文=木村奈緒 写真=大橋弘明、木村奈緒
「外道ノスゝメ」の講師・古藤さん 松田さん(前列)と、どついたるねん
去る8月16日に、「外道ノスゝメ」夏休み特別講座 「熱血ゴリラ 美学校へ行く」どついたるねん 公開授業 & LIVEが開催されました。
今年度開講したばかりの「外道ノスゝメ」初企画となる本イベント。どついたるねんとは一体何者なのか?!どついたるねんと作品制作って一体何作るの?!などなど、期待と不安が入り混じりながら始まったイベントの模様を簡単にではありますが、レポートいたします。
「外道ノスゝメ」とは?
2015年5月に新設された講座。美術家の松田修とプロデューサーの古藤寛也が講師を務める。現代を様々な角度から考証し、ハミダシ者として表現を創造していくことを目的に授業を進めていく。キーワードとして、「サーチ&デストロイ」を強く意識していき、学校教育では教えられないことを存分に取り入れながら、強い表現とはなにか?を考え実践していく。講座ページはこちら。
どついたるんねんとは?
2007年から先輩、ワトソン、山ちゃん、うーちゃかを中心に結成。2014年からDaBass、浜公氣、ファック松本、小林4000を含めた現体制となる。2011年発表のファースト・アルバム『ダディ』から、2014年に発売の峯田和伸(銀杏BOYZ)プロデュースによる『BEST HITS』にかけて、7枚のアルバムをリリース。日本各地で精力的にライヴ活動を行い、2015年には変名“SUSHI BOMBER”として、2週間にわたるアメリカ西海岸ツアーを敢行。
音楽活動のほか、ファッション・ブランドBEAMSのモデルや演劇、映画、はたまた写真集『MY BEST FRIENDS』を発表するなど活動は多岐にわたる、純音楽集団である。http://dotsuitarunen.tumblr.com/
一時限目 どついたるねんライブ
クーラーがないがゆえに、外よりも暑い美学校の教場。そんな教場の気温をさらに上げるかのごとく、本日のゲスト講師どついたるねんが登場!
「ここは学校だけどやっちゃいます!」の一声で始まった熱血セットリストはこちら。
1. such a sweet lady
2. California
3. ウーチャーハン2
4. バサラガマフィン
5. 名もなき詩
6. 鳥貴族
2曲目「Californina」では、
「この広い世界をひとつにつなぐものは、何だうーちゃん?」
「美学校でーーーーす!」
のやり取りで、フロア(教場)の盛り上がりは早くもピークに。
途中、屋上でキムチまみれになっているメンバーとのスカイプ中継を挟みながら、約15分のライブは熱狂のうちに幕を閉じました。
二時限目 どついたるねんができるまで
教場のテンションも気温もぶち上がり、汗だくのまま突入した二時限目。ここで、授業に入る前に「外道ノスゝメ」講師の古藤さんから今回の熱血授業&LIVE開催経緯について一言。
数年前にどついたるねんのメンバー山ちゃんと知り合あった古藤さん。毎日YouTubeにアップされている動画を見て「狂っている」と思うと同時に「毎日作詞作曲して、それを毎日映像にできるのはすごい」と思ったそう。
今年「外道ノスゝメ」を開講して受講生と接するなかで、みんな展覧会などで完成度の高いものを多く見ているためか、「出す」ことに躊躇していると感じ、どついたるねんの“毎日出す” “すぐに出す” 「速度感」に注目し、彼らの創作の根源を知るべく今回の公開授業開催となったそうです。
現に、こうして授業が進行しているかたわらで「美学校ラップ」なるものがリアルタイムで編集中。撮影・編集を行っているのは、映画『遭難フリーター』や、どついたるねんのMVの監督として知られるドキュメンタリー監督の岩淵弘樹さん。さっき撮影したばかりの映像も、どんどん編集していきます。
そんなこんなで、どついたるねんがいかにして現在の形になったのか、メンバーが直々に解説する二時限目が始まりました。
最初は「キーマカリーズ」というバンドがあって…
山ちゃんとワトソンがやっていたショートコントの再現なんかもあったりして…
現在に至る。以上!
三時限目「食って出すそれが全て」これが“スラム”
三時限目のタイトル「食って出すそれが全て」は、「スラム」という店名のアダルトビデオ屋で働いていたメンバーが、商品のポップに書いた一言だそう。現代美術家・大竹伸朗も「考えたら終わり」と言っていたらしく、その言葉を聞いて本当にそうだと思ったと先輩。どついたるねんと現代美術の接点が垣間見えた気がします。
ということで、三時限目は、より一層どついたるねんの「速度感」に迫るべく、DVD『どついたるねん BEST VIDEOS』から選りすぐった映像を、どついたるねんによる生解説付きで鑑賞しました(DVDは、CD『BEST HITS』との2枚組で絶賛発売中)。
岩渕監督が「どついたるねんの良いところは、カメラの前で一生懸命やってくれるところ。映像の面白さは、彼らのポテンシャルです」と話す一方、山ちゃんは「キツイことをやるときは、まず岩渕監督が先にやる。公園の公衆トイレに頭を突っ込んだときも、最初に監督がやったからやらざるを得なかった」と、感動的な(?)エピソードも披露。
四時限目 どつ といっしょにつくろう!
早くも本日最後の授業となりました。いよいよどついたるねんと一緒に制作をします。どついたるねんから出されたお題は、「3班に分かれて30分で現代アートを作る」というもの。 これまでの授業で学んだ、どついたるねんの「食って出すそれが全て」の精神で、30分で作品を作り、この場で発表します。
何やら練習をしているワトソン班。
あっという間に30分が経過し、いざ発表タイム!まずはワトソン班。
「好きだったんだったんだったんだったんだー♪」というフレーズに合わせて繰り広げられる寸劇(?)。和気あいあいとして仲の良い楽しそうな感じが伝わってきました。
次に発表したのはうーちゃか班。
道行く人に声をかけて一人5人連れて来るという目標を立てたものの、誰一人連れて来られず、唯一「銀杏BOYSと友達だから」という、うーちゃかさんの口説き文句に釣られたシンガーソングライターのかえでさん。突然美学校に連れて来られたにも関わらず、オリジナルソング『君と満月』を弾き語ってくれました! そして曲が終わると同時に、全裸にギターを携えたうーちゃかさんが登場し、みんなでゴスペラーズを熱唱して大団円。
結局全裸に…。 最後は、山ちゃん班です。
最近バンクシーの映画を観たため、「ストリートに何かを残したいと思った」という山ちゃん。そんな山ちゃん率いる班は、音楽ではなく造形物で勝負を挑みました。
美学校の前の道路に立つ消火栓のポール。そこにぶらさげられた物体。
「これは、ふえるわかめです。これは高野豆腐。これはキムチですね。みんなのアイディアを全部まとめて、高いところに登るのが得意な僕がぶら下げました。……これがスラムや!」(山ちゃん)
まさにスラムな作品を見せつけられた四時限目。美学校ラップもほぼ完成し、今日撮影・編集した映像をみんなで鑑賞。まさに「食って出す」精神を体現した授業でした。最後は全員で「食って出すそれが全て」これが“スラム”を唱和し、真夏の熱血授業&LIVEは幕を閉じたのでした。
ますます目が離せないどついたるねんと、スタートしたばかりの「外道ノスゝメ」の今後の活動にご期待ください!
完成した美学校ラップ