清野耕一個展「Variant: Interface Between Life and Death(変異体:生と死の界面)」
11月18日(土)より横浜・中華街にある1010美術にて「版表現実験工房」講師の清野耕一さんの個展が開催されます。是非ご来場ください。
美術家、清野耕一は平面の版画作品のみならず、版画技法をベースにそれを応用した立体作品やインスタレーション作品を展開する先駆者の一人です。
「生命の探求」が清野の30年に及ぶ作品表現の基本テーマであり、「生命サイクル:誕生-成長-死-再生」のダイナミズムを表現してきました。
2010年より国内外の美術館等で発表してきた「Cultivation (培養体)」シリーズは、大小様々なディスク状の作品群を床や壁に展示し、シャーレ(実験用培養皿)の中で培養された「ミクロ小宇宙」から、「マクロ大宇宙」へ展開させた壮大なインスタレーション作品です。
新作「Variant: Interface Between Life and Death(変異体:生と死の界面)」は、生命進化の過程で発生する「突然変異と多様性」に着目して、新たな表現を試みています。
技術面では「培養体」シリーズを基礎としながら、従来のキルト芯に木版や銅版でプリントしたディスク状表面から、如何にしてイメージと質感を変容させるかを主眼に置いています。そのため、ビーディング(ガラスビーズを針で一刺し一刺し布地に縫い込む作業)とオーガンジーの布地を採用して、荘厳で華やかな質感や透明感、宝石のような光り輝く重厚感、鼓動する繊細なリズム、等を特別に与える独自の表現を模索しています。
今回の作品テーマは、世界的なコロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻、地球温暖化や環境破壊などの問題が作品表現に強く影響しています。一方で、作家にとって最愛の母親が長い自宅介護生活の末今年5月に他界し、想像以上の深い悲しみと喪失感に襲われた経験が、逆に新作を創造する強い原動力となったのです。
死者を弔い鎮魂の祈りを込めた荘厳で静かな世界、清野耕一の新シリーズ「変異体:生と死の界面」をご高覧頂ければ幸いです。
2023年11月
倉科敬子 1010美術
会期:2023年11月18日(土)~12月9日(土)[休廊:水曜日]
時間:11:30〜18:30
会場:1010 美術(神奈川県横浜市中区山下町214 TAOビル3F)
WEB:http://1010artgallery.com
▷授業日:毎週水曜日 18:30〜21:30
銅版に触れ合うことによってモノ作り本来の楽しさを体験し、美術表現を創造する「発見」の場をめざします。従来の「版画」の垣根を取り払い、柔軟に他のメデイアとの交流を図り、研究し模索する制作現場です。