音楽とテクノロジーの関わりを改めて考える
「音楽制作のテクノロジーと音楽がいかに関わるか、そしてその関係をどのように語ることができるか?」をテーマに制作されたZINE「音楽とテクノロジーをいかに語るか?」の著者であるライターのimdkmさんをお招きして、音楽とテクノロジーの関わりを改めて考えます。
また、ゲストにSoundMaker(音を作ったり音を出す道具と環境を作る人)、東京藝術大学芸術情報センター特任助教の松浦知也さんを迎え、更に議論を深めます。
対面とオンラインでの開催になりますので、地方や国外在住の方もぜひお気軽にご参加ください。
お申込みに際しては最新版のZOOMをインストールの上、ご自宅の環境を予めご確認ください。
講 師:imdkm/ゲスト:松浦知也
日 程:2024年2月25日(日)
放送時間:4時間17分
開 催:対面/オンライン
参加費:対面・・・1,650円(アーカイブ付き、税込み) ※先着25名
オンライン・・・1,100円(アーカイブ付き、税込み)
美学校在校生(オンライン)・・・550円(アーカイブ付き、税込み)
アーカイブのみ・・・1,650円(税込み) ※2/27日より販売開始
会 場:美学校2F教場
東京都千代田区神田神保町2-20-12 第二冨士ビル 2階
https://goo.gl/maps/th8HqeciE7dRfDdK8
※会場まではビル内の階段を利用してご来場ください
主 催:美学校
ゼロから聴きたいテクノロジーと音楽史
講師:imdkmより
言うまでもなく、音楽とテクノロジーは深い関係を持っています。音楽制作においても、流通においても、受容においても、テクノロジーは音楽という営み全体に浸透しきっています。とりわけ20世紀以降、録音芸術として著しく発展したポップ・ミュージックを考える上で、音楽とテクノロジーの関わりを考えることは非常に重要です。
なにより、テクノロジーは音楽への手段であるのと同じくらい、音楽を聴き、語る手がかりになります。どんな道具をつかって、どのように制作されているか? どんな技術的状況で、どのように受容されてきたのか? そんな問いを意識することで、音楽を聴いたり、解釈したり、語ったりする方法がより豊かになるはずです(文化的なコンテクストを知ったり、音楽理論による分析をするのと同じように)。この講座の目論見はまずもってこの点にあります。つまり、「聴き方」「語り方」の拡張です。
しかし、音楽をより深く知るための枠組みとしてテクノロジーを援用する際に、テクノロジーの側が抱える文化的なバイアスを無視することはできません。テクノロジーは音楽の可能性をひらくと同時に、クリエイティヴィティを制限することもままあります。そして、しばしばその可能性と限界は、社会的・政治的な条件とむすびついているのです。とすれば、音楽への理解を深めるのと同じくらい、テクノロジーに対しても理解を深めなければ、「音楽とテクノロジー」をめぐる語りは大きな盲点を抱え込むことになるでしょう。
この講座では、音楽とテクノロジーがどのような関係を築いてきたかを検証しながら、それがいかなる課題に直面しているかの問題提起もしたいと思っています。「音楽とテクノロジー」が主役ではありますが、このふたつを社会的・政治的なコンテクストへと開いていくことが本講座の裏テーマです。
先に「20世紀以降、録音芸術として著しく発展したポップ・ミュージックを考える上で、音楽とテクノロジーの関わりを考えることは非常に重要」だと書きましたが、単にその状況を「よりよく理解する」ために重要なのではなく、むしろ状況に批判的に介入するためにこそ、音楽とテクノロジーの関わりを改めて考えることが重要なのです。
あまりに広いテーマなので、今回の講座では、音楽制作の現場におけるテクノロジーに焦点をしぼりたいと思います。また、現在の音楽制作において欠かすことができないインフラとしてのコンピューティング/ソフトウェア開発に造詣が深い松浦知也さん(東京藝術大学)をゲストにお招きし、議論を深めたいと思います。
音楽制作にフォーカスする性格上、音楽を自分でつくっている人や、つくることに興味がある人に特に興味深く聞いていただける内容になるのではないかと思います。とはいえもちろん、音楽を聴くこと、音楽について語ることに関心がある人にも楽しんでいただけるはずです。
講座内容
◆イントロダクション:音楽とテクノロジーをめぐる総論と3つのケーススタディ(imdkm)
「なぜ音楽とテクノロジーを語るのか」「これまで音楽とテクノロジーについてどんなふうに語られてきたか」をまとめ、本講座の基本となる課題を提示する。その具体例として、「ピアノ」「楽譜」「多重録音」の3つのテクノロジーを取り上げる。
◆音楽テクノロジーの脱植民地化――創造的「誤用」を乗り越える(imdkm)
音楽制作のテクノロジーが世界規模で安価に広まり「民主化」が進んだ結果として、既存のテクノロジーが暗黙に含む西洋音楽的な規範に対して、非西洋の音楽実践においてさまざまな衝突や折衝が起こってきた。その事例を、「脱植民地化」というキーワードを通じて考察する。
◆想像しうる音を、すべてあなた(たち)に – 音楽の道具としてのパーソナル・コンピューター論概説(松浦知也)
この講義では、コンピューターを表現の道具として扱う思想が消費社会とどう結びつき発展してきたか、特に音楽の焦点を当てつつ概観する。
DAW、ストリーミングサービス、イマーシブオーディオ、人工知能による音楽生成と、さまざまなレベルはあれど、私たちが今日音楽を体験するにあたって、制作から聴取までの過程にコンピューターが使われない事などほとんどない。では一方、私たちは今日コンピューターを「使いこなしている」かと言われると躊躇してしまう。コンピューターの万能さを、私たちは私たちの手の内に収められているだろうか?
自分で自分の道具の機能を更新できる「メタメディア」としてのパーソナルコンピューティングの歴史を振り返りながら、計算機を主体的に扱えるようになるための糸口を考察する。
アーカイブ動画視聴に関して
アーカイブお申し込み期間:2024年2月27日〜2024年3月31日
視聴期限は2024年9月30日までとなりますのでご注意ください。
※アーカイブ動画ではプレイバックされた音楽部分はカットや映像の差し替えを行います。
また、大変申し訳ございませんが冒頭2分間が機材トラブルの為カットしております。予めご了承ください。【キャンセルにつきまして】
視聴用のURLが送信される都合上、お客様都合によるキャンセルは承っておりません。何卒ご了承ください
講師プロフィール
imdkm
ライター。
ティーンエイジャーの頃からダンス・ミュージックに親しみ、自らビートメイクもたしなんできた経験をいかしつつ、ひろくポピュラー・ミュージックについて執筆する。単著に『リズムから考えるJ-POP史』(blueprint、2019年)。
booth:https://imdkm.booth.pm/items/4815297
松浦知也(まつうら・ともや)
SoundMaker。
音に関わるメディア・インフラストラクチャ技術を実践を交え批評的にデザインする活動を「音楽土木工学」と称して研究。ハウリングだけで音を出す自作電子楽器「Exidiophone」などを用いての演奏活動、音楽プログラミング言語「mimium」の設計と開発のほか、近年はDIY半導体の制作に取り組む。
分担執筆に「クリティカル・ワード ポピュラー音楽」(フィルムアート社、2022年)。
1994年生まれ。2022年九州大学 大学院芸術工学府 博士後期課程修了。同年より東京藝術大学 芸術情報センター 特任助教。
https://matsuuratomoya.com