実作講座「演劇 似て非なるもの」プレゼンツ
リレーエッセイ 『いま、どこにいる?』第1回 植野隆司
実作講座「演劇 似て非なるもの」は「人と人が出会うところから始まる」と考えています。
でも今は人と接触することに、どこか恐れや不安を互いに感じるような、
そんな状況下にあります。
大規模なものから小規模なものまで、人が集う様々な催し物が中止、延期になっていますが、
この講座でも4月21日に予定していた今期受講生の修了ソロ公演がありました。
同時上演に『おれたち、そこにいる』と題して植野隆司さん、黒木洋平さん、鈴木健太さん、武本拓也さん、冨田学さんに、受講生と同じ場にいて、何かしらのパフォーマンスをして頂く予定でしたが中止としました。いま人が集まれないならば、その「集えない」ということをテーマに、先ずは同じメンバーでリレーエッセイのようなことが始められないかと思い、このような場をつくりました。読んで頂けたら幸です。第1回はテニスコーツの植野隆司さんです。
(生西康典)
「トゥギャザー」 植野隆司
このタイミングで言うのも何ですが、実は自分は人が集まる場所や時間がどちらかというと苦手で、ライブとかミーティングとか飲み会とか。面倒くさがるタイプというか。コロナが始まってからずっとほとんど家にいて、外に出るのは2日に一度、近所のサミットと、3、4日に一度どこかのレコ屋に1人で行くぐらいなんですが、これは去年末からそうなってて、だから現在の状況は精神的にはあまり変化がないです。TwitterやFacebook見て、知り合いや友人を心配してます、勝手に。料理をするのはまあまあ好きだけど食材に凝るほどではないので、食生活もほぼストレスがありません。なのに昔から、人が集まって住んでいるところには、非常に興味や憧れのようなものはあります。今はもうないけど、駒場の東大の寮とか京大の吉田寮とか。他に訪れたことがある場所では、熊本のさいはてや、神戸塩屋の旧グッゲンハイム邸の裏のアパートとか。海外ツアーの時、そういう場所で演奏、宿泊することもよくあり、いつもいいなあ楽しそうだなあ、と羨ましがっていました。いつか将来、小さいビルとかにみんな(って誰?)で住んだりしたら、さぞ楽しかろう、と今だに夢想します。だから、コロナが無事に過ぎ去ったら、今回のこのメンバー(全然どういう人たちか知らないですけど)と生西くんとかと、みんなで美学校に1ヶ月ぐらい住んでみたいですね。どうですか?
(2020年4月4日)
植野隆司
テニスコーツのメンバー。時々ギターやサックスで色んな人をサポート。ソロ作品多数。
Photo by Taku Matsuda
次回は鈴木健太さんの予定です。お楽しみに。
▷授業日:隔週火曜日19:00〜22:00+月1回外部開催
「演劇」は既成のイメージされているものよりも、本当はもっと可能性のあるものなんじゃないかと僕は思っています。それを確かめるためには、何と言われようとも、自分達の手で作ってみるしかありません。全ては集まった人達と出会うことから始めます。