シルクスクリーンによるポスター制作レポート!〜製版から刷りまでの各工程を解説〜

美学校の入り口に貼ってある美学校ポスター。毎年変わるこのポスターは、実はシルクスクリーン工房の受講生によって手作業で刷って作られたものです。

ポスターはシルクスクリーンでどのように作られているのか、そもそもシルクスクリーンとはなんなのか?

実際の制作工程とともにご紹介します。

シルクスクリーンとは?

シルクスクリーンは版画技法の一種です。

美術作品だけでなく、ポスターやポストカード、名刺といった紙ものから、Tシャツ、エコバッグなどのファブリック製品まで、幅広い分野での印刷に利用されています。

メッシュ繊維が張られた木枠やアルミ枠に、絵柄に合わせてインクが通る箇所と通らない箇所を作り、インクを乗せてスキージーでメッシュの網目からインクを押し出すことにより、絵柄が紙に印刷されます。

大きな特徴としては、

  • 木版画などの他版種と異なり像が反転しない
  • 筆跡のないフラットな面を出すことができる
  • 特色インクを使っているので発色が非常に鮮やか
  • 重ね刷りによりインクを厚く盛ることができる
  • 紙だけでなく布や木、金属、アクリルなど様々な素材に印刷できる
  • 一色ずつ重ねて印刷するため、色の組み合わせを自由に楽しめる

などが挙げられます。

一色ごとに版を作り、順番に重ねて刷ることで、多色刷りの作品も制作できます。

美学校のシルクスクリーン工房とは?

美学校のシルクスクリーン工房はシルクスクリーンを学ぶ通年講座です。

5月から翌年3月までを一期間として開講しています。1年単位で受講することができ、2,3年継続して受講する人も多いです。未経験からプロとして立てる技術の獲得を目指して学んでいきます。

年齢制限はなく、プリンター志望、デザイナー、イラストレーター、アーティスト、趣味の人などなど様々な人が学びにきています。

美学校ポスター制作

シルクスクリーン工房では年末から1,2月ごろにかけて、課題として美学校のポスターを制作に取り組みます。

普段の課題では、一人で刷れるサイズで制作しているのですが、ポスターはB2サイズと大きいため、この課題を通して大きい版の扱いや、複数人での刷りなどを学んできます。

刷りの作業はシルクスクリーン工房の受講生が担当しますが、ポスターのイラストやデザインは、イラストレーター・デザイナーとして活動している修了生や受講生にお願いしています。

2025年度は水越智三さん、2026年度は中村雅奈さんに原画を描いていただきました。今回の記事では25,26年度の制作過程の写真を使ってご紹介していきます。

ポスター制作の工程

作業工程は大きく分けて、製版、刷り、仕上げに分かれます。

順番にご紹介していきます。

製版:フィルムカッティング

原画を製版フィルムに起こす作業です。製版フィルムは業者でデータ出力することができますが、手作業でカッティングしたり、オペークインクを用いて手描きする方法もあります。

課題として経験を積むために、カッティングが困難なスミ版のみを発注し、色版は手作業でカッティングしていきます。

今回は6色+スミ版なので、合計7枚の製版フィルムを作ります。


製版:乳剤塗布

版に感光乳剤を塗布していきます。多くの枚数を刷るので刷っている途中で版が崩れないように、乳剤を12〜15回塗布して崩れにくく強度のある版を作っていきます。

製版:露光

感光乳剤は紫外線に反応して硬化します。

乳剤を塗布した版に製版フィルムを密着させ、紫外線を当てることにより乳剤が硬化し版ができます。

光が当たった箇所が硬化し、フィルムで光が遮られた箇所が硬化せず水に溶けます。

乳剤の塗布回数や製版フィルムの状態によって感光時間を調整します。


製版:水洗

露光が終わったら、すぐに版を水洗します。

水洗することによって、インクが通る箇所の乳剤が溶け落ちます。細かい箇所に乳剤が残っていることがあるので、光に照らしてチェックしながら流水で落としていきます。

製版:目止め

版に予期しない抜けやピンホールなどが出るので目止め液で補修します。

刷り:調色

版が完成したら、刷り作業に移ります。

刷り作業に入る前に、出力見本を見ながらインクを合わせて調色します。

刷り:版合わせ

多色刷りの場合は版にトンボを入れて版合わせを行いますが、より精度を高めるために先にスミ版を刷ってからそれに合わせて色版の正確な位置を決めていきます。


刷り:色校正

版合わせが終わったら、色校正用にテストプリントを行います。

実際の仕上がりを見ながら配色の微調整を行います。

刷り:本刷り

薄い色から1色ずつ順に刷っていきます。

版が大きいので、二人一組となり刷り作業を行います。一人がスキージーに下方向の圧をかけ、もう一人が横方向の圧をかけスキージーを引きます。

人数がいる時は紙を渡す係も加わります。

刷りながらミスプリントがないかチェックし、さらに版詰まりやインクの滲みが出たら、作業を中断し版を洗います。

一色刷り終えたら乾燥させ、次の色を重ねます。この過程を色数分だけ繰り返し行います。


仕上げ:カット

見当紙を一番上にしてトンボに合わせてカットします。ズレが出ないように裁断箇所にカッターの刃を当ててから、そこに定規を合わせて切っていきます。

仕上げ:サイン入れ

原画を描いてくれた作家さんに一枚ずつサインとエディションを書いてもらい完成です。

シルクスクリーン工房は見学歓迎です

シルクスクリーン工房ではポスター制作以外にも様々な課題を通して、シルクスクリーンの技術を身につけ自身の作品を制作していきます。

毎週月曜日13時から17時まで開講しています。

見学は授業日でしたらいつでも歓迎しますので、興味のある方はお気軽にお越しください。(見学申込みフォーム

ポスターは販売しています

美学校ポスターはオンライン販売しています。今回ご紹介したものだけでなく、過去のポスターも販売していますので、興味のある方は販売ページをのぞいてみてください。

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