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【9月〜12月】オープン講座「シャドーフェミニズムズの芸術実践 後期」講師:遠藤麻衣

【9月〜12月】オープン講座「シャドーフェミニズムズの芸術実践 後期」講師:遠藤麻衣


 


私は、これまでフェミニズムに関心を持って芸術的な実践をおこなってきました。なかでも、西洋中心主義的なネオリベラリズムがとりこぼしてきた領域にあるフェミニズムに関心を持ってきました。そのフェミニズムとは、クィア理論家のジャック・ハルバースタムが指摘するような「ネガティブ」で「パッシヴ」な「シャドーフェミニズムズ」です。とはいえ、この系譜のフェミニズムと芸術実践の関連を学ぶ場が少ないとも感じてきました。

そこで、このオープン講座でそういった場を作ってみようと考えています。本講座は、遠藤がニューヨーク滞在中にオンラインで行います。レクチャーでは、シャドーフェミニズムズと芸術実践を考える上で重要な参考文献にあたりつつ、現在進行形の展覧会、ワークショップ、ジンなどの実践を扱います。

2010年代以降は、フェミニズムの第四の波として、それまでのフェミニズムに対するイメージの更新や読み直しがさかんに行われています。また、差別的な制度への関心が集まり、それが実際に是正されるといった変化を起こしています。芸術祭や展覧会の主題として目にすることも増えました。現在のフェミニズムは、人々に好まれ流行するという側面ももっています。このような波のなかにいながらも、この講座ではその波に乗るというよりは、むしろ波に溺れてみたり、波乱をもたらしたりするものとしてフェミニズムを考えてみたいです。

また、本講座は、クィアやフェミニズムの視点、ソーシャルプラクティスとしての芸術に関心を寄せる人々による、おしゃべり空間づくりも目指しています。後期講座では、前期のおしゃべりや放課後の時間に加え、より実験的で実践的な時間として、受講生の中から希望する方による発表会も予定しています。この場からなにかが生まれても楽しいですし、そうでなくてもかまいません。情報や意見の共有過程に生じる創造性や知的な混乱を期待しています。受講者の関心や意見交流にもとづいた空間をつくりたいと考えています。

一方で、後期はレクチャー視聴のみを目的とした方の受講枠も設けました。リアルタイム受講が難しい場合も、録画配信を行いますので、講座開始後の途中からでもお申し込みいただけます。ご希望するスタイルでお申し込みください。

遠藤麻衣


講 師:遠藤麻衣

📖レクチャー+おしゃべり
期 間:2022年9月〜12月(木曜日・全6回)
日 程:9月29日(木)、10月20日(木)、11月3日(木)*、11月17日(木)、12月8日(木)、12月22日(木)*[*=発表会]
時 間:20:30〜22:00(放課後あり)
受講料:15,000円
定 員:15名
形 式:オンライン(ZOOM ミーティング)、アーカイブ視聴可能

📖レクチャー
期 間:2022年9月〜12月(木曜日・全4回)
日 程:9月29日(木)、10月20日(木)、11月17日(木)、12月8日(木)
時 間:20:30〜21:25
受講料:10,000円
形 式:オンライン(ZOOM ミーティング)、アーカイブ視聴可能
※講座開始後も随時お申し込みを受け付けています。申し込み期限は2023年3月17日まで、視聴期限は2023年3月31日までとなります。

申込み:https://shadow-feminisms-endo-koki.peatix.com

  • パソコン、タブレットなどのご使用端末やご自宅のインターネット環境でZOOMが使用できることをご確認の上お申し込みください。
  • 講義は録画して受講者限定で公開します。ご自身の画面や音声(顔や声など)が映る可能性をご了承の上ご参加ください。
  • ご自身の画面や音声(顔や声など)が見られたくない、録画されたくない方は、予めアカウント名の変更し映像や音声をオフにしてご参加ください。
  • アーカイブは各講義日の翌々日に受講者限定で公開します。公開期間は2023年3月31日までとなります。
  • 講座初回日以降のキャンセルは承っておりません。

 

講座の内容と流れ


各回レクチャーとおしゃべり空間(+放課後:自由参加)で構成します。
レクチャーでは、フェミニズム理論、遠藤が見た展覧会や参加したワークショップなど現在進行形の実践の報告を各回毎に行います。実践報告の内容によって変動する可能性はありますが、おおよそ次のようなトピックを扱おうと考えています。

・クィア・フェミニスト的な組織化とは
・アンチ・ソーシャルな欲望と時間性
・物語やイメージの転用:神話、歴史、少女マンガ
・動物/護身/回復:逃げる場所、戦う準備

また、受講者の興味や関心、理論と実践の繋がりを模索するための場として、発表会を2回設けます。実践の前段階のような、ちょっとした何かをやってみたい方、誰かの発表に一緒に参加してみたい、あるいは誰かの発表を見てみたいなど、さまざまな関わり方ができる会にしようと考えています。

 

参考文献


前期で扱った参考文献の一例です。後期では、これらを参考文献としつつ、受講者の方の意見もとりいれながら追加していきます。

📗 日本語(50音順)
上野千鶴子『家父⻑制と資本制:マルクス主義フェミニズムの地平』岩波書店、1990年
河野真太郎「機嫌の悪い女たち、機嫌の悪い男たち:ポストフェミニズムにおける感情 の取り締まり」『現代思想』48(4)、青土社、2020年
菊池夏野『日本のポストフェミニズム――「女子力」とネオリベラリズム』大月書店、2019年
嶋田美子「おんなのからだのつかいかた」OTA FINE ARTS、2000年
竹村和子編『 “ポスト”フェミニズム』作品社、2003年
竹村和子「境界を攪乱する――性・生・暴力」岩波書店、2013年
長島有里枝「『僕ら』の『女の子写真』から わたしたちのガーリーフォトへ」大福書林、2020年
藤高和輝「〈トラブル〉としてのフェミニズム──『とり乱させない抑圧』に抗して」青土社、2022年
山口智美、⻫藤正美、荻上チキ『社会運動の戶惑い』勁草書房、2012年
『官能の人類学:感覚論的転回を超えて』石井美保、岩谷彩子、金谷美和、河西瑛里子 編、ナカニシヤ出版、2022年
『現代思想:特集=インターセクショナリティ』青土社、2022年
「メディウム2号:特集・ダナ・ハラウェイ」『メディウム』編集委員会 、2021年
「セックスワーク・スタディーズ:当事者視点で考える性と労働」SWASH編、日本評論社、2018年

🔁 翻訳
ガヤトリ・C・スピヴァク『サバルタンは語ることができるか』上村忠男訳、みすず書房、1998年(原著1988)
ケイト・ミレット『性の政治学』藤枝澪子訳、ドメス出版、1985年
サラ・バネット=ワイザー「エンパワード――ポピュラー・フェミニズムとポピュラー・ミソジニー イントロダクション」田中東子訳・解説『早稲田文学』2020年夏号、早 稲田文学会、2020年、 212-252 頁
スーザン・ソンタグ「ファシズムの魅力」『土星の徴の下に』富山太佳夫訳、晶文社、1982年
ダナ・ハラウェイ『猿と女とサイボーグ:自然の再発明』高橋さきの訳、青土社、2000年
ナンシー・フレイザー「フェミニズム、資本主義、歴史の狡猾さ」『法学志林』 109(1) 関口すみ子訳、法学志林協会、2011年
ベティ フリーダン『新しい女性の創造』三浦冨美子訳、大和書房、1977年
ベル・フックス「フェミニズムはみんなのもの 情熱の政治学」掘田碧訳、エトセトラブックス、2020年
レオ・ベルサーニ、アダム・フィリップス「親密性」檜垣立哉、宮澤由歌訳、2012年

 

📗 英語
Kimberlé Williams Crenshaw, “Demarginalizing the Intersection of Race and Sex: A Black Feminist Critique of Antidiscrimination Doctrine, Feminist Theory and Antiracist Politics,” The University of Chicago Legal Forum 140, 1989, pp.139-167
Lee Edelman「No Future: Queer Theory and the Death Drive」Duke University Press、2004年
Jack Halberstam「In a Queer Time and Place」NYU Press、2005年
Jack Halberstam「 The Queer Art of Failure」Duke University Press、2011年
siren eun young jung「Yeosung Gukgeuk: Tradition (Un)Realized」Arko Art Center、2014年
Grada Kilomba「Plantation Memories: Episodes of Everyday Racism」Between the Lines、2021年
Teresa De Lauretis「Queer Theory: Lesbian and Gay Sexualities: An Introduction」differences 3, no. 2, 1991年
Lucy R. Lippard「Twenty Six Contemporary Women Artists Exhibition Catalogue」1971年
José Esteban Muñoz「Cruising Utopia: The Then and There of Queer Futurity Sexual Cultures」NYU Press、2009年
Jasbir K. Puar「Terrorist Assemblages: Homonationalism in Queer Times」Duke University Press、2007年
Annie Sprinkle「 Providing Educational Opportunities to Sex Workers」 2002年
Julia Bryan-Wilson「Art Workers : Radical Practice in the Vietnam War Era」University of California Press、2009年

 

講師プロフィール


遠藤麻衣(えんどう・まい)

1984年兵庫県生まれ。俳優・美術家として、自らの身体を通じたおしゃべりやDIY、演技といった遊戯的な芸術実践を行う。近年の制作として、婚姻契約という形式を通して婚姻制度を問う《アイ・アム・ノット・フェミニスト!》(2017/2021)、理想の性器の造形からセクシュアリティを考える百瀬文との共作《Love Condition》(2020)、東アジアの海辺の地域で共有されている蛇交譚のリサーチに基づいた〈蛇に似る〉(2018-2020)など。主な展覧会に、「フェミニズムズ」金沢21世紀美術館(石川、2021)、「ルール?」21_21 DESIGN SIGHT(東京、2021年)など。2018年には、批評・キュレーターの丸山美佳とクィア・フェミニズム系アートZINE「Multiple Spirits(マルスピ)」を創刊。少女文化やクィア/フェミニズム運動の影響関係をリサーチし、展覧会「When It Waxes and Wanes」(ウィーン、2019年)を開催。2021年に東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程油画研究領域を修了。2022年より文化庁新進芸術家海外研修制度でニューヨークに滞在。