文・写真=皆藤将
外道的な表現にフォーカスして実践的に学んでいく現代美術講座「外道ノノスゝメ」。その出張講座『出張!外道ノスゝメ』が無人島プロダクションで開催されました。
会場となった無人島プロダクションでは、講師である松田修さんの個展「みんなほんとはわかってる」が開催中。今回の出張講座では、松田さんの作品としてシミュレーションされたレイモンド・ペティボンを切り口に80年代アメリカのハードコアパンクのムーブメントについてトークが展開されました。
▼こちらは松田修さんの個展のフライヤー。レイモンド・ペティボンが描いたBLAG FLAGのアートワークをシミュレーションしています。会場では、『もう普通シリーズ』の一作品として並びます。
▼トークは、プロジェクターでハードコア・パンクのBLACK FLAGやSonic Youthのライブ映像やインタビューを映しながらスタート。左から、外道講師の古藤寛也さんと松田修さん、そしてゲストの中村穣二さん。
トークは松田さんの出自から始まります。古藤さんと松田さんの出会いは、古藤さんがChim↑Pomから本にしたらすごく面白いアーティストがいると紹介されたのが最初だそうな。
松田さんの出身地の尼崎では、中学になったらパンチパーマにするのが普通だったとのこと。グレていたわけではなく、普通の環境としてそうだったそうで、中学一年の時にはジャームスの青い丸の刺青を入れたとか。そんな松田さんも仲間とノリでとある事件を起こし鑑別所へ。そこの更生プログラムで大原美術館に行ったことがアーティストになるきっかけだったそうです。
かたや、古藤さんと中村さんは千葉で育ち、二人は10代の頃にライブハウスで知り合ったそうです。
その後、中村さんはアメリカへ留学し、古藤さんは仕事でアメリカに出張に行くように。そこから本題であるパンクスが生まれた背景や、当時のアメリカ社会の話に移ります。実際に古藤さんが行った南部のメキシカンで陽気な雰囲気と、映画『ガンモ』に見られるようなアイオワのホワイトトラッシュや暗い空気の違いなどを例として比較しながら、カウンターカルチャーとしてハードコアパンクを分析します。
そこから、日本がパンクスをどのように受容していったかという話に。アメリカのハードコア・パンクは、カウンターとして盛り上がっていきましたが、それが古藤さんや中村さんの世代の日本では、ファッションやカルチャーとして受け入れられていったとのこと。松田さんは古藤さんや中村さんより5歳ぐらい年下なのですが、松田さんが中高生の頃はパンクはもう普通のジャンルになっていたそうです。今回の松田さんの作品「もう普通」シリーズは、ペティボンでさえもう普通だよねという意図で作られたとのこと。
▼「ペティボンはヤバイし、偉大だけど、もうよくね?もう次でよくね?」と松田さん。
▼後半は、元BREAKfASTのサカイさんと、どついたるねんの山ちゃんが飛び入り参加して、さらにトークが盛り上がります。
すでに日曜大工としての言葉になってしまったD.I.Y.(Do It Yourself)精神を辿って、スケボーなどのストリートカルチャーや毎日新曲を制作して自作PVをYouTubeに上げるどついたるねんの活動を例に、アーティストにとってのD.I.Y.精神の大切さを話します。
▼元BREAKfAST、現Ohayo Mountain Roadのサカイさん。ハードコアパンクついて分析的なお話をしていただきました。
▼一昨年、「外道ノスゝメ」のゲスト講師として参加してくれたバンドどついたるねんメンバーの山ちゃん。
といった感じで、トークが終了。最後は登壇者全員で集合写真。
松田さんの個展は8月12日まで開催!
今回会場となった無人島プロダクションでは、松田修さんの個展「みんなほんとはわかってる」が開催中です。8月5日(土)にはライブも開催されます。是非ご来場ください!
以下詳細です。
松田修展「みんなほんとはわかってる」
会期:7月15日(土)- 8月12日(土)
会場:無人島プロダクション(東京都江東区三好2-12-6)
Open:火~金|12:00-20:00 / 土・日|11:00-19:00
* 8月11日(金・祝)11:00-19:00
Close:月
◎イベント
ライブ『ホーケーオーケーな音楽会』
8月5日(土) 開場 17:30・スタート 18:00
出演:松田修とトリオ・ザ・ホーケー
入場料:500円
松田が出会った名曲『ホーケーOK』を生お披露目!
松田も即興『ツッコミ』で参加します。
※7/22(土)は16:30以降、8/5(土)は17:00以降は通常の状態で展示をご覧いただけません。
展覧会詳細:http://www.mujin-to.com/press/matsuda_2017_youknow.htm
▷授業日:毎週土曜日 19:30〜22:30
現代を様々な角度から考証し、ハミダシ者として表現を創造していくことを目的に授業を進めていきます。キーワードとして、「サーチ&デストロイ」を強く意識していき、学校教育では教えられないことを存分に取り入れながら、強い表現とはなにか?を考え実践していきます。