【3/9】「美楽塾」公開授業 ゲスト:久住昌之


OL_BIGAKUJUKU


通年講座「美楽塾」の公開授業を3月9日に開催します。ゲストは、当校講座「久住昌之の脳内散歩室」講師であり、『孤独のグルメ』の原作者としても知られる久住昌之さんです。公開授業はどなたでもご参加可能です。お気軽にご参加ください。


「時間や社会に囚われず幸福に空腹を満たすとき、つかの間、彼は自分勝手になり、自由になる。誰にも邪魔されず、気を使わず物を食べるという孤高の行為。この行為こそが現代人に平等に与えられた最高の癒しと言えるのである。」

漫画というメディアが一般化する以前から、夏目漱石、芥川龍之介、永井荷風など多くの文学者達がインプット(感受)としての「食」に魅せられ、直結したアウトプット(表現)をエッセイや私小説として記してきた。五感の内、視覚、聴覚はデータ化して伝達、保存できるが、「食」感受の中核を成す味覚、嗅覚、そして触覚(食感)は現代の科学を以ってしても、未だ伝達、保存ができない。この数万年の間、我々は「食」についてのデータを、感受者の主観によってテキストに変換されたものを以って受け取る以上の手立てを持てていない。

漫画というメディアが一般化して以降は、包丁人味平、美味しんぼ、ザ・シェフ、クッキングパパ、ミスター味っ子など、多くの「食」漫画作品が生み出された。

しかし、そのほとんどが「食」をテーマではなく、フィールドとしての「食」に展開されるスポ根的だったり人間模様だったりというドラマチックな劇であったり、レシピを伝えようとするハウツー作品であったり、グルメ・レポート作品だったりする。

私が”孤独のグルメ”に魅了されるのは、主人公は「食」の専門家ではなく、ただの男であり、訪れる店も大衆食堂がほとんどであり、酒も飲まず、腹が減れば店に入り、食い終わればとっとと出てくるだけで、「孤独」であるから会話らしい会話も無く、ましてや劇的な人間ドラマが展開される訳でもなく、ただ店内に居る間の脳内呟きのみが、作品宇宙の核を成しているという点だ。

私はずっとここに永井荷風的な飄々としながらも、頑とした孤高のダンディズムを感じ、嬉しくなるのである。

テレビドラマ化された”孤独のグルメ”は、主演俳優の見事な演技や、映像演出や、BGMの効果により、やはりドラマチックな要素が強調添加されて、それはそれで良いのだが、私にはやはり、谷口ジロー氏のハードボイルドで緻密な絵により、主人公の内的世界によりフォーカスされた繊細な原作が好きだ。

原作者にお会いしたい、いろいろとお話しを伺いして、一緒に楽しい時間を過ごしてみたい。

「皆藤さん、美楽塾のゲストに原作者の久住昌之さんをお呼びしてよ」

こんなお願いを快諾してくれた美学校の皆藤さん、そして久住さんのおかげで、3月9日(月)ついに実現する。

もちろん麦ジュースや井戸水もご用意いたしますよ。

(JINMO)


講 師:JINMO
ゲスト:久住昌之
日 程:2015年3月9日(月)
時 間:19:30〜21:30
参加費:1500円(1ドリンク付き)
申込み:定員に達したため申込みは締め切りました。(3/6)
会 場:美学校 本校(地図
    東京都千代田区神田神保町2-20 第二富士ビル3F
※公開授業はどなたでもご参加可能です。お気軽にご参加ください。


JINMO

▷授業日:曜日不定(月2〜3回/年間27回) 19:30〜21:30
本講義は芸術表現の技法や知識といった”情報”の伝授の場ではない。五感、総ての感覚器官で対峙する状況における美の”体験”を実感する場としたい。良質のインプット無しには良質のアウトプットはあり得ない。美しいインプットに貪欲であれ。

Kusumi Masayuki

▷授業日:不定水曜日(毎月2回) 19:30〜21:30
ボクの仕事はマンガの原作であり、音楽の制作です。どちらも「思いつく」というのが仕事です。いい 思いつきをするために、脳の中のいろいろなところを散歩します。この講座では受講者の皆さんにも自分のアタマの中を散歩してもらいたいです。そして笑いし ならが、脳の不思議、自分の不思議と面白さに接近していただきます。