カレーと古書、そして中古レコードの街、神田・神保町。2013年秋より、この神保町および美学校を舞台に新たな音楽プロジェクト『EN-Tokyo』が始動した。
若手ビートメーカーPigeondustを中心に発足したこのプロジェクトは、彼を中心にさまざまな『縁』で集った参加者でにぎわう。その全容はこうだ。休日の神保町に集った参加者たちが、半日かけてひたすら中古レコード屋を巡っていく。日が暮れるまでレコードを掘り尽くしたら、戦利品と共に美学校のアトリエに帰還。簡易スタジオと化した美学校アトリエで、思い思いに購入したレコードをプレイしていく。それらのレコードはそのまま制作の素材となり、その場で各自の制作機材に取り込まれる。そして、そのまま夜通しのビート・メイキングへと興じる…
要するに、中古レコード屋に眠る広大なアナログレコードの漁場へと漁に出て、ネタを仕入れたそのままのスピード感で制作までも行ってしまおうという試みである。
以下、先月行われた第3回目のEN-Tokyoの模様をフォトレポートでお届けしよう。
▶美学校のアトリエからいざ出発。
▶この日は記録的な大雪の翌日の決行となった。
▶一軒目『ターンテーブル』へ
▶100円コーナーも非常に充実している。
▶惜しくも今春の閉店が決まっている当店だが、是非最後に足を運んでみてほしい。
▶『Rubbergard Record』。店舗中心に据えられた試聴機が印象的な店内。
▶休憩中の一コマ。この日初対面同士の参加者も多く、作り手同士の情報交換や交流の場としても機能している。
▶狭い店内にひしめき合う参加者たち。
▶途中参加のメンバーも加わり、さらに大所帯に。店内に入りきれない笑!
▶戦利品を手に帰路へ。
▶EN-Tokyoステッカー。都内各所に設置されているので、みかけたら是非手にとってみてほしい。
▶番外編。EN-Tokyoによるコンピ『Time is a Thief』のCDーRを手作りする参加者たち。全てがD.I.Y。
▶美学校のアトリエがそのまま簡易スタジオに変身。いざ、夜通しのビートメイキングへ…
▶この日制作された音源集『EN-Tokyo four』はこちら
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EN-Tokyoは、非常にユニークな立ち位置にあるムーブメントだ。
いわゆるヒップホップ的に、土地やシーンをリプリゼントするような集団ではない。では土着性から無縁な所での結びつきかというと、それも当てはまらない。神保町、そして何より『レコード屋』という地域性に不可分に結びついた上で、シーンや土地のしがらみに足を取られる事なく、良質なサウンドを追求する。
彼らによって購入されたレコードは、埋もれた価値の再発見にとどまらず、そのまま創作のためのツールとなる。そして、掘り起こされた過去の遺産は、一晩のうちに新たなる価値=ビートとなり、再び世に放たれていく。一期一会のレコードとの”縁”と同様に、土地やレーベルといった作り手同士の垣根を超えた、作り手同士の”縁”が非常に大きな意味を持つプロジェクトだと言える。
レコード屋とビートが繋ぐ”縁”がどのような価値を生み出していくか、是非今後もチェックしてみてほしい。
公式サイト:en-tokyo.jp