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物々交換所 第1回「みんなの辺土」

物々交換所 第1回「みんなの辺土」


酒井貴史


とりあえずこのリンクを見てください

ツイッター上で「物々交換所」というワードを検索し、品物のやりとりに言及されているツイートをリストにしたものです。
僕はこれを「みんなの辺土(リンボ)」と名付けています。辺土/辺獄とは元々は宗教用語で天国と地獄の中間にあるらしい場所で、地獄に行くほどの罪はないが、だからといって天国行きには足りない人がとりあえず行くとされています。
そこから転じて精神分析の方の用語で記憶されたものと忘却されたものの中間領域のことを「辺土(リンボ)」と表現したりするようです。
人間の記憶と忘却の狭間の辺土にあるものは、何かのきっかけで再び意識の上に浮上してくることもあれば、そこに一生貯蔵されたまま眠り続けることもあるとのこと。
物々交換所にそっくりな場所ですね。交換所の場合、浮上してくるのは記憶ではなく物体です。
こういったいわゆる無意識の領域への回路は、思考の合理性や効率性を妨げる場合もあるものの、何らかの形で身近な所に確保されていれば煮詰まった時に思わぬ打開策も出るというもの。
これは武蔵野美術大学で物々交換所を始めた当初からの思いです。美大の授業では先ずプランを立て、材料を購入し作品を制作する所までを教わりますが、今の世の中必要な材料を毎回新しく揃えているお金はありません。
余剰物を保管しておく倉庫を借りるのも、廃棄するのもタダではありません。今後、日本は貧乏になっていく雰囲気が漂っているので将来これらのコストはさらに高くなりそうです。
脱線しましたが、要は足りない所は有り物で融通したり、分野を超え材料をやりくりして最終的にはゴミの量も少なくしようとする試行錯誤は、結果的に記憶の辺土からアイディアを汲み採る糸口になるはずです。

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美術大学のゴミ捨て場について


建築、工業デザイン、彫刻、ファッション等の多様な学科を擁する美大では、雑多な種類の廃棄物が日々発生するため大抵の場合敷地内にゴミ集積場が設けられています。全ての分野の学生の作品が最終的に集約するゴミ集積場は、しかしどの大学の学内マップにも表示されていません。

倉庫や機械室と同様に、外部の人間に向けて紹介する必要の無い施設であり、多くの学生や教員にとってもやはり普段は意識に上らない施設です。
ゴミ捨て場に収集される物は、作品としての重要性も制作者の所有権も放棄され、単なる「モノ」に環元されて外部の処理施設へ運ばれて行きます。
これは生物の器官に例えるなら排泄口です。人間が自身の消化器系の働きを普段意識しないのと似た理由で、大学のマップにはゴミ捨て場の案内が無いのでしょう。
物々交換所はこの美術大学の排泄物を腑分けして栄養分として再利用できるものを再度循環させる器官といえます。

 

各大学のゴミ捨て場と物々交換所の位置


 武蔵野美術大学 (ゴミ)鷹の台ホールC棟近く (物々)7号館下 

多摩美術大学八王子校舎 (ゴミ)彫刻棟群とテニスコートの間 (物々)常設設置は無し 

東京造形大学 (ゴミ)11号館彫刻棟近く(物々)9号館CS-Lab入り口自販機横 

東京芸術大学上野校舎 (ゴミ)美術学部絵画棟の両サイドに粗大ゴミ置き場、不燃可燃ゴミ置き場 (物々)大学美術館併設の食堂入り口脇の自販機コーナー 

日本大学芸術学部所沢校舎 (ゴミ)エネルギー棟裏あたり (物々)美術棟 

東京学芸大学国分寺校舎 (ゴミ)プール横 (物々)サークル棟

京都造形大学 (ゴミ)顕心館のあたり (物々)望天館横あたりの長い階段の下 

大阪芸術大学 (ゴミ)芸術劇場のあたり (物々)11号館食堂喫煙所 

 

ゴミ捨て場の繁忙期について(美大のWEBサイト等で各日程を調べられます)


 ① 大学祭/芸術祭のかたづけ期間

美術系大学では学祭の現状復帰のための期間が2~4日間ほど確保されています。
祭り明け初日は皆燃え尽きて寝ているので片付け作業は昼過ぎから始まることが多く、解体からゴミ捨て場への運搬の時間を足すと夕方頃から本格化します。
展示品や屋台等につかわれた木材や布、デコレーション材等が中心です。

② 卒業制作展のかたづけ期間
卒制展の後3日間程度。大学祭のかたづけ期間より物量が膨大で多様です。

③ 卒業生が引っ越しで出る不要品を学内のゴミ捨て場に捨てにくる期間はっきりした目安が無いため把握が難しい期間ですが、長ければ2ヶ月間程に渡って学生が雑貨、衣類、食器、書籍、家電等を廃棄していきます。
目安としては1月~2月頃の学期末試験、卒業制作展、授業期間終了以降から、入学試験に伴う大学構内立ち入り禁止期間を除く、4月入学式前までの間です。

上記のような繁忙期には物々交換所はフル稼働で不要品の再利用を行います。
しかし貰われる量に対して持ち込まれる物量が膨大なため、交換所の棚から物が溢れてしまうという状況が頻繁に起こります。
これをいかに緩和し、持ち込まれた物が1つでも多く再利用されるようにできるかが課題です。

〈関連情報〉

トーキョー学生図鑑 http://www.gakuseizukan.jp/column/musabi-butsubutsukokan/

ART for EVERYONE http://www.art-for-everyone2012.net/art/2012/12/06/47/

美大日記:ムサビの手羽さん http://bidai.tv/teba/archives/2013/01/20122-4/
 


物々交換所

物々交換所はまだ使える不要品を収集して貰い手を探すための場所です。ここに置いてある物は遠慮なく持ち帰ってください。
物を置く時、貰う時にどんな物があるかツイッターでつぶやいてください。もしくは交換所の棚を整理してもらえるとありがたいです。

プロフィール.jpg酒井貴史

1985年10月28日宮城県山元町出身。2009年武蔵野美術大学卒業。現在、物々交換所管理人。詳しくはツイッターから。https://twitter.com/koukanjyo