アートとは何でしょうか。
ハイカルチャーと呼ばれたものは、「天才」という概念を弄んだ19世紀以降の短い歴史の果てに、今や絶滅危惧種として残っているにすぎません。その代替となったサブカルチャーも、資本主義社会の枠組みを前提にした価値の共有手段になっています。資本主義の狂騒の中で「神」として祀り上げられる芸術家のあり方も、しかし、資本主義の枠組み自体が軋む中で、すり減らされながら余命を数えている段階にあるように思われます。
この講座では、アートが現在おかれている社会的な状況を振り返って考えつつ、新しく成立しようとしている経済圏の中で、アーティストがどのような役割を担いうるかを一緒に考えていきたいと思います。
第一回 アートで新しい公共性を開く
文化政策としてアートにお金が流れていた時代、なぜそれが可能だったでしょう。いまアートが置かれている環境は?アートの現状を確認した上で、新しい経済圏の可能性についてお話します。
第二回 ゼロ地点と新しいシニフィアン
アートが社会において持ちうる価値を哲学的に掘り下げて考えます。近代美学の柱となってきたオリジナリティの神話を解体し、アートをゼロ地点から新しい意味を立ち上げるものとして位置づけます
第三回 構想発表、ディスカッション
1、2回目の内容を踏まえて、各自で自分のアートの可能性を考えてもらい、それを皆で考えます。自らのアートの価値をマーケットの判斷に預けるのではなく、自ら確信をもって社会的に機能させていく道を見出だせるとよいと思います。
講 師:荒谷大輔
日 程:2021年10月5日(火)、12日(火)、19日(火)[全3回]
時 間:19:00〜20:30
受講料:6,000円
定 員:6名
申込み:申し込みは締め切りました。
会 場:美学校 本校(地図)
東京都千代田区神田神保町2-20 第二富士ビル3F
講師プロフィール
荒谷大輔 Daisuke Araya
江戸川大学基礎・教養教育センター教授・センター長。専門は哲学/倫理学。主な著書に『資本主義に出口はあるか』(講談社現代新書)、『ラカンの哲学:哲学の実践としての精神分析』(講談社メチエ)、『「経済」の哲学:ナルシスの危機を越えて』(せりか書房)、『西田幾多郎:歴史の論理学』(講談社)、『ドゥルーズ/ガタリの現在』(共著、平凡社)など。日本文藝家協会会員。近年、演劇の脚本やダンス作品のドラマトゥルクを担当したり、自分で踊るようになりました。
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