんとラフに漫画を描きながら探っていきたいと思います。