『テクノウチのテクノゼミナール』夏期講座レポート


2015年秋より新設されるDTM講座『テクノウチのテクノゼミナール』。

そのプレ講座という位置づけで、2015年夏に、全5回に渡る短期集中の夏期講座が行われた。

初心者から中級者、高校生から社会人まで、幅広い層の受講生とともに行われた本講座、『個性よりもまず形』というコンセプトに違わず、短い期間ながらも超実践的な濃密レクチャーとなった。

写真と音源で講座のレポートをお届けする。本クラスが気になったという人はぜひ参考にしてほしい。


まずは『自分はどこに所属して音楽を作っていくか?』『自分の中でやりたいこと/売れたいことのバランスは?』というような、創作における前提となる話から始まった。

ここに集まった受講生は、そのスキルや経歴を問わず、一様に一人のアーティスト、作家として作品を作ってもらう。講師と生徒である前に『アーティストとアーティスト』として向かい合う場でもある。

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作家として音楽を続けていくために、自らの志向を知り、立ち位置をまず明確にすることで、自分のアプローチがより明確に見えてくる。

自分というアーティストをソートする”タグ”は何か? 自分の音楽をより多くの人に聴いてもらうため、様々な切り口から自分の立ち位置とやりたいことを見つめ直していく。

アーティスト志向にせよ商業志向にせよ、『自分が何を得意で/何をやりたいか?』に忠実にあるべきだとテクノウチ氏は語る。

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具体的なシンセやプラグイン、サンプル名がガンガン飛び交う。納品クオリティに耐え得るサウンドを作るためには、ある程度の投資は必須になってくる。作曲はお金がかかるものだが、そこで”ハズレ”を買ってしまわないために、テクノウチ自ら人柱となって得られた『投資すべき価値ある機材』がお勧めされる。 しかし量が多いので学生のみなさんは出費ほどほどに(笑)。

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今回は『個性よりもまず形』ということで、『戦場のメリークリスマス』のMIDIファイルを元に、各自クラブ・ミュージックアレンジを作ってもらう事を落としどころとしている。

曲作りの上で必要な

・楽曲構成

・シンセによる肉付け

・キックとベースの絡み

・ミックスダウン

これらの要素を、実際の曲作りを通して解説していく。

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2015-08-30 17.23.16受講生の課題講評では、一人一人の個性の違いに真剣に向き合うテクノウチ氏。

王道か、邪道(アーティスティック)か。同じ素材でも、一人一人の個性が逆に浮き彫りになるのが面白い。『個性よりもまず形』ではあるが、それでもなお滲み出る各自の個性。2015-09-06 15.49.55

最終回はフル尺を全員で聴いた後、その曲の良いところを全員で話し合う。

「自分の曲を褒められるという体験をして欲しい」と語るテクノウチ氏。曲作りをやり遂げて、それを褒められるという成功体験は、今後の創作意欲を支える大きなモチベーションとなる。

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最後は全員で打ち上げ。 とはいえ、実は毎回授業終了後は受講生と食事に行くのが恒例となっていたりする(笑)。授業外でのコミュニケーションはもはや美学校の伝統。

☆受講生作品はこちら

ほぼ初心者という方も多い中、各自約一ヶ月でしっかり形に仕上げてくれた。
もちろん『納品クオリティ』というところに至るまではまだまだ必要なことも多いが、ここで学んだ事を生かし、さらなる飛躍を遂げてくれるはず。
 

今回はじめて人に教える立場となったテクノウチ氏だが、率直にいって非常に『良い先生』だった。彼の音楽に対する熱量と誠実さは、受講生のモチベーションを自然な形で焚き付け、創作の楽しさを思い起こさせてくれるし、技術面でも非常に理論的/体系的に、自らの技法を惜しみなく伝えてくれる。ハードコアテクノに限らず、クラブミュージックの制作者ならば、ジャンル問わず非常に得るものが多い講義となっている。

このクラスからテクノウチ氏に続く新しい個性が世に出てくることを期待している。

是非一緒に音楽制作に取り組んでいきましょう。


▷授業日:隔週月曜日 19:00〜21:30
トランス/ダブステップ/ハードダンス/ハードコアテクノ等、常に流行に左右され続ける“JUNK”なダンスミュージックのDTM制作を目的とする授業です。
実作課題を通して、「個性よりもまず形」で「何か一つ形作れるようになる」ことを目標に理念というよりは即実践の講義を行います。