第6回AI美芸研(人工知能美学芸術研究会)
講演:中井康之、田中みゆき、中ザワヒデキ
人工知能美学芸術研究会(AI美芸研)の第6回研究会が、3月26日(日)に当校にて開催されます。人工知能美学芸術研究会は、Facebook上での場の開設と、数ヶ月に一回程度の公開の研究会開催が主な活動内容となります。
「囲碁は芸術である」と語っていたイ・セドルがアルファ碁に敗れてから丁度一年となりました。今回のAI美芸研は登壇者が二名ともAIの専門家ではなく、芸術展の企画者です。国立国際美術館学芸員の中井康之、インディペンデント・キュレーターの田中みゆきという対極的立場から、美術或いは芸術以前の創造について、AI観点から迫ります。当会はどなたでも参加できます。是非お越し下さい。
・人工知能美学芸術研究会 公式サイト
http://aloalo.co.jp/ai/
・人工知能美学芸術研究会(AI美芸研) Facebookグループ
https://www.facebook.com/groups/1155307841158207/
第6回AI美芸研(人工知能美学芸術研究会)
講 演:中井康之(国立国際美術館学芸課長)
田中みゆき(キュレーター)
中ザワヒデキ(美術家/AI美芸研代表)
※講演後、全体討議の時間を設けます。
※講演と討論は撮影、実況、配信歓迎です。記録動画を後日公開します。
日 程:2017年3月26日(日)
時 間:19:30〜22:35(開場19:00)
※終了後、名刺交換・交流会
会 場:美学校 本校(地図)
東京都千代田区神田神保町2-20 第二富士ビル3F
参加費:2,000円(どなたでも参加可、予約不要、交流会費含まず)
※入場は先着順、受付開始は開演30分前(19:00)です。来場者が60名を超える場合は、立ち見、もしくはご入場いただけない可能性もございます。
※交流会では、おつまみと飲み放題カンパとして、別途500円を頂きます。
主 催:人工知能美学芸術研究会(http://aloalo.co.jp/ai/)
講演内容
「芸術創造のプロセス-ピカソのラス・メニーナス連作とAI」
中井康之(国立国際美術館学芸課長)
最近、経済紙等を見ているとAIという用語を見ない日はないといっても良いほど人工知能に対する注目度は高まっています。その最大の理由は、現代の基幹産業の一つである自動車の未来を、その人工知能による自動運転の実現が確実に握っていることによるでしょう。本講演では、そのような最先端の技術を造形芸術分野に応用することが適うならば、旧来型の造形芸術(概念芸術のような20世紀以降に生み出された理念的芸術行為を除くという意味です)の一つの典型的なスタイルは実現するかもしれない、ということをピカソのラス・メニーナスによる連作をモデルとしながら考えたいと思います。さらにはそのような技術が実現した場合、旧来型の造形芸術分野において我々人類に残された表現の可能性についても触れたいと思っています。
※展覧会「もの派-再考」「アヴァンギャルド・チャイナ-〈中国当代美術〉二十年-」を企画した国立国際美術館学芸課長の中井康之は、最近の展評記事でAIに言及、「人間の創造を越えた表現が生み出される可能性があるのではないか」と書いた(アートスケープ2017年01月15日号)。唯脳論(養老孟司)やクオリア(茂木健一郎)も予てからの関心領域という(※文責・中ザワ)。
http://artscape.jp/dictionary/author/1201200_1827.html
「作品化される前の表現を扱う試みについて」
田中みゆき(キュレーター)
わたしはこれまで、いくつかの文化施設に所属しながら、いわゆる作品とした確固たる形態を持つ前の表現を扱ってきました。それは、美術で言うところの作家性よりも、社会における人間の立ち位置やふるまい、その中で生きのびようとする人間の(失敗も含めた)試行錯誤に興味を持ってきたためです。その結果、ここ数年は障害のある人たちによる表現に関心を持ち、展覧会やパフォーマンスという形で伝える試みを行ってきました。人工知能についても、それができることよりも、できないことを通して人間性を見直すことに興味を持っています。今回は、これまでそしてこれから予定しているいくつかのプロジェクトにおいて考えてきたことを共有させていただくことを通して、表現に触れる多様なアプローチのきっかけになればと思います。
※人や動物、植物、機械の表現を問う展覧会「大いなる日常」(ボーダレスミュージアムNO-MA、2017年3月20日迄)を企画した田中みゆきは「障害について考える事は世界を新しく捉え直す事」と述べ、カテゴリーにとらわれないアウトプットを展開。21_21 DESIGN SIGHT、山口情報芸術センター[YCAM]、日本科学未来館等を経て、インディペンデント・キュレーター(※文責・中ザワ)。
http://miyukitanaka.com/
「我々はなにゆえ人工知能を面白いと思うのか」
中ザワヒデキ(美術家/AI美芸研代表)
第四次産業革命を惹起するからでも、大量失業が予測されるからでもない。レンブラントの新作を描いたからでも、リヒテルとしてベルリン・フィルの団員と共演したからでもない。我々はなにゆえ人工知能を面白いと思うのか。それは真の人工知能の実現が、感覚質(クオリア)は有るのか無いのかという議論、或いは人間に尊厳は有るのか無いのか、神は居るのか居ないのかとの問いに、最終決着を下すからである。すなわち人工知能の何が本質かというと、ただの物質に意識または意識以上に見えるものを工学的に実装することによって、感覚質も人間の尊厳も神の存在も、一種の錯覚に過ぎないと証明することである。
※中ザワヒデキという表記の美術家名を医学部在籍時より使用。「バカCG」を経て「方法主義宣言」「新・方法主義宣言」「人工知能美学芸術宣言」。3Dプリンタ関連特許、著書『現代美術史日本篇』。文化庁メディア芸術祭審査委員。
http://aloalo.co.jp/nakazawa/