講座の雰囲気を感じてもらうため、スタッフによる授業レポートをお送りします。
今回は昨年10月期にリニューアルしたばかりの現代美術講座「芸術漂流教室」1/29(月)の授業をお届けします。
3名の講師による現代美術講座
「芸術漂流教室」では、3名の講師が交代で授業を受け持っていきます。それぞれの授業には名前がついていて、アーティストの倉重迅さんによる「ArtLife Hacks (ALH)」、アーティストの田中偉一郎さんによる「芸術小ネタ100連発小屋」、そして編集者の阿部謙一さんによる「思考と表現の強化所」が開催されます。この3名の講師による三講座を通して現代美術の制作スキル、発想法、歴史や知識などを学んでいきます。
この日は田中偉一郎さんの「芸術小ネタ100連発小屋」が開催されました。“強い作品づくりの発想をひろげるための講座”とのことですが、一体どんな授業が行われているのでしょうか?
授業の前に
現代美術の講座では、作品発表を実践的に学ぶ目的で修了展を開催します。修了展の開催は受講生の自主性に任されており、そもそも修了展を開催するのか?場所は?時期は?どんな展示にするのか?などゼロから作り上げていきます。
この日は、授業前に修了展を開催するためのスケジュールについて講師の田中さんからアドバイスが入ります。5,6月ごろに開催したいという受講生に対して、いつぐらいからどんな準備を始めればいいか、ざっとスケジューリングを行いました。
今日の授業は題して「無理やり必然アート」!
修了展について軽く打ち合わせが済んだ後、田中さんから二枚組の紙が数部ずつ配られます。普段の授業では大喜利やカメラを使った即興作品制作など行いますが、この日の授業は実技に近い座学を行います。作品プランを即興で考えていく題して「無理やり必然アート」。配られた紙には、タイトル欄の下に、絵、写真、ムービーなど様々なメディアが書かれています。
最初に気になる言葉を書き出しそれをタイトルとして、様々なメディアへの作品化プランを考えていきます。一つの言葉からどのような作品アイデアが生まれるのか、またその作品はどのようなメディアを用いるのが最適なのか検討しながら書き出していきます。今日は受講生だけでなく、講師の田中さんも自らトライ。
それぞれ2,3枚〜4,5枚ほど書いたとことで終了。一人ずつ発表していきます。
一つ一つのアイデアに対して丁寧に答えていく田中さん。どのメディアが適していそうか、どう展開したら面白くなりそうかみんなで話していきます。
それぞれとっても面白い作品アイデアが生まれたのですが、修了展の作品にするかもしれずネタバレになってしまうのでここでは書かないでおきます。その代わり、ちゃっかり自分も考えて書いていたので、それを載せておきます。授業の参考までに。
「カビだらけ邸宅」
・インスタレーション→人が生活している部屋にカビを繁殖させてインスタレーションとして提示
・写真→カビの生えた家具を黒バックでブツ撮り
・絵→絵自体にカビを生えさせてカビ絵画として展示
・ムービー→カビが生える様子を定点撮影
ちなみに美術館はカビの持ち込みは厳禁なので実際に展示するのは難しいでしょうね。最近自分はチーズ作りにはまっており、そこから発想した作品案でした。
「顔パステロリスト」
・ムービー→よく職質を受けたり、空港のイミグレーションで異様に調べられたりするようなテロリストっぽい顔の人(失礼)を集めて、政治的に緊迫していてテロの危機が高そうな国や施設を旅行する限界ギリギリのドキュメンタルロードムービー
・写真→テロリストっぽい顔の人(だから失礼)のポートレイト集
「何でも液体アルコール化計画」
・立体・彫刻orパフォーマンス→飲み会の飲み残しの酒を集めて、それを再びアルコール発酵させて飲み会産の飲み残し酒を作る
→飲み会でみんなが排泄した尿を採取し、尿をアルコール発酵させてみんなで一年間エンドレス飲酒をする
→香川県民にアルコール発酵させたうどんつゆでうどんを食べさせる
アルコール発酵って意外と簡単にできちゃうんですよね。趣味のチーズ作りがいつのまにか酒造りに(法律的にOKな範囲で)発展していて、そこから発想したアイデアでした。品のなさは自重したほうがいいですね。。。
自分はこんな感じで作品を考えましたが、受講生それぞれが全く違ってどのアイデアも面白く、話しているうちにあっという間に3時間が過ぎました。田中さん曰く、作品のアイデアなんて永遠に考え出せるとのこと。
作品は作りたいけど、どんな作品を作ったらいいかわからないという人は、この講座を検討してみてはいかがでしょう。
以上、講座日誌でした。(皆藤)
▷授業日:毎週月曜日 19:00〜22:00
「芸術漂流教室」は、倉重迅、田中偉一郎、岡田裕子を中心に、ゲスト講師も招きながら展開していきます。現代美術の領域で活動しながら他ジャンルにも軸足を持つ、無駄に経験値の高い講師陣とともに「楽しく」「真面目に」漂流しましょう。