埼玉県東松山市にある「原爆の図 丸木美術館」をご存知でしょうか。画家の丸木位里(1901-95)・丸木俊(1912-2000)夫妻による連作《原爆の図》をいつでも誰もが見られるようにと、夫妻が1967年に建てた美術館です。
原子爆弾が投下された直後の広島の惨状を目の当たりにした夫妻が描いた《原爆の図》は、これまで国内外を巡回し、広く被爆の実情を伝えてきました。豊かな自然に囲まれた美術館では、《原爆の図》をはじめ、夫妻が手掛けた作品を展示するほか、近年では現代美術のフィールドで活躍する作家や、若手作家による企画展も精力的に開催しています。
そんな丸木美術館でただ一人の学芸員として展覧会の開催や美術館運営に携わってこられた岡村幸宣さんの著書『未来へ 原爆の図丸木美術館学芸員 作業日誌 2011-2016』(新宿書房)が今春刊行されました。岡村さんの学芸員としての日々を綴った本書を通して、あらためて丸木美術館という場所や、現在の表現・社会などについてお話しを伺うべく、本トークを開催いたします。
聞き手には、丸木美術館での展覧会企画に関わり、昨年刊行された『美学校1969-2019:自由と実験のアカデメイア』にもご寄稿いただいた美術評論家の福住廉氏をお迎えします。丸木美術館の2年後に開校し、丸木美術館と同様、50年に渡って様々な人や表現が行き交ってきた美学校からの配信を通じて、表現や社会と向き合う一夜となれば幸いです。
登壇者:岡村幸宣、福住廉【聞き手】、後藤秀聖【司会】
開催日:2020年11月27日(金)
時 間:19:00〜20:30
参加費:視聴チケット 1000円、視聴+書籍『未来へ』チケット 3640円
会 場:ZOOMによるオンライン配信
申込み:こちらのPeatixよりお申し込みください
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書誌情報
岡村幸宣著『未来へ 原爆の図丸木美術館学芸員 作業日誌 2011-2016』
A5変判/並製/324頁/本体2400円(税別)
丸木位里、俊の描いた「原爆の図」は埼玉県東松山市にある小さな美術館に収蔵されている。学芸員(キュレーター)はたったひとり。収蔵品の保存、研究、展覧会の企画はもちろん草刈り、ガラス拭きや天井の蛍光灯の交換も日常の仕事の一部だ。「原爆の図」を抱え、日本各地、沖縄、韓国、パラオ、アメリカ、ヨーロッパまで……。まさに走るキュレーターだ。さまざまな人がこの絵に出会い、新たな世界へ旅立っていく。「3.11」からはじまる、学芸員の作業日誌(新宿書房HPより)。
登壇者プロフィール
岡村幸宣(おかむら・ゆきのり)
1974年東京都生まれ。2001年より原爆の図丸木美術館に学芸員として勤務。丸木位里、丸木俊を中心に、社会と芸術表現の関わりについての研究、展覧会企画などを行う。主な著書に『非核芸術案内―核はどう描かれてきたか』(岩波書店、2013)、『《原爆の図》のある美術館―丸木位里、丸木俊の世界を伝える』(岩波書店、2017)、『未来へ―原爆の図丸木美術館学芸員日誌2011-2016』(新宿書房、2020)などがある。2016年に著書『《原爆の図》全国巡回』(新宿書房、2015)で、平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞受賞。
福住廉(ふくずみ・れん)
1975年東京都生まれ。美術評論家。和光大学人文学部卒業。九州大学大学院比較社会文化学府博士後期課程単位取得退学。2003年、美術出版社主催第12回芸術評論で佳作受賞。「美術手帖」や「artscape」で展評を連載した後、現在は「共同通信」で毎月展評を連載。美術雑誌、ウェブマガジン、新聞、展覧会図録、作品集などにも寄稿多数。主な著書に『今日の限界芸術』(BankART1929、2008)などがある。「21世紀の限界芸術論」(Gallery MAKI、2005〜2011)や「今日の限界芸術百選」(まつだい「農舞台」、2015年)など展覧会のキュレーションも手がける。また、2020年より、「東京ビエンナーレ2020/2021」のソーシャル・プロジェクト「アートライティングスクール」のプロジェクト・ディレクター。
後藤秀聖(ごとう・しゅうせい)
1985年福島県生まれ。2014年文星芸術大学大学院博士後期課程修了。原爆の図丸木美術館特任研究員、美学校「超・日本画ゼミ」講師。