文・写真=皆藤将
先週6月14日に上映会「ダダからシュルレアリスムまで――20年代アヴァンギャルド映画を見る」が開催されました。
この企画は1920年代の前衛映画をDVDではなく16mmフィルムで見てしまおうというもの。
ネット全盛のこのご時世、youtubeでも見れそうなものですが、そこをあえて映写技師の人までお呼びして回していだきました。以外とレアな機会だったんじゃないでしょうか。というか、16mmフィルムの上映って、映写機と技師さんが必要なんですね。いや、普通に考えれば当たり前ですが、パソコンをプロジェクターにつなげば出力できる今と違って、昔はなんて手間がかかっていたんだとしばし感慨を覚えてしまいました。映写機の音も素晴らしかった。。
では、写真がメインとなりますが、上映会を振り返っていきたいと思います。
まずは入口の案内から↓
美学校って普通の貸しビルのワンフロアが校舎になっているので、素通りしちゃう人も多いんですよね。初めて来る人にもわかりやすいよう、今回手伝いで入ってくれた「ハイロと美學校」の企画者である山本大地さんが手書きでがんばってくれました。
↓来場者に配られた年表資料。今回の上映する1920年代のダダ〜シュルレアリスムの運動史と「黙壺子フィルム・アーカイブ」を主宰した佐藤重臣氏の60年代の運動史です。
ちなみに「黙壺子フィルム・アーカイブ」とは、
“〈アングラのジューシン〉と呼ばれた映画評論家・佐藤重臣(1932〜88年)が70〜80年代に主催していた自主上映会である。アングラ映画、実験映画の上映が際立っており、20年代の前衛映画をパッケージした〈ダダからシュルレアリスムまで〉は〈フリーク映画の狂宴〉と並ぶ定番プログラムのひとつだった。”(フライヤーより引用)
そうで、今回の上映会は、その黙壺子に敬意を表して開催されました。
上映は全部で5作品、以下のプログラムで上映されました。
・「アネミック・シネマ」(26年)マルセル・デュシャン
・「幕間」(24年)ルネ・クレール
・「アンダルシアの犬」(28年)ルイス・ブニュエル/サルバドール・ダリ
・「ひとで」(28年)マン・レイ
・「バレエ・メカニック」(24年)フェルナン・レジェ
・「貝殻と僧侶」(28年)ジェルメール・デュラック/アントナン・アルトー
まずは、デュシャンの「アネミック・シネマ」からスタート。
回転する文字の羅列と、同じく回転する円を組み合わせた図形の映像が交互に映し出されます。
ちなみに今回上映された作品は、「幕間」と「アンダルシアの犬」以外はサイレンとでの上映となりました。
次はクレールの「幕間」↓
本来はサティの音楽が付けられているのですが、恐らくアメリカ版とのことで、違う音楽になってました。ストーリーもなく、軽快なピアノの伴奏とともに断片的なカットがつながれていくのですが、そのシーンごとに”実験的な”要素が盛り込まれていて、個人的にはこの「幕間」が一番印象に残りました。
そしてダリの「アンダルシアの犬」↓
カミソリで眼球を切り裂くシーンは有名ですね。ご覧になられている方も多いと思います。
その後は、マン・レイ「ひとで」を見て、今回のゲストである中島崇さんのトークへ。
今回の上映作品のお話や、黙壺子フィルムの佐藤重臣さん、ご自身と前衛映画のことなど様々なことをお話しいただきました。
トークが終わって、後半は「バレエ・メカニック」と「貝殻と僧侶」を上映。
そして写真は撮れませんでしたが、最後に中島崇さんの新作も上映しました。
上映会終了後は、その場で軽い二次会を。上の写真では暗くてわかりにくいと思いますが、実はこんなところで上映していました。
といった感じで終了。
お越しいただいたみなさま、ゲストの中島さん、スタッフの方々ありがとうございました。今回の上映会は非常に好評だったので、また機会があれば開催したいと思います。
ちなみに、美学校ではフィルムの上映会を年一回開催しています。今年は9月に開催予定で、上映集団ハイロにご協力いただき、オールナイト上映会「ハイロと美學校」という形で開催します。
作品上映だけでなく、フィルムを使ったワークショップも行ったりもするので、興味のある人は是非チェックしてみてください。(8月ぐらいには告知ページできると思います。)